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インタビュー

「信頼される人って、どう育つ?」──ザザグループが80年続けてきた“正直な商売”のかたち

「この人なら、きっと任せられる」
そんな信頼をお客様から集める社会人は、どんな環境で育つのでしょうか。

明確なマニュアルや育成制度ではなく、日々の姿勢や会話の積み重ねの中で、
“信頼される人”が自然と育っていく会社があります。
それが、創業から約80年、「正直な商売」を貫いてきたザザグループです。

メンズ服を中心にアパレル事業を展開しながら、
大きいサイズ専門店やオーダースーツなど、さまざまな領域にも挑戦を続けるザザグループ。
社員一人ひとりの人柄を大切にし、お客様や仲間との関係性を丁寧に育む文化の中で、人との信頼関係を何よりも大切にする価値観が根づいています。

就職活動の中で、「どんな会社を選ぶか」だけでなく、
「どんなふうに育っていきたいか」を考えるヒントが、ここにはあるかもしれません。

“正直に売る”ことが、いちばん強い——創業者の想いが、今も会社の軸に

戦後すぐに創業されたと伺いましたが、どういった経緯だったのでしょうか?

私の父が立ち上げました。当時はまだ物資も不足していて、最初はアイスキャンディーの製造販売から始めたんです。砂糖が貴重だった時代に、なんとか手に入れて、手作りで提供していました。それが地元で人気を集めたことが、商売の第一歩になりました。

アパレルではなく、食品からのスタートだったんですね。ちょっと意外です。

そこから、洋服の販売に転じたのですが、父が一貫して大切にしていたのは、「いいものを、正直な価格で売る」という姿勢でした。
スーツ1着が当時は1万円もするような時代で、今とは1万円の価値もまったく違います。普通は5割以上の利益を取るのが当たり前でしたが、父は「利益は4割まで」と決めていました。儲けよりも“信用”を何よりも大事にしていたんです。

信頼を積み重ねることが、商売の基本という考え方だったんですね。

そうですね。その精神は今も会社の軸になっています。私自身、新しい事業に挑戦するときも、「ザザホラヤだから大丈夫」と言っていただけることがあるんです。それは、創業以来、誠実な姿勢を守ってきたからだと思っています。

創業者の考えが、今の企業文化にも息づいているんですね。

はい。うちがここまで続けてこられたのは、“いいものを、正直に売る”という、当たり前のことを当たり前に続けてきたからだと、今も実感しています。
そしてその想いは、扱う商品のジャンルが変わっても変わりません。たとえば私たちが「大きいサイズ専門店」に力を入れてきたのも、誰かにとって本当に“必要なもの”を、誠実に届けたいという想いが出発点でした。

 なぜ“ビッグサイズ”に挑んだのか?——市場のすき間に、確かなニーズを見つける力

たしかに、「誰かにとって必要なものを届ける」という姿勢は、御社の事業展開にもつながっているんですね。中でも、大きいサイズ専門店の「ビッグエムワン」はとても印象的です。なぜこの分野に力を入れるようになったんですか?

うちはもともとスーツを中心に展開してきたんですが、業界全体が縮小していくなかで、「このままじゃ大手の企業には勝てない」と感じていました。大手の企業と、同じ土俵で戦っていても厳しい。だったら、“他がやっていないこと”をやろう、と。

それが、“大きいサイズ”だったんですね。

はい。当時、日本には専門でやっている会社が一社あるかどうかという状況でした。でも、アメリカに出張したときに、大きいサイズの市場がすでにちゃんと成立していて、「これは日本でも絶対ニーズがある」と確信したんです。

なるほど。海外の現場にヒントがあったんですね。

そうです。帰ってきてすぐに動きました。まずは海外から商品を自分で仕入れて、大きいサイズも扱いながら、“サイズだけ”じゃなく“質”にもこだわって。着心地や見た目も妥協しないラインナップにしました。

