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信頼を基盤に広げていくニシショウ産業の営業に迫る | 福岡県で就活・転職に役立つ情報満載Vamos (バモス)
信頼を基盤に広げていくニシショウ産業の営業に迫る
2024/10/28

信頼を基盤に広げていくニシショウ産業の営業に迫る

リクルートWebマガジン「Vamos」の学生リポーターが、就活生に向けて地方企業の魅力をより深く伝えるべく、株式会社ニシショウ産業の熊中社長にインタビューを行いました。昭和35年に創業し、水産物の卸売を中心に幅広い事業を展開する同社は、業界の変化に対応しながら成長を続けています。その成功の背後には多くの努力と戦略が存在します。今回は、同社の成功の秘訣、さらに若手人財の育成に対する思いについても詳しくお聞きし、どのような取り組みが行われているのかを探りました。この記事を通じて、就職活動を控える皆さんに地方企業でのキャリアの可能性を広げ、より多くの選択肢を提供できれば幸いです。 

株式会社ニシショウ産業

全国の拠点から迅速・確実に商品を届ける 

今日はお時間ありがとうございます。まずはニシショウ産業はどのようなお仕事をされているのですか? 

ニシショウ産業は、昭和35年に水産物を扱う卸売会社である西産商事株式会社として始まりました。主に水産物の取扱いを行っており、冷凍品・塩干品が中心です。特にエビやウナギ、サバなどの冷凍品が全体の47%を占めており、その他に養殖業や冷凍食品の加工・販売も行っています。主要な取引先は、大型量販店で、例えば広島に本社を構えるイズミや、九州のゆめマート、ルミエール、ダイレックス、コスモス薬品などとも取引しています。 

私たちが普段使うスーパーなどと取引されているんですね。

ニシショウ産業の業務は、水産物の調達や冷凍保管、物流供給に重点を置いており、自社で冷凍庫を保有し、トラックによる配送を行っています。また、メーカーと量販店の間に立ち、取引の中間流通としての役割も果たしていますよ。市場の変化により、かつて卸市場経由での取引が主流だった水産物の流通は、直接量販店やメーカーとの取引へと移行しつつあり、同社もその流れに対応しています。 売上も127億円と上がっています。

水産物の仕入れなどはどのようにして行うのですか? 

全国の漁協を含む広範な水産業者との取引を行っており、東京、大阪、札幌などの大手水産市場と連携しながら、商品の仕入れを進めています。この連携により、高品質な水産物を確保し、市場のニーズに応えることができています。さらに、広域営業課や量販チームを通じて、全国各地の拠点に商品を供給できるんです。 

広域営業課は、長崎や北九州などの地域に対して供給を行い、大手量販店にも商品を届けています。また、各地域の得意先には、同社が所有するトラックで直接商品を届け、迅速かつ確実に商品を提供しています。量販店に対しても、自社便や配送業者を活用して、センターや店舗に商品を納品しており、顧客満足度の向上に努めています。これにより、消費者に新鮮で美味しい水産物を提供し続けることができるのです。 

単に商品を販売するだけでなく、商品の品質を保ちつつ、安定して商品が販売店に届けるところまでがニシショウ産業のお仕事になるのですね。販売店に商品が適切なタイミングで届くようにするためには、物流や在庫管理など多くのことを効果的に管理する必要があると思います。私たちの食生活を支える上で大切なことは何でしょうか? 

ニシショウ産業は「信頼」を重視し、得意先や仕入れ先との関係を非常に大切にしています。特に、商品管理の徹底が求められており、そのためにコンプライアンス教育を通じて社員の質を高める取り組みも積極的に進めています。これにより、社員一人ひとりが高い倫理観を持ち、責任感を持って業務に取り組むことができるようになります。 

さらに、商品のトレーサビリティ(その製品がいつ、どこで、だれによって作られたのかを明らかにするためのシステム)を徹底し、原材料の調達から生産、そして消費または廃棄まで追跡可能な状態にすることを目指しています。これにより、消費者に対して安心・安全な商品を提供することができるだけでなく、環境への配慮や持続可能な社会の実現にも貢献しています。 このような取り組みを通じて、みなさんの食生活を支えることができると考えています。 

