スーパーマーケットで日頃何気なく手に取っている加工食品。これらがどのような過程を経て店頭に並ぶのか、考えたことはありますか。今回は、物流を通じて地域密着型の食品供給事業を展開しているコゲツ産業株式会社の営業部・辻さんにお話を伺いました。
辻さん:私たちコゲツ産業は、より良い食文化を実現するために、加工食品や酒類、業務用製品を中心とした小売業の皆様と共に、地域密着型の食品供給事業を展開しています。たとえば、日常で使うお醤油やカレールー。これらがどのような経緯でみなさんの家庭に届くか、それをサポートしているのが私たちなんです。
辻さん:工場からの出荷、中間流通、そして小売店への配送に関わっています。また、商品の選定や棚割り、店頭ディスプレイの提案も行っています。品質の良いものを届けることはもちろんですが、店頭で商品をより魅力的にディスプレイすることにも力を入れています。食の安全・安心を届けるだけではなく、楽しく買い物できる空間を作り、消費者の皆様にもっと笑顔になってもらいたいと思っています。
辻さん:地域に密着して活動するために、お客様と真のパートナーシップを結ぶことを心がけています。そのためには、正確な情報を基にしたスピーディーな対応が求められます。お得意先様のニーズを的確に捉えたベストな提案を心がけており、商談から出荷、配送の流れをスムーズに進めることを重要視しています。
コゲツ産業
北九州支店 低温食品課所属 辻さん
辻さん:私は北九州支店の低温食品課に所属しております。主にチルドのヨーグルト、豆腐、納豆、練り物など、低温で保存される商品の販売を担当しています。
辻さん:そうですね。低温食品は鮮度が命のため、保存方法や適切な温度管理、製造日や賞味期限など、細かい点に注意を払って取り扱わなければなりません。
辻さん:私たちの部署では、“プレゼン力”が非常に求められます。得意先へのメーカーの商品の売り込みが主な仕事です。実際に1対1でお客様と会話する機会が多く、商品の特長やメリットをしっかりと伝えることが大切です。また、メーカーの方とも一緒に得意先へ同行し、商品の説明やデモンストレーションを行うこともあります。
辻さん:お客様のニーズをしっかりと捉えることが大切だと考えています。商品の特長だけでなく、お客様の課題や要望に対してどのように当商品がフィットするかを提案することを心がけています。そして、信頼関係を築くことを最優先にしています。
辻さん:実は新規の営業はあまり行っていません。それよりも、既存の得意先との人間関係を築き、より深めていくことが私たちのスタイルです。目指しているのは、「あなたが勧めるなら」と信頼して商品を取り扱ってもらえるような関係性ですね。実際のプレゼン時には、商品よりも「自分自身を売り込む」アプローチを大事にしています。
辻さん:提案資料はメーカーの資料も使いながら自分でも作成をして商談しています。多くの企業がメーカーの既存の資料をそのまま使うことが一般的ですが、私たちは独自の提案書を作成します。その過程で、自ら商品を試食したり、実際の使用感を率直に伝えたりすることで、「これ、おいしかったんですよ!」という実体験を元にお勧めすることも多いです。
特別な個性はいらない! 性格や経験を活かすことが真の“個性”に
辻さん:はい、提案資料はわかりやすく、そして効率的に作成することを心がけています。情報を整理し、お客様が求めるポイントを的確に伝える技術やコツは、奥深いと感じています。また、提案資料はその営業担当者の個性が反映される部分でもあるので、それぞれが独自のスタイルで取り組んでいます。
営業では、個性が求められます。特別な個性ではなく、自分の性格や経験を「活かす」ことが個性になると思うんです。明るい性格だから営業に向いているのではなく、明るい性格を活かして営業をすることが大事ですし、落ち着いた性格であればその性格を活かして営業をする。これが独自のスタイルにつながっていくのだと思います。
