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インタビュー

社長が語る!インフラで世界に挑むプラント設計!

普段はあまり目にする機会がない「プラント設計」という仕事。しかし、その設計が石油や天然ガスの加工から水素生成、CO2の削減技術に至るまで私たちの暮らしを支え、地球規模の課題に向き合っています。翼エンジニアリングサービスは、そんな大規模なプロジェクトを手掛けるだけでなく、先進的な技術や環境への配慮、さらに社員の成長を大切にする企業です。

今回、翼エンジニアリングサービスの西川社長に、プラント設計のスケールの大きさや未来を見据えた挑戦についてお話を伺いました!さらに、社長自身のキャリアの中で語られた驚きのエピソードもあり、魅力が詰まった内容となっています。ぜひご覧ください!

翼エンジニアリングサービスのプラント設計とは?

西川社長、本日はよろしくお願いします!「プラント設計」と聞くことは多いのですが、具体的にどのようなことをされているのか、詳しく知りたいです。

こちらこそよろしくお願いします!プラント設計というのは、簡単に言えば工場を設計する仕事です。例えば、石油を原料にしてガソリンや軽油を生成する工場が挙げられます。さらに、地中にある天然ガスを液化して日本に輸送するための設備などもあります。これらの工場は原料を加熱したり冷却したり、圧力を加えることで様々な製品を分離して作り出します。

すごくスケールが大きいんですね。

そうです。例えば、皆さんが普段出すゴミを焼却する設備や、化学薬品を製造する工場も手掛けています。また当社は特許を持つ技術として、下水処理場から発生する汚泥を熱分解して水素を取り出す設備も開発しています。このような技術を活用し、普段目にすることの少ない大規模な工場や施設を設計しています。

設計はどのような手順で行われるのですか?

まずは、どういう温度や圧力で原料を処理するかという「プロセス設計」から始まります。それに基づき、必要な機械や設備を選定し、それらをどう配置し、どう繋げるかを設計します。また機械同士の接続後にどのように制御するか、たとえば一定の圧力に達したらバルブを自動で開ける仕組みなども考えます。

プロセス設計の後は具体的にどのように進むのですか?

例えば、新しい工場を作ろうとする企業が構想を立てます。その際に「いくらかかるのか」という初期見積もりを出すのが私たちの役割です。その後、詳細な設計を進め、実際のコストを明確にし、顧客が資金調達を終えたら、具体的な設計や部品の調達、工事に移ります。大規模な案件では、構想から工場が稼働するまでに6年ほどかかります。そのうち、設計期間が2~3年を占めることもあります。

進化する技術と多様化する働き方

そんなに長い期間をかけて設計をしているとは思いませんでした!プラント設計で使われる最新技術について、詳しく教えていただけますか?

最近では、3Dスキャンという画期的な技術があるんです。これまでは人が直接現場に行って手作業で測定を行う必要がありました。でも、今はドローンに3Dスキャン装置を載せて現場を飛ばすだけで全体のデータが数分で取得できます。そのデータを使って設計を迅速に進めることが可能になったんです。

その技術のおかげで設計までが大幅に効率化されたんですね。

また、以前は紙の図面を読み解く力が設計の必須スキルでしたが、3D設計ソフトの普及によりその必要がなくなりました。これにより、女性や文系出身の社員も設計業務で活躍できるようになりました。当社では現在エンジニアの約3割が女性で、その多くが文系出身です。特にデザインセンスや構成力が問われる業務では、文系の方でも十分に対応できます。

文系でも設計の道が開かれているのですね!理系の知識がなくても大丈夫なのでしょうか?

もちろん理系の基礎がある方が有利な場面もありますが、設計の多くは入社後の研修や実務を通じて学ぶことができます。特に当社が手掛けるプラント設計は、超高度な専門性を要する部分と、デザイン的なアプローチが求められる部分に分かれており、後者であれば文系でも十分に力を発揮できます。私たちは社員を一から育てる覚悟で教育しています。

技術が進化したことで、働き方も大きく変わったのですね。

そうですね。技術の進化は、仕事を効率化するだけでなく、多様な人材が活躍できる環境を作り出しています。

社員第一主義で未来を拓く育成

仕事の中で専門的知識が必要になると思うのですが、どのような研修制度を設けているのでしょうか?