商品の質だけでなく、一人ひとりの質を高めることも重要なのですね。そういった努力が全体としてのサービスや企業の評価をさらに高め、長期的な信頼関係を築くことができるということですね。 

その通りです。例えば、営業の質向上のためには、社員の教育が不可欠であり、展示会などに参加することで、新商品や市場のトレンドを学び、営業担当者の成長をサポートしています。これにより、最新の業界動向を把握し、お客様に対してより価値のある提案が可能となるだけでなく、信頼関係を築くためのスキルも磨かれるため、長期的なビジネスの成功にもつながっていきます。 

商品開発に携わる営業の魅力 

信頼を基盤にした事業展開がどれほど重要であり、またそれがニシショウ産業の強みであることがよくわかりました。ニシショウ産業での営業のお仕事はどのような内容になるのですか? 

仕入れ業務において広域営業課が非常に重要な役割を果たしています。この部署では、商品を調達し、メーカーとの商談も行っています。さらにこの部署は、商品の品質管理や価格交渉にも積極的に関与しています。ニシショウ産業は、自社ブランド(PB商品)も手掛けており、そのラインナップは多岐にわたります。例えば、年末用のカニの爪やエビなどの海産物の原料を商社から仕入れ、それを加工業者に委託して商品化し、最終的に自社で買い戻すという形で商品を提供しています。 

その他にも、営業部門では、新しい商品や他社では扱っていない商品を発掘することに注力しています。例えば、北海道フェアのために北海道に赴いて地元の特産品を直接買い付けたり、地元の道の駅を訪れて新商品を調査することもあります。これにより、他社との差別化を図り、お客様に新しい価値を提供することを目指しています。 

営業担当として商品開発にも携わることができるんですか? 

業務の一部として関わることもありますよ。商品開発という点でいえば、量販店の要望に応じた商品開発も行っています。情報収集にも力を入れており、メーカーから得た情報を基に、得意先に最適な商品を提案し、商談を進めています。季節商品やシーズンに応じた商品販売計画を立て、売上の最大化を目指して提案を行うなど、戦略的な営業活動を展開しています。また、消費者のニーズや市場の動向を常に把握し、それを反映させた商品ラインナップを提供することで、顧客満足度を高める努力も怠りません。さらに、定期的に開催される展示会やイベントに参加し、新商品やトレンド情報をいち早くキャッチし、それをもとにした提案を行うことも重要な業務の一環です。 

このように、ニシショウ産業では、商品調達から販売までの各プロセスにおいて細かな対応を行なっています。社員一人ひとりがプロフェッショナルとしての自覚を持ち、常に高い意識で業務に取り組んでいることが、当社の強みでもあります。 

商品開発から販売に至るまでの各プロセスにおいて、様々な取り組みを行われているんですね。最近のニュースで中国などによる乱獲でサンマが高騰しているなどよく耳にしますが、そのような状況はニシショウ産業に影響を与えているのでしょうか? 

台湾や中国が乱獲を行うと、日本国内での漁獲量が減少し、さらに高騰する燃料費の影響で漁業者が漁に出られない状況が起きていますね。その結果、サンマの供給が減少し、販売できなくなることなどはあります。しかし、これが売上にどれほど影響するのかと言われると、そこまで大きな影響はないと考えています。サンマが不足する中で、どのように他の商品でそのギャップを埋めるかが重要であり、量販店とも連携して新たな商品を提案していくことで、そういった危機を乗り越えていくからです。ここ数年、サンマの供給がほとんどないため、代わりにイワシが出回ることもあるものの、イワシは節分の時期以外ではあまり売れないといった課題もあります。しかし、こういった課題を解決していくことが企業として重要なことです。 

課題が多い中でも、その解決に取り組むことが企業の成長につながるんですね。食の中でも魚というテーマで就職活動を考えたことがありませんでしたが、この分野には非常に奥の深い側面がたくさんあることを知りました。 

