リクルートWebマガジンVamos(バモス)。今回は大分県の企業にインタビューです。
紹介するのは、佐々木食品工業株式会社。1962年に創業し、以来、青汁原料を主力製品として、健康食品素材の開発・製造に尽力。その結果、業界内でトップクラスのシェアを獲得するまでに成長し、青汁原料メーカーとしての地位を確立しました。また、環境への影響を考慮し、サステナブルな農業実践を通じてカーボンニュートラルを目指すなど、環境に配慮した事業展開を行っています。
佐々木食品工業のもう一つの大きな柱は温浴事業です。
九州地方(福岡・長崎・大分)および山口県にて、「ふくの湯」という名前で複数の施設を運営。ここでは、身体の健康はもちろんのこと、リラクゼーションと心の癒しを提供しています。
さらに、グループ会社を通じて健康食品の通信販売事業やアミューズメントレジャー事業も手掛けており、多角的なビジネスモデルを展開。 特に健康食品分野では「しじみ習慣」などの製品を通じて、日本全国の多くの消費者に健康をサポートしています。
「食」を通じて人々の幸せを創造していく佐々木食品工業。 人々の生活に欠かせない食品を提供し、生命の源として新たな可能性を追求しています。
食品製造にとどまらず、安全で健康的な生活をサポートすることも使命となっているようです。
「だからこそ、私たちは心から向き合う」という佐々木食品工業の言葉は、その熱意と責任感を表しています。
今回のインタビューでは、佐々木食品工業の技術開発課で活躍している中野さんに焦点を当て、彼女の仕事について詳しく伺いました。農学部を卒業し、その知識と経験をどのように現在の仕事に活かしているのか語ってもらいました。
佐々木食品工業株式会社
技術開発課
中野さん
中野さん:私が佐々木食品工業への入社を決意したのは、いくつかの要因が重なったからです。まず、大分県内で食品関連のキャリアを積みたいと考えていたのが大きな理由の一つです。大学では農学を専攻しており、食に関わるさまざまな知識を深めてきました。その中で、特に健康食品に関する興味が強かったです。
佐々木食品工業は、青汁の原材料を製造しており、その業界での地位が確立されている点に魅力を感じました。また、BtoB(企業間取引)向けのビジネスモデルのため、消費者だけではなく、他の企業からのフィードバックも直接耳にする機会が多いんです。このように、異なる視点からの意見を聞くことができる環境は、自分の視野を広げるだけでなく、刺激にもなっています。
これらの理由から、自分の学んだ知識を活かし、同時に成長できる環境として佐々木食品工業は私にとって最適な場所だと感じ、入社を決めました。
中野さん:大学院での研究経験も含め、現実のビジネスシーンは学生時代に学んできたことだけでは、カバーできない複雑さがあり、入社して2年目の現在でも、日々新たな課題に直面していることを実感しています。
しかし、研究などを通して学んできたプレゼンスキルは業務でも役立っていると感じています。特に、コミュニケーションに関しては業務において重要ですし、常に意識しています。具体的には、誤解のないように意図を正確に伝えるという点です。
これは研究レポートを作成する際にも重要でした。
データや研究結果をグラフで表現するとき、どのように伝えるかによって受け手の理解度が大きく変わってしまうからです。
特に注意深く考える必要があるのは、示されている数値が『ただの傾向を表しているのか』、それとも『何らかの現象が必ず起こることを示しているのか』という点です。つまり、グラフが示す数値が一般的な傾向を表している場合、それは「多くの場合においてこのような結果が得られる」と解釈できます。一方で、何かが絶対に起こると示している場合は、「この条件下では必ずこの結果が生じる」という強い確信を意味します。
このような違いを理解し、伝えていくことは、レポートやプレゼンテーションを作成する際に極めて重要です。データをグラフにするときには、この点を念頭に置き、受け手がデータの意味を正確に理解できるように、細かなニュアンスまで配慮して情報を整理し表現する必要があります。そのデータが何を意味しているのか、どのような結論や仮説につながるのかを明確にし、誤解のないように伝える努力をしています。
この経験は、現在の業務だけでなく、日常的な対人コミュニケーションにおいても非常に役立っています。伝え方一つで、相手の理解や反応が大きく異なるため、伝える技術を磨くことの重要性を痛感しています。このスキルは自然と身につくものではなく、意識的に取り組む必要があります。効果的なコミュニケーションスキルを身につけるためには、お手本になる方を見つけ、その方法を学び、まねてみることが最も効果的なアプローチだと思います。
