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インタビュー

“鉄の裏側”が未来を動かす。配管工事のプロ集団、不動工業に聞く仕事の醍醐味

配管工事──そう聞いても、すぐに仕事内容が思い浮かぶ人は少ないかもしれません。でも実は、私たちの暮らしや産業を支える「ものづくりの裏側」に欠かせない仕事のひとつです。今回訪れたのは、北九州市に本社を構える不動工業。プラント配管の分野で半世紀以上の歴史を持ち、設計から製造・現場工事・メンテナンスまで一貫対応するプロフェッショナル集団です。今回は、そんな現場を知り尽くし、経営に携わる2代目社長。学生2人が、図面の向こう側にあるリアルな仕事と会社の想いに迫ります。

現場とともにある配管設計

不動工業では配管を扱っていると聞いたんですが、どんなことをされているんですか?

そうですね。簡単にいうと、工場の中で水とか空気とか薬品を流すための“管”を設計して、つくって、取り付ける仕事です。しかも、設計や工事だけでなく、最初から最後まで一貫して自分たちで手掛けています。

設計も製造も現場仕事もですか?

はい、うちは配管に関わることは全部やる会社なんですよ。全体の流れを見ながら、どこをどうつなぐと効率がいいか、安全か、っていうところまで設計できるのがうちの強みです。

配管ってそんな先まで見据える仕事なんですね。

意外と奥深いんですよ。たとえば、水だけじゃなくて空気や蒸気、薬品、超純水なんていう特殊な水も流します。だから、流れるものに合わせて、どの素材や工法を選ぶかがすごく重要なんです。

初めて耳にしたんですが…超純水ってなんですか?

めちゃくちゃキレイな水です(笑)。たとえば半導体工場なんかでは、ちょっとした不純物があるだけで製品に影響が出ちゃうので、そのレベルまでろ過された水を使うんです。そのために専用の配管を使います。

なるほど。でも設計だけじゃなくて、現場の作業も自社でやるのって、かなり大変じゃないですか?

たしかに大変です。でもね、現場を知らないまま設計だけやっても、うまくいかないんですよ。実際に取り付けるときに「このルートは通せない!」なんてこともあるし、ちょっとしたズレが大きなトラブルにつながることもあるので。

そういうときはどうするんですか?

調整前提の設計をしておきます。うちでは「現合」って呼んでるんですが、「この先は現場で測って決めましょう」っていう部分をあえて残すんです。図面って、ある程度正確に描くけど、全部をガチガチに決めると逆にうまくいかないことも多いんですよ。

そうやって現場に任せる余地を残すんですね。図面って、完成された答えみたいなものだと思ってました。やってみながら考えるって感じで面白いです!

図面は答えじゃなくてヒントなんです。現場と設計がチームでつくるのが、この仕事の面白さのひとつですね。

設計から製造、現場仕事まで全部やるからこその面白さですね!話を聞いて、すごく奥が深い仕事だと実感しました。

そう言ってもらえると嬉しいです。見えない部分だけど、配管がなかったら工場は動かないし、暮らしも止まってしまうので、なくてはならない仕事です。それをチームで形にしていくのは、すごくやりがいがありますよ。

分社化で専門性を高める。グループ3社の役割

お話を聞いていて思ったんですが、配管って設計から取り付けまで全部関わるとなると、部署ごとに役割がはっきり分かれてるんですか?

そうですね。もともと不動工業の中に設計部・製造部・工事部と、それぞれの部署があったんですが、実は最近、大きな変化があったんですよ。

変化ですか?

はい。今年の1月から、会社を分社化して、3つの会社に分かれました。不動工業が「製造と工事」、不動設計が「設計業務」、そして不動ホールディングスが「経理や総務などのバックオフィス機能」を担う、という体制です。

1つの会社から3つに分けたんですね。それにはどういう目的があったんですか?

一言で言えば、それぞれの専門性をもっと高めるためですね。設計なら設計、製造なら製造に集中できるようにして、責任の所在や意思決定をより明確にしたかった。部署のままだと、どうしてもひとつの会社の中で曖昧になる部分が出てくるんです。

なるほど…。でも分けるってなると、逆にやり取りが大変になったりはしないんですか?

そこはたしかに心配されたところなんですが、もともと同じ会社だったので、文化や価値観は共通してますし、何より“チームでやる”っていう意識が根付いてるんですよ。それぞれ別の会社になっても、「これは不動グループとしての仕事だよね」っていう感覚がちゃんとあるので、連携はむしろ前よりスムーズになったところもあります。

それぞれの会社がそれぞれの分野のプロフェッショナルとして動いてるんですね。

そうそう。たとえば不動設計のメンバーは「図面の精度をもっと上げよう」とか「現場で困らないように工夫しよう」とか、設計だけに集中してブラッシュアップできる。そういう積み重ねが全体のクオリティアップにつながるんです。

現場側としても、それはありがたいですよね。

ありがたいし、逆に言えば設計だけやって終わりじゃなくて、ちゃんと現場の声を聞いてフィードバックをもらうっていう文化も続いてます。だから図面を描いた担当者が現場を見に行くこともありますよ。

それって、不動設計の人が不動工業の現場に行くってことですか?

