リクルートWebマガジンVamos(バモス)では、今回、食品用自動計量機メーカーの株式会社プラスワンテクノの設計チームに焦点を当て、機械設計を担当する保田さんへのインタビューを実施しました!
プラスワンテクノの強みは、最新の技術を駆使した高度な製品設計と、製造過程における緻密な作業にあります。その技術は多くのメディアでも取り上げられるほど。
保田さんは、プラスワンテクノの中核をなす設計チームの一員として、日々新しい技術とアイデアを追求し、市場に革新をもたらす製品の開発に貢献しています。
インタビューでは、機械設計の奥深さ、チームワークの重要性、そして個々のキャリア成長に対する洞察を保田さんに語っていただきました。現在就職活動や転職を考えているみなさんに、ぜひ参考にしていただきたい内容です。
株式会社プラスワンテクノ
保田 颯
保田さん:機械設計は、日常生活から重工業に至るまで幅広い分野で重要な役割を果たす専門職です。スマートフォンや自動車といった日常生活で使用するものから社会や経済を支える重要な物資(石油・ガス・金属)の生産設備となる大規模プラントまで、あらゆる種類の機械を設計します。機械設計には、私たちの生活を支える仕事とも言えます。
弊社では、特に食品業界向けの自動計量機の設計・製造に注力しています。
これらの機械は、高度な精度と効率を実現するために、数多くの独自技術に基づいています。実は、これまでに多くの特許を取得しており、大手食品メーカー様に納品をさせていただいています。普段食料品の買い物で手に取るような商品が、当社の機械で計量されています。
保田さん:機械設計のプロセスは、まず「どのような機械を作るか」というコンセプト設定から始まります。ここでは、アイデア力、洞察力などが重要で、目指すべき方向性や機能性を考慮しながら、機械の大まかな形状、使用する部品、技術、そして素材の選択に至るまでを考えることになります。
次に、CAD(コンピュータ支援設計)ソフトウェアを使用し、細部の設計と製図を行います。この段階では、機械の強度や機能性を検証し、必要に応じて設計の調整を行います。実際の設計過程では、「この設計方法では問題が生じるかもしれない」「強度が不足しているから別の素材を使用しよう」「この形状はコンセプトに合致していない、構造を見直そう」といった多くの試行錯誤が必要となってきます。 必要に応じて、試作品を作成し、そのフィードバックに基づいて設計の改善を行います。
さらに、強度だけでなく安全性、環境影響、コスト、製造期間など、幅広い要因を考慮しながら、細部にわたる設計を行うため根気と精密さを要する作業になってきます。
そのとおりです。最終段階では、製品が実際の生産ラインで製造されるように、具体的な寸法、材質、部品、加工方法、組立手順などを詳細に記載した設計図(図面)を作成します。
この設計図は、製品の品質と性能を保証するための重要な文書となります。
保田さん:機械設計のプロセスは、個人のスキルだけでなく、チーム全体の協力と努力によって成り立っています。チームとして一つの製品を完成させるためには、様々な課題に直面し、共に試行錯誤しながらクリエイティブなアイデアを見出すことが不可欠になってきます。このプロセスは、個々のメンバーの知識と経験が結集し、最終的には大きな達成感とチームワークの強化につながっています。
常に変化する市場環境の中で、広い視野を持って最良の解決策を模索し続けていくので、特にチームワークを重んじ、技術を身につけたいと思う方には最適な職種だと思います。
保田さん:この達成感がこの仕事のいちばんの醍醐味ですよね。しかし、技術の進歩は目覚ましく、わずか数年で今日の最先端技術が明日の時代遅れになる可能性があります。このため、機械設計においては、常に新しい技術動向に敏感であることが求められます。それぞれの技術がどのように自分の設計に応用できるかという視点でいることは重要ですね。このプロセスには、自身の専門分野にとどまらず、関連する多様な分野の技術動向にも注意を払い、幅広い知識を取り入れる柔軟性が必要です。
さらに、新しい技術を取り入れるだけでなく、社会のニーズを正確に把握し、時代の流れを先読みする能力も非常に重要です。これにより、単に現状に対応するだけでなく、未来の市場を見据えた革新的な製品を創造することも可能になってきます。このようなアプローチは、市場の変化に迅速に対応し、競争優位を確立するために不可欠なものです。