辻さん:営業をしていると様々な方と接するので、相手によっては緊張することもあります。特に、経験豊富なベテランの方々とのやり取りは、新人の頃はとても難しく感じました。ですが、それらの方々からはたくさんのことを学ぶことができるので、「教えてもらう」「勉強させてもらう」という気持ちで接するように心掛けてきました。結果として、お互いの信頼関係が深まり、2年かけてようやく世間話も交えて楽しくお話しできるようになりました。
辻さん:はい、新人の頃にお客様から非常にありがたいアドバイスをもらったことがあります。「サンプルを自分でしっかり食べ、その感想を率直に伝えること」です。そのアドバイスのおかげで、資料やデータだけでなく、自分の体験や感じたことも一緒にお客様に提案するようになりました。その結果、お客様との信頼関係が一層深まったように感じています。
物流の奥深さに気づけた入社当初の経験が土台に
辻さん:プレゼンには綿密な準備が絶対に必要です。たとえば、商品を最善の状態で届けるにはどの保存方法や物流が最適か、しっかりと提案できるように何度もシミュレーションしています。その際に役立っているのが、新入社員時代の経験です。入社後すぐに物流の仕組みを学ぶ研修が4ヶ月間あり、その後は先輩との同行もたくさん経験させてもらえました。「物流って思っている以上に複雑で、奥が深い」そう感じられたことが今の営業の土台になっていますね。この経験のおかげで、店舗側の課題や悩みにも対応できるようになったと感じています。それでもやはり、提案がうまくいかない場合もあります。そういう時は早めに方針を変え、店舗の傾向や客層に合わせて商品を再選定します。
辻さん:店舗の特色や客層などを再度分析して、商品の選定を見直します。たとえば、ある店舗では健康志向の商品がよく売れることがわかったので、その傾向に合わせた商品を提案するようにしました。そういった工夫や見直しをこまめに行い、よりよい提案が行えるよう日々心がけています。
辻さん:はい、そうです。単なる商品の販売だけでなく、取り扱う店舗側のことも一緒に考え、サポートすることが私たちの役割だと考えています。
学びの姿勢と柔軟なコミュニケーション力が成功へと導く
辻さん:まず、私が強く感じるのは「コミュニケーション力」の重要性です。ビジネスの現場では、多くの人々と関わります。そうした中でスムーズに意思疎通をすることが、成功への鍵となると思っています。また、入社初期には未知のことが多く、それに対応するためには「学びの姿勢」が欠かせません。自ら積極的に情報を取り入れること、そして何よりもわからないことがあった時には、恐れずに先輩や周囲に質問することが大切です。最後に、私たちの業界では「お客様やメーカーとの関係性」も非常に重要です。信頼関係を築き、長期的な取引関係を継続することが、ビジネスの持続性に繋がると感じています。
実は就職活動においても同じようなことがいえるのではないかと思っています。
学生たちも多くの企業の方々と接点を持ちますし、未知の業界や職種について学ぶことも多いと思います。コミュニケーション力や学びの姿勢が求められるのは同じです。
そして、企業側との信頼関係を築くことが、最終的には内定に繋がると思います。
今回のインタビューを通じて、辻さんから営業の奥深さと実際のフィールドでの対応について多くを学ぶことができました。辻さんの話から、商品の売り込み以上に、お客様との真の信頼関係の構築や、その背景にある経験や体験の積み重ねがいかに大切かを強く感じました。
特に、自ら商品を試食し、その感想を率直に伝えるというアプローチや、提案資料の作成を含む準備の大切さ、新規の営業よりも既存の得意先との関係性構築に焦点を当てることの意義など、具体的な取り組みや考え方が非常に参考になりました。
また、技術やコツだけでなく、自分自身の性格や個性を活かすことの大切さ、そしてそれを「独自のスタイル」として形成していく過程などは就職活動にも役立てるものだと思います。
辻さんの経験や考え方は、ビジネスパーソンとしての基本的な価値観や姿勢を再確認する上で非常に有意義でした。彼の言葉の中には、多くの業界や職種で共通する普遍的な要素が散りばめられており、これから就職活動を頑張るみなさんにとってヒントが詰まっているものと思います。
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