就活生であれば、集団面接の場で、上手に話す人を見つけたら、その人の話し方や伝え方を注意深く観察し、自分のスタイルに取り入れることも重要です。
私自身も、大学院時代にはプレゼンテーションスキルに優れた先輩や同級生から多くを学び、それを自分のスキルに組み込むことで、自分自身の伝える力を高めることができました。
中野さん:社会人として働き始めると、限られた時間の中で高い成果を出すことが常に求められます。もちろん、どの業務にも全力で取り組むのは基本ですが、実際にはすべての仕事を完璧にこなすことは時間的な制約からも難しいのが現実です。そこで私が特に心がけているのは、上司や先輩から任された仕事において、期待されている成果の質や精度を明確に理解することです。これにより、効率的にかつ目的に沿った成果を出すための方向性を確立できます。
また、効率良く業務を進めるためには、分からないことや不確かな点があれば、迷わずに相談することが重要だと考えています。迅速な行動が求められる中で、動けなくなるよりも、不明点をクリアにして進むことが大切です。相談を通じて得た情報や知識については、それを基にさらに自分で深掘りをすることで、関連する業務に対しても自立して対応できるように努めています。このプロセスは、学生時代に研究活動をしていたときに養われたスキルとも言えます。研究では、自ら問題を特定し、必要な情報を集め、解決策を導くというプロセスが常に必要でした。社会人としての業務においても、この経験が大いに役立っていると実感しています。仕事を進める上での問題解決能力は、そのときの学びから来ているかもしれません。
中野さん:実際に挑戦したいことに取り組んでみて、その過程で得られる気づきや経験をとても大切にしています。私の場合、大学院まで進学し、専門的な研究に打ち込んだ経験があります。大学院に進んだ最大の理由は、追求したい学問的テーマがあったからです。しかし、実際に研究に取り組んでみると、自分には向き不向きがあることに気付き、それが就職を選択する大きなきっかけとなりました。挑戦を通して自分自身について深く理解することができ、本当にやりたいことが何なのかを見極めることができました。ただ、理想だけを追い求めると、現実とのギャップに直面した時に大きな困難にぶつかることもあるため、事前にしっかりとリサーチを行うことも欠かしていません。
悩みや不安に直面した時には、ただ悩むのではなく、その悩みを解消するためにどのような行動が必要かを具体的に考えます。そして、考えた行動を実際に取ってみることで、問題を乗り越えてきました。このアプローチは、不確実性が高い状況でも前向きに取り組み、成長する機会を見つけ出す上で非常に有効だと感じています。
挑戦を通して本当にやりたいことが何かを見つけ出すプロセスは、就職活動においても同じことが言えます。自分の興味や能力がどのような職種や業界とマッチするのか、実際に試してみることでしかわからないことが多いです。
そして、方向性が見えてくれば、面接や企業研究など、就活の各段階で出てくる疑問や不安に対して、具体的な解決策を考えて行動に移すことで、より良い結果につながっていくはずです。このように、挑戦を通じて得た学びや経験は、就職活動においても、自己成長と成功に繋がる重要な要素となっていくと思います。
中野さん:まずは、皆さんがこれからの就職・転職活動において、自分自身に正直であること、そして自分の本当にやりたいこと、情熱を持てることを見つけるというこの過程を楽しんでほしいと思います。新しい挑戦から学ぶことの重要性を、私自身の経験を通じて深く理解しています。挑戦は時に不安や恐れを伴うものですが、その過程で得られる学びや気づきは、私たちの成長にとって計り知れない価値があります。
就職活動は単なる仕事を見つけるプロセスではなく、自己理解を深め、自分のキャリアパスを描く機会でもあります。困難や挑戦に直面したときには、その経験から何を学べるかを考え、積極的に行動に移してみてください。また、分からないことがあれば、恥ずかしがらずに質問し、助けを求めることも大切です。それが自己成長への近道となります。
私たちが直面する挑戦や困難は、自分自身をよりよく知り、成長するための貴重な機会です。皆さんがそれぞれの挑戦を乗り越え、希望する未来を手に入れることができるよう、心から応援しています。