設計技術だけでなく、あらゆるものを吸収しようとするアンテナが大切で、それらを設計プロセスに統合することが求められます。このプロセスこそが、機械設計の業界において求められる資質だと思います。
保田さん:常に学習を要求される仕事のように感じるかもしれませんが、実際はそんなことなく、私の場合はプライベートな趣味から学ぶことが多いです。たとえば、前回のゴールデンウィークには、友人とバイクで福島までツーリングに行き、約5日間かけて旅を楽しみました。かなりのバイク好きで、乗ること以上にカスタマイズがすごく好きなんです。バイクだけでなくレトロカーにも興味があり、部品が入手困難な場合、自分で3Dプリンターを使用して部品を製作し、車を走らせることもあります。
このように日常的にものづくりに携わることで、自然と技術への関心が高まり、新しいアイデアや知識を吸収する能力が養われています。趣味と仕事の間には、技術的な好奇心や創造性を共有する強い結びつきがあり、この両方が相互に刺激し合い、技術的な洞察力や革新的なアイデアの源泉となっているように感じます。私にとって“ものづくり”は単なる職業ではなく生活の一部になっています。
保田さん:機械設計者にとって、コミュニケーション能力も必要とされると思います。 ここでいう“コミュニケーション能力”は、単に相手と快活な会話を交わすことを指すのではありません。むしろ、相手の思い描くアイデアやビジョンを、私たちの専門知識や技術力を駆使して明確に言語化し、形にしていくイメージです。このプロセスでは、クライアントやチームメンバーの要望や期待を具体的な計画や設計に変換していくことが求められます。機械設計者の役割は、社内での設計作業に限定されるものではありません。私たちはチームと共にお客様との打ち合わせに出向き、技術的な説明を行う必要があります。これには、専門知識を分かりやすく伝える能力が求められます。
また一つの製品を設計する場合、複数チームでの協力作業になります。 設計チームだけでなく、製造・マーケティング・品質管理など他部門との密接な連携が不可欠になるわけです。プロジェクト全体で一貫性を持たせ、誤解や情報の行き違いを防ぐためにも、コミュニケーションが重要になります。
機械設計は、試行錯誤の連続です。設計段階では問題がないように見えても、テスト稼動を行うと予期せぬ問題が発生することもよくあります。優れた設計が失敗に終わったとき、迅速に原因を特定し、修正して再びテストを行うという作業の繰り返しが求められます。このような厳しいプロセスに耐え、前進し続けるためには、高いバイタリティと持続的なモチベーションが必要ですね。
機械設計の技術は、短期間で習得できるものではありません。長い下積み期間を経て、豊富な経験を積むことで、真のプロフェッショナルへと成長できると思っています。新人時代は、他部門の同僚が華々しい成果を上げている中で「自分はまだ基礎を学んでいる段階か…」と、もどかしさを感じるかもしれませんが、キャリアが進むにつれて大きなプロジェクトを任されるようになってきます。このように、機械設計者のキャリアパスは「大器晩成型」と言えるかもしれません。経験と知識が蓄積されるにつれ、より複雑で挑戦的なプロジェクトに取り組む機会が増え、専門性と影響力を高めていくということは、日々自分の成長を実感できる仕事でもあるわけです。ぜひ、学生の皆さんにも機械設計という仕事にも興味を持ってもらいたいと思いますね。
保田さん:今、機械設計の世界は常に新しい技術やアイデアが求められるダイナミックな分野だということ。ただ技術を学ぶだけでなく、自分の情熱を見つけ、それを仕事に活かすことができる仕事です。チームで協力し、複雑な問題を解決する過程で得られる達成感や、自分の設計が形となって市場に出る瞬間の喜びは、他では味わえないものだと思います。
また、機械設計は一朝一夕には習得できない専門性の高い仕事です。初めは基礎から学び、徐々に複雑なプロジェクトに取り組むことになるので、長い目で見て自分のスキルと経験を積んでいくことが大切です。挑戦を恐れず、常に学び続ける心を持つことが、この分野で成功するための鍵です。ものづくりに興味があり、技術的な挑戦を楽しむことができる方には、プラスワンテクノでの仕事は非常にやりがいのある選択肢となるはずです。