若手人財の成長と活躍を支える 

ニシショウ産業では、毎年若い人材の採用を進めており、来年度も2名の新入社員が入社予定です。ニシショウ産業で活躍するためには、魚の美味しさを理解してもらうことが何よりも大切だと考えています。実際に市場での鮮度の良い魚を食べる経験を積むことで、魚の魅力を深く理解し、それを営業活動に活かすことができます。例えば、回転寿司で提供される魚とは異なり、鮮度の良い魚の味を知ることで、お客様に対して自信を持って商品を提案できるようになりますからね。 

まだまだ私は回転寿司でも十分美味しいですが…新入社員のみなさんはまず味を知ることで自信をつけていくのですね。

そうですね。そのためには、実際に美味しい魚を食べてもらい、魚の魅力を教え、営業の質を高めるよう努めています。 市場での仕入れ体験や、調理法に関する研修も行い、魚についての知識を深めてもらいますよ。こうした経験を通じて、社員一人ひとりが、より高い意識を持って業務に取り組み、お客様に対して真心を込めたサービスを提供できることを期待しています。 

実践的な学びを通じて、高い意識を持って業務に取り組めるだけでなく、さまざまな食材について深く学ぶことができるため、食通にもなれそうですね!日常生活にも役立ち、楽しみも増えそうです! 

本当にうちの社員はみんな舌が超えてますよ!先ほども少しお話しましたが、バイヤーや営業担当者が全国各地を飛び回り、現地で美味しい商品を探し出しています。道の駅の特産品を調査することもその一環で、地域の特産品を扱うことで、地域密着型の店舗展開をサポートし、地域のニーズに応じた商品ラインナップを実現しています。 

確かに道の駅には珍しい商品が多く、見ているだけでも楽しい印象があります。 

そうでしょう?バイヤーは、新店舗の開設前にその地域を訪れ、1年前から商品の選定を始めます。これは、地域の特性を活かした品揃えを提供するためであり、大手量販店の店舗でも地域に根ざした商品を揃えることで、顧客の信頼を得ています。 

また、バイヤーは北海道でホタテの買い付けなども行い、産地との密な連携を図りながら、質の高い商品を安定的に仕入れています。特に水産業界では、輸出や国内需要の変動が価格に大きく影響するため、バイヤーが現場で適切な判断を下すことが求められます。 

例えば、魚市場では毎日のように価格が変動するため、営業担当者はその都度対応策を考え、顧客に最適な提案を行っています。 

さらに、商談は先を見越して行われ、年末の商品提案は夏前から進められることもあります。大手量販店向けには早期に準備を整え、小規模な店舗向けには価格の変動を見越して対応するなど、顧客ごとに異なる戦略を展開しています。 

このように、バイヤーや営業担当者が日々市場の動向を把握し、臨機応変に対応することで、安定した供給ができるのです。 

バイヤーや営業担当の皆さんの市場動向への敏感な対応が、安定供給に繋がっているんですね。 

挑戦する心構え:自ら成長を追求する営業の姿勢とその成果 

営業という仕事は一見シンプルに見えますが、実際には非常に多岐にわたる業務が求められます。需要と供給のバランスを常に見極め、価格の動向を把握し、何が求められているのかを的確に理解することが必要です。そのため、営業担当者は自らの知識と経験を絶えず磨き続けなければなりません。現地に足を運び、商品の発掘や市場調査を行うことも重要な業務の一環であり、これらの活動を通じて得られる情報が、お客様に対してより的確で価値のある提案を可能にします。 

需要と供給のバランスの見極めなどが難しそうですが、営業として独り立ちするのにどれくらいかかるのでしょうか? 

新入社員が営業として独り立ちできるまでには、少なくとも3年はかかります。まず、ビジネスマナーや商談の進め方、報告書の書き方など、基本的なスキルを身につけるところから始めなければなりません。 

先輩社員と共に担当業務をこなしながら、商談を進めることでスキルを身につけることができます。しかし、それでも独り立ちして一連の営業業務を完全に任せられるようになるには、やはり3年程度の経験が必要ですね。特に、商談のタイミングを見極めるスキルや、1年間のスケジュールを頭に入れて業務を進める力は、経験を積まなければ身につきません。 

