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インタビュー

三洋ペイント社長が語る 成長を支える感謝の心 

福岡に拠点を置く三洋ペイント株式会社は、社員一人ひとりの成長を支え、感謝の心を大切にする企業文化を築いています。今回、リクルートWebマガジンVamosの学生リポーターは、三洋ペイントの松下社長にインタビューを行いました。これから就職活動を始める皆さんにとって、企業選びの重要なポイントとなる「職場環境」や「成長機会」について、リアルな声をお届けします。 

三洋ペイント株式会社

代表取締役 松下社長

三洋ペイントの事業内容とその役割 

今日はお時間をいただきありがとうございます。三洋ペイントの事業内容から教えていただけますか? 

三洋ペイントでは、戸建て住宅の外壁や屋根の塗装を主力事業として行っています。この塗装というのは、ただ見た目を美しく保つだけではなく、お客様の大切な家を耐久性や防水性の観点からしっかりと守るために非常に重要な役割を果たしているんです。私たちは、この仕事を通じて、住宅の寿命を延ばし、お客様が長く安心して住める環境を提供するお手伝いをしています。 

また、外壁だけでなく、例えば雨樋や破風板など、家の細部に至るまでの塗装や修繕にも対応しています。こういった作業を通じて、家全体を総合的に保護するサポートを行っているんです。さらに、お客様から家の内装やリフォームに関するご要望をいただくこともあります。その場合、私たちで対応できる範囲は直接施工しますが、専門的な分野や大規模な工事が必要な場合には、信頼できる提携業者をご紹介し、最適な解決策を提案しています。 

外壁や屋根の塗装が家の寿命や安心に深く関わるんですね。社内では専門的な職種の方が多いのですか? 

実は営業を中心とした会社なので、塗装作業自体は長年お付き合いのある業者に委託しており、これにより品質を確保しつつ効率的に業務を進めることができています。現在、自社で塗装作業を行う職人は1名のみで、塗装業者とは業務提携や契約を結び、依頼ベースで作業をお願いする形態をとっています。ただし、長期間の信頼関係により、お客様から直接施工を希望されることもあり、その場合には弊社の職人が対応させていただいています。 

塗装する職人さんが多いのだと思っていました。もともとは塗装をする会社だったのですか? 

創業当時からこのスタイルなんですよ!1995年に私の父がオーナーとして事業を始めました。父はもともと塗装会社の営業として活躍し、顧客との強い信頼関係を築いていたので、この経験を基に「独立して営業を主軸にした事業を展開できるのではないか」という思いから、三洋ペイントを設立しました。設立当初は少人数のスタートで、父の営業力と既存の信頼関係を活かして、徐々に顧客基盤を拡大していきました。 

設立当初は、自社での塗装作業を行うリソースが限られていたため、塗装業者との連携が重要な課題でした。信頼できる業者を見つけるために多くの時間と労力を費やし、最終的には長年にわたるパートナーシップを築くことができました。このパートナーシップにより、当社は高品質なサービスを提供することが可能となり、顧客満足度の向上にも繋がっています。 

三洋ペイントが提供する昇進のチャンス 

営業を中心に展開されているんですね。お客様との信頼関係を築くことは簡単なことではないと思うのですが、具体的にはどのような工夫や努力をされているのですか? 

営業部門のスキルアップを図るために、様々な形で研修と教育を実施しています。かつては、各支店において支店長が新入社員を指導し、周囲の社員がサポートを行う形での育成が主流でした。これにより、各支店ごとの特色に応じた柔軟な指導が行われていました。しかし、現在では本社に社員を集めての研修が主な形態となり、リモート環境を活用して、遠方にいる社員にも同様の教育を提供できるようになっています。これにより、社員全員が一貫したスキルを持つことができ、組織全体のサービスの質の向上を図っています。 

新卒採用にも力を入れていて、現在、北九州支店では、研修を受けている新卒社員が2名います。当然入社時点ではまだ十分なスキルを持っていないので、段階的に研修を受けることで、着実に成長できるようにサポートしています。営業未経験者の新入社員に対しては、特に基礎からの丁寧な指導を心がけています。中途採用者については、一般的に3ヶ月を目標に独り立ちできるよう育成を進めていますが、新卒社員に対しても同様の期間を目指しつつ、個々のスキルや成長速度に合わせた指導を行っています。理想としては3ヶ月での独り立ちですが、社員一人ひとりに合わせた柔軟なアプローチで、無理のない成長をサポートしています。 

段階的に研修を行い、着実に成長できる環境を整えているんですね。実際に研修を通じて、営業未経験から短期間でも成長が可能なものなのですか? 