そうです。グループ内での連携なので、そういう横の動きがしやすいんですよね。設計の立場で現場を見ると「ここはもっと簡単にできたかも」とか「想定外のことが起きてたな」とか、気づきも多いです。

たしかに、自分の描いた図面が実際にどう扱われてるか見られるのって、すごく勉強になりますね。

その通り。図面っていうのは“描いて終わり”じゃなくて、“現場で完成するもの”だから。設計と現場、どっちかだけではいい仕事はできないんですよ。

役割は違っても、ちゃんと一つのチームとして動いてるんですね。

そうですね。分社化して役割を分けたのは“分断”するためじゃなくて、“より強くつながるため”でもあるんです。全部を1社で抱えるとどうしてもバランスが偏ることもあるけど、専門ごとに分けたことで、それぞれが責任を持って動けるようになった。結果的に、より質の高い仕事につながっています。

国籍もバックグラウンドも越えて、働ける会社へ

社員さんのなかには外国籍の方が多いんですよね?

今うちには30人以上の外国籍の社員が働いてます。全体の4割くらいかな。国で言うとベトナム、ミャンマー、モンゴル、中国、日本の5カ国ですね。

そんなにいらっしゃるんですね。最初からそういう多国籍な体制だったんですか?

いえ、最初は2018年にベトナムの技能実習生を受け入れたのが始まりです。

言葉の壁とか、大変じゃなかったですか?

もちろん最初は大変でしたよ。でも、それで終わらせたくなかった。彼らも、すごい覚悟で来てるんですよ。家族と離れて、まだ小さな子どもを置いて、母国を出てくる。そんな姿を見たら、「こちらも本気で向き合わなきゃ」と思ったんです。

そこから、どうやって今みたいな体制になったんですか?

まず取り組んだのが、日本語教育でした。社内に日本語の先生をお招きして、勤務時間内に朝の8時から10時まで、毎日授業をしてるんですよ。

えっ、それってお給料も発生してるってことですよね?

そうです。だから結構珍しい取り組みだと思います。会社側が全額負担して、日本語の授業を“業務時間の一環”としてやってる。もちろんその分、現場での会話もスムーズになりますし、何より本人たちが前向きになれるんですよね。

たしかに、自分の意見がちゃんと伝えられるって、働くうえでの安心感になりますよね。

外国籍の方で、実際にバリバリ活躍している方はいらっしゃいますか?

うちには7年目のエンジニアがいますよ。その子は2018年に来て、今では日本人と変わらないくらい活躍してます。難しい国家資格もいくつも取っていて、本当に頼もしい存在です。

そこまでいけるって、会社としてのサポートもすごいです。

うちは「人材育成」じゃなくて「人づくり」だと思ってるんです。働いてもらうなら、働きやすい環境をつくること。安心してもらうこと。それがスタートだと思っています。

そうやって多国籍な社員の方が増えていく中で、職場の雰囲気ってどうですか?

みんな仲良いですよ。たとえばベトナム人の社員は全員サッカーが大好きで(笑)。それで「サッカー部を作りたい」って話が出てきて、今では会社から部費を出して応援してます。

え、サッカー部あるんですか?!

ありますよ。最近できたばかりですけど、もう試合にも出てます。ユニフォームもこれから用意する予定で。そういう仕事以外の楽しみがあると、チームワークにもつながるんですよね。

確かに、そういう繋がりって職場でのコミュニケーションにも影響しそうですね。

まさにそう。言葉が違っても、文化が違っても、心の距離は縮められる。それが会社としての環境づくりだと思ってます。

現場目線が会社を動かす

社長はもともと現場出身だとお聞きしたんですが、いつ頃から不動工業で働かれているんですか?

僕が不動工業に入社したのは2012年ですね。でもそれ以前は、実はうちの下請けの会社で働いてたんですよ。ずっと現場で、配管工として作業してました。

もともとは別の会社で働かれてたんですか? 

そうなんです。当時は中卒で、ずっと現場一本。そしたらある日、先代の社長、つまり創業者から突然連絡が来て。「うちに来ないか」って。

スカウトってことですよね?そのとき、将来的に社長を任せるという話もあったんですか?

ありました。電話のときにそういう話をされて。「この会社を継いでほしい」って。でも当時は、まだ会社を動かすなんて想像もしてなかったから、正直びっくりしましたよ(笑)。

でも現場を経験してきた社長だからこそ、いまの会社の空気感がある気がします。

それはあるかもしれないですね。現場で働く側の気持ちが、多少なりともわかってるつもりなので、制度をつくるときも「働く人にとってどうか?」を一番に考えるようにしています。

たとえば、どんな取り組みをされてるんですか?

