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日本経済新聞で「ファストリ(ユニクロ運営)の新卒初任給が33万円に引き上げられる」というニュース。これはきっと、就活生にとって大きなインパクトがありますよね。「給与が高い会社がいい!」って、単純に思いがちです。もちろんそれ自体が悪いわけじゃありません。でも、給料だけでパッと決めちゃって後悔しないのかな? というのもまた正直な気持ちです。
そういうわけで今回は、「高い給料の魅力」と「その奥にある何か」について、一緒に考えてみたいと思います。就活は、人生の一大イベントですから。地図を広げるときに、目印となるのが「お金」だけになってしまうのは、ちょっともったいない。ほかにもきっと、いろんな宝物が隠れているんじゃないか――そんな気持ちで、お話ししていきます。
給与アップの背景は、「グローバル」と「成果主義」
最近はファーストリテイリングをはじめ、大企業が新卒初任給を大幅にアップする動きが目立ちます。ニュースの見出しだけを見ると、「おお、高い!」「これなら生活もゆとりが出るかも!」と思いがち。でも、その背景にはどんな意図があるのでしょう?
ファーストリテイリングが掲げているのは「グローバルな視点で、成果を出せる少数精鋭をそろえる」ということ。海外事業を伸ばすためには、国内外から優秀な人材を集めたい。そのために報酬を国際水準に近づける。これは、人材にかける投資の表れでもあるわけです。
就活で会社を選ぶとき、「給与水準が高い会社は魅力的だなあ」と思うのは自然なこと。でも「給与が高い」には理由がある。その会社が「どんな成果を期待しているのか」、そして「どう育てていこうとしているのか」を知ることが、就活生にとって大事なんじゃないでしょうか。
給与だけじゃなく、「役割と責任」も見てみる
「新入社員から店長を任されて、年収700万円超え! すごい!」というニュースは、確かにインパクトがあります。でも、そのぶん役割や責任がまるごと大きいのも事実でしょう。
たとえば、新人店長が任されるお店の規模はどうか。スタッフ管理や売上向上のための施策はどうやって考えるのか。リーダーシップを発揮するためには、何をどれくらい勉強しなきゃいけないか。これはおそらく、普通の「会社員1年目」よりも学ぶことが多い分、めまぐるしい成長も期待できるんですよね。
その「速い成長スピード」こそが、給与の高さの裏側にある魅力でもあります。ただ、「自分の成長ペースが、これでいいのか?」ということは、しっかり向き合って考える必要があります。あまりに急勾配の山を登るのは燃えるけど、体力が保つかどうか――これは人それぞれですから。
「キャリアパス」とはなんぞや?
よく「キャリアパスを考えましょう」と言われるけれど、なんだかピンとこない人も多いかもしれません。キャリアパスというのは、「会社のなかで、あるいはその先で自分がどんなふうに成長し、どんなポジションを目指せるのか」という道筋のこと。
大きな会社は、まるで巨大な船みたい。エンジンやデッキ、厨房、客室などがあって、いろんな部門が連携して動いています。そこには明確な航路があって、「いまは見習いだけれど、○年後には操舵士、さらに先には船長も狙える」みたいな筋道があることが多い。でも、船が大きいだけに、変化には時間がかかるかもしれません。
一方、中小企業やスタートアップは、小回りのきくクルーザーに似ているかもしれません。スピード感のある成長を経験できたり、幅広く仕事を任されたりする代わりに、大きな船ほど安定感はないかもしれない。そこにワクワクするか、不安を感じるか。それは人それぞれです。
企業文化や雰囲気こそ、日々のやる気をつくるもの
就職は、「誰とどんなふうに働くか」ということであって、「給与条件」だけでは語りきれないものがたくさんあります。文化や雰囲気は、その会社の空気感みたいなものです。働く時間の長さ、上司との関係、同僚との協力体制、目標に向かって突き進むやり方――そういった目に見えない空気は、案外、仕事のやりがいやストレスを左右する大きな要因です。
給与が高い会社に入ったけれど、どうにも合わない雰囲気に苦しむ。すると結局、パフォーマンスが下がり、結果的に思っていたほど高い収入を得られなくなる可能性だってあります。逆に、給与はそこそこだけど、雰囲気が合うからモチベーションが高まり、長く働き続けてスキルを磨き、結果的に収入も伸びていく――ということもある。
「雰囲気は大事」とは言うけれど、これはほんとうに大事。自分が気持ちよく生きていく環境がそこにあるかどうかを、会社説明会やOB訪問などで感じ取ってみることが大切です。
あえて「他との比較」をしてみると見えるもの
大手企業の初任給アップの流れは、全体として「好景気の兆し」だったり、「優秀な人材確保の競争」を反映しているとも考えられます。サントリーやノジマといった企業も同様に初任給を引き上げているようです。これからも、給与アップの波は続くかもしれません。
でも、ここで「比較」の視点は忘れないでほしい。たとえば給与の金額だけを見るのではなく、休暇制度や残業時間、働きやすさ、将来的な昇進スピード、研修制度の充実度といった複合的な要素で比較するんです。さらに、職種によっては中小企業やスタートアップでこそ経験できる“オールラウンダーな働き方”が、大きな武器になることもある。
比較って、数字だけでなく「自分のビジョン」や「自分が大切にしているもの」と照らし合わせてすることがポイントです。もしも「給料さえ高ければいい」と割り切れる人は、それでもいいでしょう。でも、「将来こういう自分になりたい。そのための環境はどこだろう?」と考えている人は、焦らずじっくり比較してみてください。
就活で大切なのは地図とコンパスを
いま、就活をがんばっているみなさん。おそらく頭の中は不安や期待でいっぱいだと思います。それは、ひとつの「冒険」を始める前のソワソワ感に近いのかもしれません。未知の世界に飛び込むとき、たしかに大きな「給与」という虹色の看板は目に留まりやすい。でも、冒険のガイドマップはそれだけじゃないんですよね。
• 会社の描くビジョンや、事業の方向
• 与えられる役割や責任
• キャリアパスのバリエーション
• 企業文化や人間関係
• 他との比較で見える、本当の自分の好み
こういった情報が、みなさんにとっての地図やコンパスになると思うんです。
冒険にはいろいろな道があって、そこにいる仲間もさまざまです。場合によっては、「やっぱり自分には別の道がいいかも」と気づくことだってある。大切なのは、行く前にしっかりと情報を手に入れ、自分の心と相談すること。「どんなふうに生きたいのか」という問いを胸に据えた上で、どの会社に飛び込むのかを決める。
新卒で入る会社というのは、あくまで旅のスタート地点です。そこで終わりではないし、途中で道を変えることだってできる。でも、スタートを自分の気持ちに正直に選ぶことが、その後の人生の色合いを大きく左右していくはず。だから、どうか就活という冒険を、ワクワクしながら進んでほしいと思います。給料だけ見て「勝ち負け」を決めるのではなく、自分の感性や大切にしたい価値観を地図とコンパスにして、新しい世界を探検してみてください。