何度も顔を合わせて、話をする。
気づけば、信頼が生まれている。
北九州日産モーターを取材して感じたのは、営業という仕事が“人との付き合い”そのものだということです。
一度車を売って終わりではなく、点検や車検を通してお客様と長く関わり続ける――。
そんな関係を支えているのは、「技術の日産」と呼ばれる確かな技術力、そして“人に向き合う力”でした。

北九州で60年。日産の原点を走り続ける会社
まず、北九州日産モーターはどんな会社なんですか?
私たちは北九州を中心に、筑豊・行橋・苅田・豊前エリアで日産車の販売や整備を行っている会社です。創業は1966年。来年度でちょうど60周年を迎えます。
60年も!すごい歴史ですね。どうして北九州で始まったんですか?
きっかけは、日産が「サニー」という車を発売したときでした。その頃、日産は北九州エリアで販売を担う会社を探していて、手を挙げたのが私の祖父なんです。もともと祖父は鉄鋼関連の「菊竹産業」という会社を経営していました。北九州は“鉄の町”ですから、その縁もあって声をかけていただいたようです。
なるほど。ものづくりの街・北九州らしい始まりですね。
そうなんです。実は、日産自動車そのもののルーツも北九州にあるんですよ。もともと「戸畑鋳物(とばたいもの)」という会社の自動車部門が独立して、日産自動車が誕生したんです。つまり、日産の“創業の地”はここ北九州・戸畑なんです。
そうだったんですか!初めて知りました!
戸畑には“戸畑鋳物発祥記念“と刻まれた石碑もあります。地元でも意外と知られていませんが、私たちはこの街が持つ“日産の原点”を誇りにしています。だからこそ、創業以来ずっと“地元に根ざした商い”を続けてきました。
地元とのつながりを大切にしてきたんですね。
はい。祖父がよく「お客様との関係を長く続けなさい」と言っていたんです。実際、親子三代でご利用してくださるお客様も多くいらっしゃいます。昔お父さんが車を買ってくださって、今は息子さんやお孫さんが来てくださる――そうやってご家族の人生に寄り添えるのが、この仕事の魅力ですね。
まさに、“人との関係”が歴史をつくってきた会社なんですね。
そう思います。60年の歴史というより、“60年分のご縁”がある会社。これからも北九州の皆さんにとって、気軽に相談できる、頼れる存在であり続けたいと思っています。
人を守るための技術。“技術の日産”の真価。
日産といえば「技術の日産」という言葉をよく耳にします。実際、どんな技術が強みなんでしょうか?
たとえば「アラウンドビューモニター」という技術があります。車の前・後ろ・左右にある4つのカメラで周囲を撮影し、その映像を合成して、まるでドローンで上から自分の車を見ているような映像をモニターに映し出すんです。
あ、あの車の周りが全部見えるやつですよね! 初めて見たとき、すごいと思いました!
そう、それです。駐車が苦手な人や運転にあまり自信がない人でも、白線との距離や周囲の障害物が一目で分かるように設計されています。狭い場所でも安心して車を動かせるように開発された、安全支援の代表的な技術なんですよ。
なるほど。確かにあれがあると、駐車がすごく楽になりますね。
最近はさらに進化していて、「ルークス」という車では交差点の死角にいる自転車や歩行者まで映せるようになるんですよ!仕組みを聞いてもよくわからなかったですが(笑)。「どうやって映せてるの!?」って驚きましたね!
すごい…。安全面の進化が本当にすごいですね!
そうですね。さらに、高速道路ではハンドルから手を離して走れる「プロパイロット2.0」という技術もあります。車が速度と車間を自動で保ちながら走行し、必要に応じて追い越しも提案する。この機能を量産車に搭載しているのは、国内では日産だけです。
そんな未来の車がもう走ってるんですね。
そして、これだけの技術をお客様にきちんと伝えるために、営業スタッフも新車が出るたびに研修を受けます。実際に試乗して、「ここまで倒すとフルフラットになるんだ」「この角度だと視界が変わるね」と体験しながら理解していく。自分たちが心から納得していないと、お客様にも伝わりませんからね。だからこそ“技術を体験で伝える”ことを大切にしています。

