「物流業界」と聞いて、どのような仕事を思い浮かべるでしょうか。トラックでの配送業務や、倉庫での荷物の積み下ろしをイメージする人が多いかもしれません。しかし、今回取材した相互運輸では、「物流=トラック運転」というイメージを覆すような様々な話を聞くことができました。物流の現場では何が起きているのか。学生リポーター2人が迫ります。

「運ぶだけ」じゃない?想像の10倍細かい、通関という仕事
相互運輸って、「運輸」って名前がついてるから、やっぱりトラックを運転する仕事が多いんですか?
実は、社員の半数近くは事務作業なんです。
そうなんですか!?
はい。うちは港湾事業が中心で、コンテナの輸出入を扱っています。その中で、輸出入の書類作成や税関とのやり取りっていう仕事があって、これを「通関」って言うんです。
通関…初めて聞きます。
海外から物を輸入したり、輸出したりする時に、税関に「この荷物は問題ないですよ」って申告する仕事です。皆さんが使ってるスマホとか服とか、ほとんどが輸入品ですよね。それが日本に入ってくるには、必ず通関が必要なんです。例えば、木材を輸入する時は加工方法によって税率が変わるんですよ。だからお客様に「やすりがけしてますか?」「上面だけですか?横もですか?」って聞くんです。
やすりがけの有無まで!?
はい。それで税率が変わって、納税額も変わるので。間違えたら大変なことになるから、しつこいぐらい確認します(笑)
そこまで見るんですね… 覚えることが多そうです。
最初は大変でしたね(笑)。しかもお客様によって連絡の頻度も違うんです。「船がいつ着くか細かく教えて」っていう方もいれば、「直前でいい」っていう方もいて。
お客様ごとに対応を変えるんですね。
そうなんです。あと、世界情勢も関係してきます。例えば最近だとトランプ関税の話も出てたじゃないですか。関税が上がると納税額も増えるので、「いつ輸入するのがいいですか?」って相談されることもあります。
ニュースで見るような話が、実際の仕事に影響するんですね。
為替レートも毎日変わりますからね。たった1円の差でも積み重なると莫大な金額になるんです。納期に余裕があれば「来週の方が抑えられますよ」って提案しますし、スピード重視なら「今週中に通関切りましょう」って動きます。
物流っていうより、商社の仕事みたいですね。
本当にそうかもしれないです。デスクワークが中心で、電卓叩いて細かい数字を見てっていう毎日なんですけど、その分、自分の判断がお客様の利益に直結するんです。それがやりがいですね。
高さ40mのクレーンから事務所まで。点と点が線になる瞬間
でも、現場でコンテナを運ぶ作業もあるんですよね?
はい。通関が終わったコンテナを、船から降ろしたり積んだりする作業があります。そこで使うのが「ガントリークレーン」っていう、高さ40メートルくらいある巨大なクレーンなんです。
40メートル!?
そうなんです。博多港には黄色いキリンの色に塗られたクレーンがあって、結構有名なんですよ。重機を扱うので危険と隣り合わせなんですけど、安全を第一に、時間内に、お客様の大切な荷物を丁寧に扱うっていうのを常に意識してます。
事務作業と現場作業、両方が連携してるんですね。
そうです。通関が終わらないとコンテナは動かせないので。あと、お客様との間に入って、「何日に船が着くので、最短で何日には荷物を出せますよ」って調整する部署もあって。実はうちの会社、6拠点に分かれてるんです。
6拠点!?それぞれ離れてるんですか?
はい。通関する場所、コンテナを保管する場所、お客様とやり取りする場所…それぞれが離れてるので、普段はほとんど顔を合わせないんですよ。基本は電話かメールですね。
それなのに、こんなにスムーズに連携できてるのはすごいですね。
「自分がこけたら他の人に迷惑がかかる」っていう意識が、みんな強いんだと思います。だから、書類を届けに行く時とかに会えると、「いつもありがとう」とか雑談したりして。そういう何気ないコミュニケーションが大事なんです。
なんかチームスポーツみたいですね。
まさにそうです。現場はチームで動くことが多くて、10人1組とかで船の荷役作業をするんですけど、部活みたいな感じなんですよ。目的が一緒だから、思いやりが大事になってくる。
仕事がみなさん楽しそうですね。
楽しいです。月曜日が嫌じゃないんですよ。むしろ早く仕事したいって思うくらいです。