サイズが合うだけじゃなくて、「本当に着たいと思われる服」であることが大事なんですね。

まさにそれです。最近ではスーツを着る人も減ってきているので「セットアップフリーダム」というコンセプトを掲げて、カジュアルに着られる上下別売りのセットアップスーツを自社で開発するなど、時代のニーズにも合わせてきました。

単なる事業拡大じゃなくて、「お客様が本当に困っていること」に応えようとしてきたんですね。

「ビッグエムワン」として、今では全国に80店舗以上を展開しています。スーツだけに依存せず、事業の柱を増やすことができたのは、この挑戦があったからだと思っています。ただ、どんなに良い商品をそろえても、最終的に「ここで買おう」と決めるのは、お客様の気持ちです。やはり、「この人から買いたい」と思っていただけるかどうかが、一番大きいと感じています。

「この人から買いたい」を生む接客——信頼は、会話の中に宿る

なるほど。言われてみると、たしかに「この人なら信頼できそう」と思えるかどうかって、すごく大事なポイントかもしれません。

まさにその通りです。私たちが接客でいちばん大切にしているのは、お客様との“会話”なんです。ただ商品の説明をするのではなく、「この人と話していると楽しい」と思っていただける関係づくりを心がけています。

具体的にはどのようなことをしていますか?

たとえば「最近どうですか?」とか、「この前テレビで見ましたけど…」といった、ちょっとした話題から会話を始めるようにしています。そうしたやりとりの中で、少しずつ信頼関係が生まれていくんです。

商品の魅力を伝えることよりも、“人としての魅力”のほうが先なんですね。

おっしゃるとおりです。「この人なら信頼できる」と思っていただければ、こちらの提案にも耳を傾けていただけますし、何か困ったときにまた相談していただけるようになります。

接客って、もっと「売る」ことが中心だと思っていました。でも、今のお話を聞いて、人との関係づくりの仕事なんだと感じました。

まさにその通りです。販売って、ただモノを売るだけの仕事ではないんです。相手の立場や気持ちを考えて、お客様それぞれにしっかりと向き合う。その積み重ねが信頼につながっていきます。

すごく納得しました。接客って、人としての在り方がすごく問われる仕事なんですね。

ええ、私たちはいつも「商品を売る前に、自分を信じてもらえるかどうか」を大切にしています。人と人との関係があるからこそ、販売の仕事には面白さとやりがいがあると思っています。

 支え合いが、働き続ける力になる——女性が安心して成長できる場所

そうした関係を大切にする風土があるからこそ、働く人にとっても安心できる環境なんですね。実際に、どんな方々が活躍しているのかも気になります。御社では女性の社員が多いと聞いたのですが、それには何か背景があるのでしょうか?

はい、実はスタッフの約7割が女性なんです。もともとはスーツ中心の事業だったので、昔は男性社員が多かったのですが、時代の変化とともに、パートスタッフの比重が増えていって、その中に女性が多かったことが一つのきっかけになりました。

でも、単に人数が多いというだけではなく、活躍の場が広がっている印象を受けます。

おっしゃるとおりです。うちでは、パートからスタートして店長になった方もいれば、店長から本部スタッフになった方もいます。やる気と実力があれば、雇用形態や性別に関係なく、どんどんチャンスをつかめる環境を整えてきました。

たとえば、育児や家庭の事情などでフルタイム勤務が難しい人もいると思うのですが、そういった面でのサポートはあるのでしょうか?

もちろんあります。たとえば子どもの体調不良などで、急にお休みが必要になることもありますよね。
育児や家庭のことは本来、男女どちらにも関わるものですが、女性側に負担が偏りがちなのも現実です。そのため、シフトの調整や産休・育休など、制度は整えていますし、そうした時にもお互いに支え合う関係が、自然とできています。

制度だけじゃなくて、現場の雰囲気として「助け合い」が根づいているんですね。

そうなんです。特に、子育てを経験してきた社員が後輩に声をかけてくれたり、「困ったらお互い様だよ」って自然に言える空気がある。だからこそ、みんなが自分らしく働けるのだと思います。

働きながら成長していく姿が、次の誰かの挑戦を後押しするような環境ですね。

まさにそのとおりです。接客の仕事って、自分自身が誇りを持って働いていないと、お客様にも伝わってしまうんです。だからこそ、安心して働けて、自分で選択しながらキャリアを築いていける職場であることは、とても大切だと考えています。

“心いつもハンサムに”——信頼される人を育てる、ザザグループの価値観

先ほど、職場の助け合いの文化についてうかがいましたが、それって社内全体に共有されている考え方なんですか?