成長スピードは人それぞれですが、入社わずか2年目で支店長に昇進できた社員がいます。入社時から人前で堂々と話すことができる優れたコミュニケーション能力を持っていたので、面接の段階から光っていました。私たちも、早い段階で成果を上げるだろうと期待していましたが、ここまで早く結果を出してくれるとは予想しておらず、非常に嬉しい驚きでした。 

三洋ペイントでは、年功序列に囚われず、実力に応じて早期に昇進できる体制を整えています。入社2年目での支店長昇進は、まさにその一例であり、会社としても最短の昇進例に近いものでした。通常、支店長に昇進するには数年の経験を要することが多いのですが、彼は2年目にしてその役職を任されることとなりました。 

営業成功のカギとは? 

年功序列にとらわれず、実力に応じて早期に昇進できる体制は魅力的ですね。自分の力を発揮し、早い段階で結果を出せる環境で成長できることも刺激的です。営業で成功する人の共通点などはありますか? 

まず第一に、人の目を見てしっかりと話せることですね。人の目を見て堂々と話せる人はコミュニケーション能力が高いなと感じます。これは営業職において非常に重要なスキルであり、お客様との信頼関係を築く上で不可欠です。コミュニケーション能力があれば、ニーズを正確に理解し、相手に対して適切な提案を行うことが可能となります。さらに、謙虚で誠実な人柄を持ち、周囲からの信頼も厚いことも条件になってきます。チームワークを大切にし、他の社員とも円滑に協力する姿勢を持つことはどんな仕事でも必須になります。加えて、仕事に対して常に上を目指す強い意志を持ち、その向上心も必要だと思います。どんな困難に直面しても、粘り強く挑戦し続ける姿勢こそ、成功の近道とも言えます。 

成長するためには常に上を目指して粘り強く取り組む姿勢が大切なのですね。 

もちろん、社員が上を目指したくなる環境を作ることも重要だと考えています。優れた人材がさらに成長し、活躍できる環境を提供していきたいですね。新しいスキルや知識を習得するための研修プログラムを定期的に実施し、社員が自分自身を磨き、自らの力で道を切り開くことができるよう、会社全体でサポートを続けていきます。 

特別な才能が営業成功に必要なのではなく、努力をコツコツとやっていくことで成長でき、その延長線上に成功があるのだと思います。 

上を目指したくなる環境はありがたいですね。評価体制や社内のサポートも私たち学生は気になるところだと思います。 

従来のように営業成績を積み重ねて役職や評価を上げるだけでなく、幅広い視点からの人材育成と組織のマネジメントが今後さらに重要になってきます。これまでは、営業担当者が成果を出し、その結果として役職が昇進し、部下を育てながら支店をマネジメントするという流れが基本でした。このプロセスは長年にわたり成功を収めてきましたが、変化する市場環境に対応するためには、それだけでは十分ではないと感じています。 

そこで、様々な側面から組織を支えることができる多様なキャリアパスを社員に提供したいと考えています。これは、営業成績に依存するだけでなく、サポート能力や多面的な視点を持つ人材を育成し、組織全体がバランスよく機能するための取り組みです。営業の現場では、顧客との対話や実務を通じて、社員が成長できるようサポートを行っています。また、事務所内では役割分担を明確にし、各自が自分の強みを活かしてサポートし合う体制を整えています。このようにして、社員一人ひとりが独り立ちできるよう支援しつつ、全体としての調和を図っています。 

信頼関係を築くために―三洋ペイント社長が考える組織の在り方 

自分の強みを活かせる職場は、組織に貢献できているという実感から大きなやりがいを感じられそうです。三洋ペイントの職場環境はどのようなものでしょうか? 

アットホームでオープンな職場環境を作ることを非常に重視しています。特に、上司と部下の間で「質問しにくい」「意見を言いにくい」という空気感を絶対に作らないよう、常に意識しています。忙しいときや考え事をしているときには、どうしても厳しい表情になったり、早口になってしまうことがあるかもしれませんが、どんな時でも社員が話しやすい雰囲気を維持することを最優先にしています。 

みなさんで話がしやすい環境を意識されているんですね!