「月曜日が嫌じゃない」って本当?毎日が勉強になる理由
月曜日が嫌じゃないって、本当ですか?
本当です(笑)。大体みんな「月曜日は憂鬱」って言うじゃないですか。でも、休みの日でも仕事のこと考えちゃうくらい、楽しんでやってる人が多いと思います。
どんなところが楽しいと思いますか?
やっぱり、毎日勉強になるんですよね。入社前は「物流=運ぶ」っていうイメージしかなかったんですけど、実際にやってみると、知らないことがたくさんあって。例えば、コンテナを返却する時に洗うんですよ。
コンテナを洗うんですか?
はい。日本だけなのかもしれないんですけど、基本的には洗って返却するんです。でも、海外から来るコンテナって、中が結構汚れてるんですよ。土がついてたり、傷んでたり。それを見て、「こういうところまでやるんだな」って驚きました。
そこまで丁寧にやるんですね。
そうなんです。入社前は、通関っていう仕事があることも知らなかったし、税番とか為替とか、そういう知識が必要だとも思ってなかった。でも、やってみると点と点が繋がっていく感覚があって、それが面白いんです。
点と点が繋がるって、どういうことですか?
最初は自分の担当してる仕事しか見えてなかったんですけど、だんだん、その前後に他のメンバーがいて、お客様がいて、最終的にお客様に届けるまでの流れが全部繋がってるって分かってきたんです。その繋がりが見えた時、「こういうことか」って思いました。
仕事全体が見えてくると、面白くなるんですね。
そうなんです。この仕事がしたくて、7、8年待ったっていう人もいるんですよ。募集がかかるまでずっと「空きが出たら教えてください」って言い続けて、やっと入れたって。
7、8年も!?それだけ魅力的な仕事なんですね。
学部も国籍も関係ない。物流が教えてくれたこと
いろんなバックグラウンドの人が働いてるんですか?
そうなんです。理学部出身で地質学を勉強してた人もいますよ。その人は「第一次産業に関わりたい」っていう思いがあって、今は木材とか食品とかの輸入を担当してます。中国出身の社員もいて、日本に来て1年で日本語2級、その後1級まで取って。今はもう僕たちと同じくらい話せるし、仕事もバリバリやってます。
文系でも理系でも、国籍も関係なく活躍できるってことですね。
そうです。もちろん最初は覚えることが多くて大変ですけど、その分、毎日新しいことを学べるし、成長を実感できるんです。
物流業界、全然イメージと違いました。
物流に興味がある人はもちろん、「特殊な仕事がしたい」「世界と繋がる仕事がしたい」って思ってる人にも、ぜひ見てほしい業界だなって思います。

木材の加工方法を一つひとつ確認する細やかさ。
為替や関税といった世界情勢を読みながら、最適なタイミングを判断する専門性。
そして、離れた拠点同士でも支え合うチームワーク。
取材を通して見えてきたのは、「物流」という仕事が、ただモノを運ぶだけではなく、
人・情報・世界を繋ぐ仕事だということでした。
最初は点でしか見えなかった自分の仕事が、
やがて前後の工程や仲間、お客様へと線で繋がっていく。
その瞬間に、この仕事の面白さと誇りが生まれる——
相互運輸で働く皆さんの言葉から、そんな実感が伝わってきます。
「特殊な仕事がしたい」
「世界と関わる仕事がしたい」
「毎日、新しいことを学び続けたい」
もし少しでもそう感じているなら、
物流業界は、想像以上に奥深く、そして面白い選択肢かもしれません。
コンテナ1個の向こう側には、世界と繋がる仕事が広がっています。