新入社員には、入社後2~3カ月は全く仕事をさせません。座学を中心に、業界で使われる専門用語や部品名、当社を取り巻く環境について徹底的に学んでもらいます。その間はOJT(On-the-Job Training)として、上司や先輩のもとで基礎を身につけてもらいます。来年度からは「バディ制度」を導入して、マンツーマンでしっかり指導する予定です。

最初の数ヶ月を勉強に専念できるのはありがたいですね。

社員をしっかりと育成して、自信を持って仕事に挑める環境づくりが必要なんです。顧客第一主義と言われることが多い業界ですが、私は社員の成長を第一に考えています。なぜなら社員が充実し成長すれば、それが結果としてお客様への価値提供につながるからです。私は社員を次のステージへ連れていくことを目指しています。

非常に明確なポリシーを持ってらっしゃるんですね。

うちの会社は「ただ安いから仕事を取る」といったやり方はしません。自社の技術力や社員の価値をしっかりと評価してもらえるお客様としか仕事をしないというのが基本方針です。この信念を貫くことで、「生意気だ」と批判されることもありますが、それでも社員を守るためのポリシーは曲げません。必要ならば頭を下げる覚悟もありますが、それまでは自分たちの価値を信じて進みます。

その信念が社員の育成や働きがいにもつながっているのですね。

そうですね。社員には「自分の技術を磨けば必ずそれが自分に返ってくる」と伝えています。技術の習得や経験の積み重ねは、仕事の幅を広げるだけでなく、仕事の楽しさをもたらします。私たちはそのための教育やセミナーを積極的に提供していますよ。それに加えて、若手社員にも大きなプロジェクトの経験を積ませるよう意識しています。たとえば、大手のクライアント企業のプロジェクトチームにうちの社員を送り込み、発注者側の視点を学ばせることがあります。これにより若手が自分の役割以上のことを体験し、大きく成長する機会を得られます。

それは非常に貴重な経験ですね。

はい。クライアントにも「私たちが若手を育てる環境を整えることが、結果的に業界全体のためになる」と説明しています。大手の発注者は、費用を抑えるためにベテランだけを求めることが多いですが、それでは次世代を育てられません。10年後、業界全体の力を高めるために、若手の育成にも投資するよう働きかけています。

社長の挑戦と信念の道の

西川社長は社員の育成や会社の成長に対する強い信念をお持ちですが、社長就任までの道のりもぜひ聞きたいです。

私は前任の社長が急逝したことをきっかけに、突然トップに立つことになりました。当時はまだ若く、組織のトップとしての経験が浅かったですが、社員とは以前から一緒に仕事をしてきた関係だったので親近感がありました。この10年で社員とともに組織をつくり上げてきた感覚があります。

そのような背景があったんですね。

私は中途採用でこの会社に入ったんです。当時、面接の日に駐車場で消火パイプに車をぶつけてしまい、一度逃げて帰ろうと思ったんです(笑)。でも、この会社で働きたい気持ちが勝り、再び戻ってきました。ただ、その時点で面接の時間を1時間半も過ぎていたんですよ。

遅刻して面接に臨んだんですか?!

そうです(笑)。「時間を間違えました」と言い訳をして何とか面接を受けさせてもらいました。それでも採用され、20代から設計の現場で経験を積みました。当時から与えられた仕事に全力で取り組み、常に次のステージを目指す意識を持っていました。

そんなユニークな経緯があったとは驚きです。20代での経験が今のリーダーシップにどのように影響していますか?

私は「社員とともに成長する」という考え方を大切にしています。若い頃から一緒に現場で働いてきた社員がいるので、彼らと共有してきた経験がリーダーシップの基盤です。また自分が中途採用だったこともあり、どんな人にも可能性があると信じています。

先代の想いをつなぎ、挑戦の舞台は世界へ

御社の事業が国内に限らず国際的にも展開していると伺いましたが、具体的にどのようなプロジェクトがあるのでしょうか?

当社には創業時から海外事業の歴史があります。特にイランやイラク、サウジアラビアなど中東地域では原油プラントの設計を手がけてきました。当時の先代たちは戦争の危険がある中でも、「絶対にプラントを完成させる」という信念を持ち続けていました。イラン・イラク戦争のさなかでも、命がけでプロジェクトを完遂したと聞いています。

戦争の中でプロジェクトを進めるとはすごい信念ですね。

そうですね。私たちの先代が命がけで築いた信頼と技術の基盤があってこそ、今の私たちの仕事があると思っています。また1970年代には日本が国策として中国に製鉄所や化学工場を建設し、当社も多くのエンジニアを派遣しました。現地で日本の技術を教え、発展を支援した歴史があります。

それだけ大規模な国際協力を行ってきたのですね。現在もそういった海外プロジェクトを手がけているのですか?

はい。近年では中央アジアや中東地域、たとえばタジキスタンやパキスタンなどの国々との協力が増えています。これらの国々はまだインフラが整っていないことが多く、当社の技術で支援できる分野が多いんです。現地政府と直接話し合いをしたり、日本の外務省や経済産業省に情報を提供して、予算案の検討を促したりすることもあります。

それだけ海外との関係が深いと社員の方々も海外での経験を積む機会が多そうですね。

実は、現状では海外出張を積極的に希望する社員は少ないですね(笑)。ただ、興味を持つ社員がいれば積極的に連れて行きます。現地での仕事は苦労も多いですが、得られる経験は大きいです。国際プロジェクトを通じて視野が広がり、自分の技術がどれほど役に立つかを実感する機会でもあります。

もし海外に行きたいという社員がいたらどう対応されますか?