社員に「報告・連絡・相談(報連相)」を促す際、単に義務として強いるのではなく、社員が自然と「報連相」をしたくなるような環境を作ることが大切だと思います。この考え方を全社に浸透させるため、日々のコミュニケーションにおいても、社員が気軽に意見や質問を言える雰囲気づくりを心がけています。すべての社員が100%完璧にこれを実践できるわけではないかもしれませんが、私自身が率先してこの姿勢を示すことで、組織全体にその精神が根付くよう努めています。 

単なる営業成績を追求する企業ではなく、社員一人ひとりが成長し、支え合いながら、全体として強い組織になるよう目指しています。 

気軽に相談できるのは私たちの世代からするとありがたい環境です。そういった環境は成長できるだけでなく、能力発揮にもつながっているように感じます。 

報告や相談が行われない場合、それは社員側だけの問題ではなく、自分自身や管理職にも原因があるのではないかと常に考えています。たとえば、「この人には相談できるが、あの人には相談しにくい」という状況が生じるのは、組織内の信頼関係に問題があるんだと思います。私自身も忙しさから社員に話しかけづらい雰囲気を作ってしまっていないか、また、社員が話しかけるタイミングを躊躇してしまうような状況を作り出していないか、自分自身を振り返り、改善を心がけています。 

社長自らがそういう雰囲気になっていないか振り返って改善していると聞くとハッとさせられます。今日お話して社長の人柄もそうですが、社員皆さんアットホームな雰囲気が伝わってきます。 

そう言ってもらえると嬉しいですね!特に私は、自分一人で業務をこなしているのではなく、多くの優秀な人財に支えられていることを強く認識しています。私自身が抱える不安やプレッシャーに対して、周囲のスタッフがしっかりとサポートしてくれていることは本当にありがたいですね。三洋ペイントは決して一人の力によるものではなく、信頼できるスタッフに恵まれたからこそ成り立っています。事務スタッフや営業チーム、さらには受付スタッフに至るまで、全ての社員が細やかな気配りを欠かさず、お客様に対しても常に最高の対応をしてくれることに感謝です。 

感謝の心を企業文化に―三洋ペイントが目指す誠実な組織づくり 

このような謙虚で感謝の気持ちを持ち続ける社長の姿勢は、自然とアットホームで信頼に満ちた職場環境につながっているように感じます。そもそも将来は社長になると決まっていたのですか? 

私が三洋ペイントの代表に就任することが決まったのは、実は2年前のことで、それまで自分が社長になるとは全く予想していませんでした。私はもともと事務職として会社に入社し、長年その業務に携わっていました。自分が事務方に専念するものだと思っていたため、社長という役職が自分に回ってくることはないと思い込んでいました。 

突然の展開に戸惑いを感じましたね。特に、「もし自分がこの役職を断ったら、会社や社員たちはどうなってしまうのだろう」「自分が三洋ペイントの社長なんて務まるのだろうか」という不安が大きく、プレッシャーを感じていました。それでも、「この素晴らしい社員たちと共に、この会社を続けていきたい」という強い思いがあり、最終的には覚悟を決めることができました。「みんなが一緒に頑張ってくれているから、私も頑張らなければならない」という強い責任感とともに、社長を引き受けました。 

性格的には決断に迷いがないタイプではありますが、この件ではかなり悩みました。 

そういった“悩み”はどうやって解消していきますか? 

そもそも普段は悩む時間は短いんですよ。寝たらスッキリするタイプなんです(笑)なので社長になるかどうかはいつもより長く悩みましたね。 

でもこうした悩みが発生すると私はいつもネガティブな部分を一つひとつ消していきます。ネガティブに感じている部分はどうしたら解消できるのか、それを考えていくことで、最終的に決断するというスタイルです。 

そもそも物事を楽観的に捉える姿勢が、最終的な決断を下す際の強さとなっているように思います。どんなに不安やプレッシャーがあっても、最終的には「なんとかなる」と自分に言い聞かせ、困難に立ち向かう決意を固めるようにしています。 

就職活動で悩むことが多いので、社長の考え方はすごく役立ちそうです。多くの学生が将来に対してネガティブな考えにとらわれ、行動を止めてしまいがちですが、一つずつネガティブな要素を排除していくことで、前に進む力を得ることができるんですね。決断力の重要性を実感しました。社長になったことで変わったことはありますか? 