また、営業活動においてはAIの導入が進んでいるものの、水産業界においてはまだまだ人間の経験と判断が求められる場面が多いです。例えば、価格が日々変動する商品や、天候や季節によって供給状況が大きく変わる商品を扱う場合、AIに頼るのは難しいのが現実です。 

特に水産業界では、養殖業における自然災害の影響や、産地ごとの価格と品質の違いなど、複雑な要因が絡み合います。そのため、営業担当者が現場で自ら判断を下し、顧客に対して最適な提案を行うスキルが非常に重要です。 

経験がかなり大事になってくるわけですね。 

そうですね。それに加えて知識も必要になってきます。例えば、ブリを例にとっても、産地や育成方法によって品質が異なり、それを見極めて適切に提案するには、豊富な知識と経験が不可欠です。 

このように、営業の仕事は単なる商品販売ではなく、価格や供給状況、顧客のニーズを総合的に判断し、最適な提案を行う高度なスキルが求められます。そのスキルを磨くためには、経験を積み重ねることが不可欠であり、それが結果として他の業界や企業では得られない独自の能力を身につけることに繋がります。 

最適な提案を行うためには、日々の努力と知識の積み重ねが欠かせないのですね。業務を通して成長するために必要なマインドをお聞きしてもいいですか? 

現場での作業は確かに重要ですが、それだけでは成長がありません。現場で商品の知識を身につけることは第一歩に過ぎず、その後はオフィスに戻って見積書や商談報告書の作成、メーカーとの商談準備など、より高度な業務に取り組む必要があります。 

「今日は商談内容をもっと深掘りしてみよう」と自ら目標を設定し、スキルを磨くことが重要です。ただ仕事をこなすだけでなく、常に自分を成長させるための努力が求められます。「疲れたからもう帰ろう」という態度ではなく、どのようにスキルアップできるかを常に考えながら業務に取り組む方が成長は断然早いですよね。

特に新入社員時代は、現場作業とオフィス業務の両方に取り組むことで、営業としての幅を広げていくことが重要です。例えば、入社して2年間作業に従事した後、オフィスに戻って新たな業務に直面すると、それまでとは全く異なる仕事に苦労することになります。作業中心の業務から、今度はメーカーと電話でのやり取りや量販店との商談を行うといった、別の新たなスキルが必要になるからです。 

こうした変化に対応するには準備が必要ですが、人は楽な方に流れがちで、このような事前の準備に前向きに取り組むことが難しいものです。それでも、将来を考えて、現場の仕事とオフィスの仕事を両立させるために努力を重ねることで、人間的にも営業担当者としても大きく成長できます。 

ただ目の前のことをこなしていくだけでは成長は遅いということですね。

そうですね。また人脈も重要です。営業の仕事は、人脈を築き、それを活用してビジネスの幅を広げることが不可欠です。私自身も多くの人々と会い、その関係性を通じてビジネスチャンスを広げてきました。会社としての人脈も重要ですが、個人として築いた人脈はキャリアにとって非常に価値のあるものになります。 

広域営業部門では、国内外を飛び回り、新たな商談を進めたり、輸出先との交渉を行ったりする機会が多いです。例えば、ベトナムに輸出する商品についての商談を行うために、現地に足を運ぶこともあります。こうした活動を通じて、営業担当者は自身の経験値を積み上げ、さらに人脈を広げていくことが求められます。営業という仕事は単なる商品販売ではなく、現場作業からオフィスでの商談、人脈作りまで、様々なことが重要になります。

ありがとうございます。就活でも就職してからも役に立つ貴重なお話でした。

日々の努力と自己成長への意識が不可欠です。これはニシショウ産業だけが求めていることではなく、社会人として求められることでもあります。ぜひ、みなさんもこれから社会人になり、自分自身の成長のために前向きにチャレンジしていってください。 

ついつい楽な方に流れがちですが、それに甘んじることなく、常に自分を成長させるための努力を続けることが、長い目で見たときに大きな差を生むのだと感じました。 

今日教えていただいたことをしっかりと胸に刻み、前向きにチャレンジしていきます。 

取材協力:
代表取締役社長 熊中省吾
ニシショウ産業株式会社
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