もちろん歓迎します。ただ、うちは長期出張が多くて、1年や2年になることもあります。例えば、以前ベトナムのホーチミンに営業所があった頃は、半年単位で社員を派遣していました。長期間になると嫌がる人もいますね。

それでも行きたい人にはチャンスを与えるんですね?

そうです。建設現場にスーパーバイザーとして派遣したりもします。言葉が苦手とか食べ物が不安という話もありますが、行けば何とかなるものです。挑戦したい意欲のある社員はどんどん送り出しますね。

以前はどの国に出張されたことがあるんですか?

アメリカにも行きましたよ。ミシシッピ州で部下が安全関連の仕事で1年半滞在していました。アメリカ南部は治安が悪い場所もありますが、そういう地域での経験は大きな財産になります。私はボストンに用事があったので、ついでに彼らを訪問しようと思ったんです。

社長が訪問してくださるのは士気が上がりそうですね!

現地に会いに行くとみんな喜んでくれるんですよ。ですが、その時ちょうど暴動が起きて外出禁止令が出たため、結局行けなかったのですが。

外出禁止令ですか?!そんなこともあるんですね。

直接行けなかったのは残念でしたが、電話で激励しました。現地で頑張ってる社員たちのことを思うとやっぱり顔を見て話したかったんですけどね。だけど、安全第一だから無理はしなかったんです。そこは彼らも理解してくれました。

リーダーを支える右腕の条件

西川社長が右腕にしたくなる人柄や資質について教えてください。

やっぱり相性や直感的な部分もありますが、僕がこれまでで一番の功績の一つだと思っているのは現副社長を引き上げたことです。彼を思い切ってゴボウ抜きで副社長に任命したのですが、組織全体にとっても、僕自身にとっても大きなプラスになりました。今こうして社長としてトップセールスや経営に専念できているのも、彼が右腕として支えてくれているからです。

それが大きな分岐点だったんですね。組織内で反発などはなかったのですか?

確かに「大丈夫か」と言う人もいましたよ。先輩社員の中には抜かれる形になる人もいたわけですから。でも、彼にはそれを跳ね返すだけの資質がありましたし、結果的にその判断は正解でした。立場が人を育てるという部分も大きいですし、彼も副社長という立場になってさらに成長しました。

その資質とはどのようなものでしょうか?

リーダーである私は外部や未来をを見ていて内部の状況を常に把握するのは難しいですが、副社長が内部をしっかり見て情報を整理し、報告してくれることで全体のバランスが取れるんです。

外を見ているリーダーと中を見ている副社長が補完関係にあるわけですね。

そうです。ナンバーツーに必要なのは、トップが見ているものを理解しつつ、中の状況をしっかり把握し伝えられる力です。その上でトップが外部や未来を見る時間を確保するためのサポートができるかどうか。それがナンバーツーの資質だと思います。

そのようなナンバーツーを選び出すのは難しそうですね。

難しいですね。でも、私は現副社長の資質を見抜いて引き上げることができました。組織を運営する上で、こうした判断力はリーダーにとって重要です。また彼自身が成長し、組織の中でその役割を確立したことも大きいです。実際、リーダーは気が弱く繊細な部分を持つことが多いんですよ。それをカバーしてくれる右腕の存在がどれだけ大切かを実感しています。

社長がトップとしての役割を果たすために、副社長が不可欠な存在だということですね。

その通りです。組織運営は役割分担の連続です。ナンバーツーがいなければ、私はリーダーとして外部に集中できませんし、組織全体の調和も取れなくなります。彼を抜擢したのは、私自身の誇りでもあります。

今日は貴重なお時間をいただきありがとうございました!プラント設計の奥深さや御社の技術、さらにはリーダーシップに関するお話まで聞けて大変勉強になりました!

こちらこそ熱心に聞いていただいて嬉しかったです!ぜひ今回のお話が皆さんの就職活動やキャリア形成の参考になればと思います。今回のインタビューを通じて、翼エンジニアリングサービスがプラント設計を通じて社会を支えるために注いでいる情熱と、取り組みのスケールの大きさに感銘を受けました。西川社長のお話から、技術革新に挑む姿勢や社員を大切に育てる考え方、そして社会課題に真摯に向き合う企業としての使命感が強く伝わってきました。社会の基盤を支える仕事の意義を知ることができた今回のお話は、私たちのキャリア形成にも大きなヒントを与えてくれました。これからの自分の進路や選択に今回学んだことを生かしていきたいと思います!