資格取得に対しての支援とか、手当の整備ですね。うちは危険物や高所作業など、いろんな資格が必要になるんですけど、取得にかかる費用はすべて会社負担です。さらに、資格に応じた手当も出していて、モチベーションにもなるようにしています。

なるほど…。そうやって一人ひとりの成長を後押しする仕組みがあるんですね。

そうですね、それが会社の力にもつながるので。「人材育成」って言葉もありますけど、僕は「人を育てる会社でありたい」って思ってるんです。

実際にそういう想いは、社員さんたちにも伝わっていると思いますか?

伝わってると思いますよ。最近では、うちで働いてる外国籍の社員が「友達もこの会社で働きたいって言ってます」って紹介してくれることも増えてて。それって、職場に満足してくれてるからこそだと思うんですよね。

それってすごくうれしいですよね。信頼の証というか。

本当にそう。紹介したい会社って、きっと自慢できる会社なんだと思うんです。僕は、社員が「うちの会社、いいでしょ?」って自然に言えるような会社にしたいと思ってるんです。

たしかに、自分の家族や友達に話したくなるような会社って、理想ですよね。

そうなんです。だから制度だけじゃなくて、雰囲気づくりも大切にしています。サッカー部もそのひとつ。仕事以外でもつながれる場所をつくることで、チームワークにもつながっていくと思ってます。

そういう社内活動があると、働く人の人柄もわかって安心できますよね。

ゴルフ好きな人もいれば、釣りや登山が好きな人もいる。全部を会社が主導するわけじゃないけど、「やってみたい」って声があったときに応援できる会社でありたいなって。

社長の話を聞いてると、「制度づくり」というより「人を思う仕組みづくり」って感じがします。

いい表現ですね(笑)。やっぱり会社って、何をやるかより、誰とやるかが大事だと思うんですよ。どんな仕事も、仲間と一緒にやるから面白くなる。そういうチームをつくりたいですね。

誰かの誇りになれる会社へ

社長のお話を聞いてると、不動工業って、すごく人とのつながりを大事にされてる会社なんだなって感じます。会社の外との関わりでも、そういう想いはあるんですか?

ありますよ。僕は会社を社会の一部だと思ってるので、地域とのつながりとか、社会にどう還元できるかっていうのは、ずっと意識してます。

たとえば、どんな活動をされているんですか?

いろいろありますよ。最近だと、プロ野球のソフトバンクホークスのスポンサーをしていて、地域の少年野球チーム向けに野球教室を開いています。ホークスのOB選手が来て、子どもたちに直接指導してくれるんです。

えー!それはすごい!でも、どうしてスポンサーを?

きっかけは、地域の活動を通じて「子どもたちの笑顔につながる取り組みをしたい」と思ったことですね。そこでご縁があって、ソフトバンクホークスさんと地域イベントで関わる機会をいただいたんです。

その野球教室は毎年やってるんですか?

はい。今年で3回目です。最初は「会社でそんなことまでやるの?」って驚かれましたけど、今では社内でも応援ムードがありますね。子どもたちの喜ぶ顔を見ると、やってよかったなって思います。

そんなふうに地域の子どもたちに喜んでもらえる活動があるって、すごく素敵ですね。

そう思ってもらえたら嬉しいです。そのほかにも、地元の夏祭り、北九州マラソン、花火大会などにも協賛しています。あとは、地震や災害があったときには、社員みんなで募金して被災地に寄付を送ったりもしています。

社員全員で、ですか?

そうです。たとえば去年の能登地震や、ミャンマーで地震が起きたときも、社内で声をかけて募金を集めて、北九州市経由で現地に届けてもらいました。外国籍の社員も多いので、こういう取り組みには自然と協力してくれます。

そうやって自然に助け合える関係って素敵ですね。

まさにそれです。僕が目指してるのは、利益を追いかけるだけの会社じゃなくて、人にやさしくて、まわりとちゃんとつながってる会社。だからこそ、SDGsへの取り組みも「できる範囲で、着実に」っていう考え方でやってます。

たとえば、どんなことをされているんですか?

再生可能エネルギーへの切り替えとか、環境に配慮した資材の選定とか。大きなことはできなくても、社内の取り組みとして地道に積み上げていくことが大事かなと考えています。

その積み重ねが、社員さんの誇りにもつながる気がします。

僕もそう思います。たとえば、通勤中に「うちの会社、電車のラッピング出してるんだよ」って言えるとか、花火大会で「今の提供、うちの会社だよ」って子どもに話せるとか。そういうちょっとした誇りが、会社への愛着にもつながると思うんです。

「会社を好きになれる」って、働くうえですごく大事なことですね。

本当にそう。会社の外ともつながって、社員ともつながって、家族や地域ともつながってる。そういう会社の在り方が、これからますます大事になると思ってます。

ものづくりの現場で、人と人を、地域と未来を、“つなぐ”仕事。そこには私たちの暮らしを縁の下から支える、確かな責任と誇りがあります。
どんな仕事をするかより、誰と、どんな想いで働けるか。そういう視点で会社を見たとき、不動工業のような場所に出会えたなら、きっと働くことはもっと面白くなるはずです。
次に会社を選ぶとき、ぜひ「どんな人たちと、どんな未来をつくりたいか」を考えてみてください。あなたの一歩が、きっと何かをつなぎはじめるはずです。

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