以前は事務職として働いていたため、事務員や支店長とのコミュニケーションは頻繁に行っていましたが、社長に就任してからは営業スタッフとの関わりが増えた一方で、事務員との接触が減ってしまったことに対して少し寂しさを感じています。 

営業スタッフとのコミュニケーションについては、私自身が「コミュニケーションが得意ではない」と感じているため、距離感の取り方に悩むこともあります。営業の経験がないことから、営業スタッフに対してどのように声をかけるべきか、また、彼らがどのように受け取るかについて不安を感じることもあります。特に、営業現場での経験がない立場から発信する言葉が、営業スタッフにとってどれほど響くのか、適切に伝わるのかを常に気にかけています。 

それでも、自分の立場を逆手に取って考えてみると、「営業をしていないからこそ、お客様の気持ちに100パーセント共感できる」という強みになるわけです。これをコミュニケーションの際に活かそうとしています。営業現場での経験はなくとも、お客様の視点からのアドバイスを提供することで、営業スタッフに新たな視点を提供しようと努めています。 

立場を逆手に取って考え、それをコミュニケーションに活かすってすごいです!部下とのコミュニケーションで心掛けていることがあれば教えてください。 

私自身は細やかな配慮が得意なタイプではないですが、社員たちに対して適切なタイミングで気持ちを切り替えるきっかけになってくれたらと思っています。たとえば、会話を通じて「張り詰めていた気持ちが少し楽になった」「今日も暑いけれど、午後から頑張ろう」と思えるような、社員たちが前向きに取り組める雰囲気を作り出すことを目指しています。 

単にトップダウンの指示を与えるのではなく、社員たちが自らの力で前進できるようなきっかけになりたいですね。 

信頼関係を築く上でそういった気遣いが大切なんですね。一緒に働きたいと考える人物像もポジティブな方になってきますか? 

私自身、ポジティブな姿勢を持ちながらも、ネガティブな側面を持つ人を完全に否定するわけではありません。むしろ、何かに対して一生懸命に努力しようとする姿勢が重要であり、そのような人には大きな伸びしろがあると感じています。「話すことが苦手」という方でも、もしその人が「頑張りたい」という意志を持っているならば、一緒に成長していく道はあると思います。つまり、ネガティブな面を持つこと自体は問題ではなく、それを乗り越えようとする意志があるかどうかが重要だと考えています。 

大切なことは、自分自身の感情を客観的に捉えることです。ネガティブな感情を感じた時には、その原因を吐き出し、冷静になってから「本当に今悩むべき問題か」を判断することで、ネガティブな感情に飲み込まれず、ポジティブな解決策を見出すことができるかもしれません。 

人は誰でもネガティブな感情に捉われてしまうことはあります。その時はまずはその感情を受け入れつつ、最終的にはポジティブな方向へ向かう努力を惜しまないことが大切であり、そういった方と一緒に働きたいですね。就職活動では悩みを抱えやすいと思いますが、まずは自分の感情を素直に受け入れ、それをどう乗り越えていくかを考えてみてください。 

ネガティブな思考そのものが悪いわけではなく、その感情に引っ張られないことが重要なんですね。最後に、社長が企業経営をしていく上で大切にしているものは何でしょうか? 

強い信念と感謝の心を持ち、それを社員に伝えていくことも私の仕事だと考えています。毎週の朝礼を通じて、自分の考えや価値観を社員と共有し、日常における感謝の心が人生を豊かにし、物事をポジティブに変える力になると話しています。 

私たちの日常は、決して当たり前のものではありません。世界を見渡せば、毎日ご飯を食べられることや、明日が来ることさえも保証されていない状況が多く存在します。その中で、自分や大切な人が健康に過ごせていることは、それ自体が非常に幸せなことであり、感謝の念を忘れてはならないと考えています。たとえ困難なことがあったとしても、自分が大切にしている人々や事柄が守られている限り、それは一時的な問題に過ぎず、必ず乗り越えられると信じています。 

三洋ペイントでは、「感謝できる人、そして感謝される人になること」を大切にしています。社内全体に感謝の心を浸透させることを目指し、その一環として「10万回の感謝を伝えあう」という具体的な目標を掲げています。この理念を通じて、社員一人ひとりが日常的に感謝の気持ちを持ち続け、前向きな社内の雰囲気を作り上げていくことを奨励しています。 

私たちが目指しているのは、単にビジネスの成功を追求するだけではなく、会社全体が社会に対して誠実であり続けることです。この信念を持ち、共に成長していける企業でありたいと考えています。 

社長のお話を伺い、三洋ペイントが感謝の心を大切にし、それを企業文化として根付かせていることに深く感銘を受けました。感謝の気持ちが社員一人ひとりの行動に反映され、それが会社全体の成長と社会への誠実さに繋がっていることを理解しました。私自身も、感謝の心を忘れずに、社会に貢献できる人財になりたいと強く思います。本日は貴重なお話をありがとうございました。