“また会える関係”を築く、聴く力。
営業の方って、技術を分かりやすく伝える力が本当に大事なんだなと感じました。そうした中で、お客様と関係を続けていくうえで意識していることはありますか?
伝える力も大切ですが、実は“聴く力”のほうがもっと重要なんです。うちでは営業のことを「カーライフアドバイザー(CA)」と呼んでいて、単に車を売るのではなく、お客様の生活や人生に寄り添う存在なんですよ。
“アドバイザー”っていう呼び方、なんか素敵ですね。
ありがとうございます。たとえば、お客様の家族構成や通勤距離、よく行く場所などを聞くと、その人に合う車種や装備が見えてくる。逆にこちらが話してばかりでは、本当に必要なことは分からないんです。
確かに、話を聞いてもらえると安心しますし、自分でも気づかなかった希望が出てくるかもしれないですね。
そうなんです。点検や車検などで何度も顔を合わせながら、少しずつ関係を深めていく。その中で「子どもが免許を取ったんですよ」「そろそろ乗り換えようかな」なんて会話が生まれていきます。“また会える関係”というのは、そうした日常の積み重ねなんですよ。
“売る”というより、“関係を続けていく”って感じなんですね。
まさにそうです。大雨の翌日に「車は大丈夫でしたか?」と連絡する営業もいますし、親子二代にわたって同じ担当が続くこともあります。そうした関わりが信頼になり、信頼がまた次の再会を生む。数字を追うだけでは得られないやりがいが、そこにはありますね。
距離が近いだけじゃない。“健康経営”が根づく理由。
お客様との関係を長く続けていくためには、職場の雰囲気も大切になりそうですね。社内の雰囲気って、どんな感じなんですか?
社員数は180人ほどで、決して大きな会社ではありません。だからこそ、一人ひとりの顔と名前がすぐに一致する。私も店舗を回るときは、できるだけ全員に声をかけるようにしています。
180人でも顔と名前が一致するなんてすごい!それに社長が直接声をかけてくれるって、すごい距離の近さですね。
去年はアルバイトさんも含めて全社員と個別に面談をしましたよ。事前にアンケートを取って、「会社の良いところ」「働くうえで困っていること」などを聞きました。
それだけ多い人数と一対一で話すのは大変そうです。
大変でした(笑)。でも、実際に話してみると“意外な声”も多くて。「上司や先輩に相談しやすい」「年代が違っても話しかけやすい」――そういう意見が一番多かったんです。“人との関係を大事にする文化”は、自然に根づいているんだなと感じました。
なるほど。まさに、お客様との関係づくりにも通じてますね。
そう思います。会社の中でも“関係を保ち合う”ことを大切にしています。以前は「家族的」という言葉が少し古いかなと思っていたんですが、改めて考えると、やっぱり人を大事にするという点では本質的なんですよね。
確かに。“家族的”をそのまま言うと古く聞こえるけど、意味はすごく現代的ですね。
そうですね。社員が健康で、安心して働けることが一番の土台。そのために健康経営の取り組みも進めています。人が支え合う会社だからこそ、長く働ける環境をつくりたい。それが結果的に、社員一人ひとりの「お客様との関係」にもつながっていくと思っています。
社員のみなさんの健康まで考えているのがすごく印象的でした。「人を大事にする会社」という言葉の意味が、すごく伝わってきました。
確かに、健康経営って聞くと制度のことを想像してたけど、ここでは“人と人の関係”の延長線上にあるんだなと感じました。
今日は本当にありがとうございました。お話を聞いて、北九州日産モーターが“技術の会社”であると同時に、“人の会社”でもあることがよく分かりました。
営業の仕事のイメージが変わりました。「売る」よりも「関係を築く」という言葉が印象に残っています。
こちらこそ、しっかり聞いてくれてありがとう。就職活動はきっと悩むことも多いと思うけど、今日みたいに人の話をよく聞ける人はどこでも通用しますよ。自分に合う会社を、じっくり見つけてくださいね。
ありがとうございます!頑張ります!

取引では終わらない。人と時間を積み重ねる仕事。
取材を通して見えてきたのは、北九州日産モーターの営業が“技術を届ける最後のバトン”を担っているということでした。
アラウンドビューモニターも、プロパイロットも、どれも「安全に」「快適に」乗るための仕組み。
けれど、その技術が本当に生きるのは、お客様の暮らしや想いを知る営業がいてこそだと感じました。
新しい車が生まれ、技術が進化しても、お客様と向き合う姿勢は変わりません。
点検や車検のたびに顔を合わせ、会話を重ねながら、“技術と暮らし”をつなぐ役割を果たしていました。
北九州日産モーターの営業は、技術と関係、その両方を積み重ねながら、この街の車と人の時間を動かし続けています。