ええ、実はうちには「心いつもハンサムに」という、少しユニークな言葉があるんです。見た目ではなく、“人としての中身が整っていること”を大切にしようという考え方で、創業当初から受け継がれてきたものです。

「心をハンサムに」って、素敵な表現ですね。でも、少し驚きました。そこまで人間性を重視しているなんて。

販売って、人と人との信頼関係のうえに成り立つ仕事なんです。だからこそ、スキルや経験よりも、「人としての在り方」を大切にしています。とくに私がよく話すのは、「親を大切にできる人は、仕事でも人を大切にできる」ということですね。

親との関係って、仕事とあまり結びつかないように思っていました。

たしかにそうかもしれません。でも、いちばん身近な存在に感謝できない人が、お客様や同僚に心から向き合えるかというと、難しいと思うんですよ。うちでは、まず“人として信頼される人になること”を、接客よりも前に教えるようにしています。

会社としての一貫した教育方針なんですね。

そうですね。もちろん、商品知識や提案のしかたも大事です。でもそれ以上に、「あの人なら安心できる」「また話したくなる」と思っていただけるような人になってほしい。だから、人間性を磨くことを、会社としてもサポートしています。

それは社員の方々にもしっかり伝わっているんですか?

ええ、30年近く勤めてくれている社員が「この会社の“人を大切にする姿勢”だけはずっと変わらない」と言ってくれたことがあって。それは本当にうれしかったですね。そういう価値観を共有できるからこそ、社員同士も気持ちよく働けているんだと思います。

働く前に知っておいてほしいこと——“販売の仕事”が教えてくれる、生きる力

ここまでお話を聞いてきて、販売の仕事に対するイメージが変わりました。販売って、もっとマニュアル通りの作業に近いのかなと思っていたんですけど、実際は人と向き合う仕事なんですね。

そう感じてもらえたのなら、うれしいですね。私が学生の方によく伝えるのは、「学生時代のアルバイト経験は、将来必ず自分の糧になる」ということなんです。とくに接客のアルバイトは、社会人になる前に“人と関わる力”を自然と身につけられる貴重な機会だと思っています。

確かに、学校の授業だけでは身につかないことも多いですよね。

はい。たとえば居酒屋やカフェで、「ビールが遅い!」とか「注文と違う!」とお客様に怒られることもあると思います。そんなとき、その場でどう対応するか。その経験が、実は社会に出てからものすごく活きるんです

お客様とのやりとりを通して、“相手の気持ちを想像する力”や“会話のキャッチボール”が自然に磨かれる。これは本を読んでも、講義を聞いても身につかない、現場ならではの学びですよ。

学生時代に、ただ「アルバイトをする」だけじゃなくて、そこで人とどう関わるかが大切なんですね。

そうです。商品を売ることより、相手と向き合うことが大事。うちの会社が販売職を「人と人の仕事」と考えているのも、そこが原点なんです。

「信頼される人になりたい」──そう思ったとき、どんなスキルを身につけるか以前に、「どんな環境で働くか」は、とても大切な問いかけかもしれません。
ザザグループの社員が自然体でお客様と向き合い、人としての魅力を大切にしながら働いている姿には、そのヒントがあります。

誠実な商売を貫く文化の中で、“心をハンサムに”働く人たち。
マニュアルではなく、会話や信頼の積み重ねで磨かれていく力。

就活中の今だからこそ、「自分はどんな人になりたいか」に立ち返ってみてください。
きっとそこから、進むべき道が見えてくるはずです。

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