株式会社資さん 佐藤社長
北九州市立大学 高木さん 國近さん
リクルートWebマガジンVamosでは、今回北九州市立大学3年生の高木くんと國近くんがインタビュアーを務めます。
二人は就職活動を控える中、地元北九州が誇るソウルフード「資(すけ)さんうどん」の運営元、株式会社資さんの、佐藤 崇史社長に話を聞く機会をいただきました。佐藤社長は、かつてソニーやファーストリテイリング等での経験を経て、2018年に「資さんうどん」の3代目社長として経営を引き継がれ、現在は九州全7県と山口、岡山、大阪、兵庫の1府10県で68店舗を展開。今夏にはさらに関西地区での店舗展開を予定しており、さらなる販路拡大にチャレンジされています。
今回のインタビューでは、「資さん」で働く魅力に焦点を当て、同社の企業文化や価値観について深掘りしています。地域社会との結びつきが働く社員たちのモチベーションなどに、どのような影響を与えているのか。飲食業界を志望する学生だけでなく、他の業界に興味を持つ学生にとっても、価値ある情報が満載です。ぜひ最後までご覧ください。
佐藤社長が「資さんうどん」において『大きな決断』をしたエピソードはありますか?ぜひ聞いてみたいです!
私の中で「資さん」での大きな決断の一つとしてあげられるのは、社長就任直後に『「資さんうどん」をさらに成長させていこう』という方針に舵を切ったことだと思います。今から約6年前になりますが、当時「資さんうどん」の店舗は北九州以外では、福岡県内の一部と、山口県にしか出店していませんでした。「資さんうどん」は、すでに地元の皆さんに愛され、「北九州のソウルフード」と称される存在で、「地域拡大などはせずに、この地で頑張り続けるべき!」と思う社員もいる一方、「これまでの先輩たちから受け継いだ“資さんの自慢の味”をより多くの人々に届けたい」と感じている社員もいました。
私たちは、この「資さんうどん」が持つ、味とサービスに非常に自信を持っています。社内で多くの意見が交わされ、様々な視点から議論された末に『より多くの方に「資さんうどん」を通して幸せを感じていただきたい』と、出店地域の拡大を決断しました。この決断は、私たちの一致団結した思いと、「資さんうどん」への絶対的な自信・地元の皆様からの信頼があってこそ、チャレンジできるという特別なものであると実感しています。
このような大きな決断を下す際には、常に社員の声、お客様の声を大切にしています。その全てが組み合わさった時、私たちは新たな挑戦に向けて一歩を踏み出す勇気を持てるのです。これからも、私たちは信念を持って前進し、さらに多くの人々に愛されるブランドを目指していきます。
事業を広げるという大きな決断が、地元愛とチームの一体感から生まれたという点が、特に心に残りました。そうした価値観を共有できるチームで働くことの大切さも感じました。
これから社会人として、会社の中でどのようなスキル・姿勢を身につけることが重要だと思いますか?
スキルとは少し違うものかもしれませんが、信頼を築くことは社会人として非常に重要です。本当に基本的なことですが、そのためには、何よりも「約束を守る」という基本的な行動が大切です。言葉に責任を持ち、約束したことは必ず守る。これは友人関係でも、ビジネスでも同様です。
たとえば、「資さんうどん」の場合、お客様がお越しいただける理由は、美味しい料理や良質な接客といった期待を「裏切らない」という信頼によると思います。これは個人としても、組織内でも同じで、どれだけ周囲から信頼されるかは非常に重要ですよね。
また、結果を出せなかった時に真摯に反省し、正直にその過程を共有することも信頼を築く上で重要です。失敗を隠すのではなく、それから学び、改善を図る姿勢でいることが、人としての信頼を深めます。もちろん謙虚さも不可欠です。常に上を見て学び続けることで、成長していけるのです。
信頼は一夜にして築かれるものではありません。一つひとつの小さな行動や決断が積み重なっていくことで、徐々に周囲からの信頼を得ていきます。この信頼が基盤となって、やがては大きな影響力を持つことができるようになってきます。ですから、信頼を積み重ねることが、社会人としての成長には欠かせない要素であり、そういった姿勢で常にいることが重要だと思いますね。
信頼を築くためにも誠実さや謙虚さ、常に上を目指す姿勢を忘れずに頑張っていきます。
佐藤社長が「資さんうどん」に来られてから、企業文化に変化を感じますか?また、企業文化はどのように意識していますか?
社長就任以降で、「資さん」の企業文化で大きな変化は特にないかなと思っています。それは、「資さん」の根底にある文化や価値観が非常に強固であり、私自身がそれを非常に尊敬し、愛しているからだと思います。私の仕事は「資さん」の文化や伝統を大切に守りながら、さらに進化させることです。この会社が長年にわたり築いてきた信頼と、地域社会との強い結びつき、社員との信頼関係は非常に大切にしています。
私の役割は、これらの価値を継承しつつ、現代の変化に適応させる方法を見つけ出すことにあります。例えば、市場の変化に応じて、業務の効率化や新しいマーケティング戦略を取り入れることもありますが、その全ては「資さん」の核となる価値観を守りつつ行います。日々の課題に直面するたびに、今ある企業文化が私たちを支え、前進させてくれます。だからこそ、企業文化の重要性を理解し、それを守りながらも革新的な取り組みを進めるバランスを取ることが、私にとっての最大の課題であり、同時に喜びでもあります。
「資さんうどん」が、どれだけ企業文化を大切にしているかが伝わってきました。
最近メディアで見かけることも多いですが、「資さん」が出店地域を拡大していることについて興味があります。今後の10年でどのようなチャレンジを行い、資さんで働く皆さんがどのような経験をすることができるか教えてください。
現在は、今後10年のビジョンの実現に向けて、「資さんうどん」を全国的に認知されるブランドに育てることに注力しています。昨年(2023年)には長崎県にも新たに店舗を出店し、九州全県に店舗を構えることができました。これは大きな節目であると感じていて、「北九州の資さん」から「九州の資さん」にかなり近づいているという実感を得ることができました。 そうなると、次の目標は「日本の資さん」として、より多くのお客さまに当社のうどんを愛してもらうことです。「讃岐うどん」を筆頭に、様々なジャンルのうどんがありますが、その選択肢の1つとして「資さんうどん」が認知されることを目指しています。
「資さんうどん」がこれまでに地元のお客さまに愛され、店舗を拡大してこられたのは、その味だけでなく、『「資さんうどん」で食事をする』という体験全体をお客さまが評価してくださっているからだと思っています。
その「体験価値」はこれから店舗を拡大していったとしても変わらずにお客さまに提供し続けていかなければなりませんし、さらに向上させていかなければならない。それを実現するためには、社員一人ひとりの成長が不可欠です。今以上に、様々な仕事や役割が増えていき、さらなる高い質が求められるようになってきます。その内容は、例えば新メニューの開発だったり、地域ごとのマーケティング戦略の立案と実行など、非常に多岐にわたるものです。
社員一人ひとりが新しいことへ挑戦し、成長していく。そうすることが会社全体の成長に繋がると考えています。世界中の人が「資さんうどん」を召し上がっている未来を夢見て、私たちは一丸となって努力し続けるつもりです。
「資さんうどん」が全国、そして世界へと展開を考えている計画に感動しました。社員一人ひとりが大きなビジョンの実現に向けた役割を果たすという考え方、そして地域ごとに異なるマーケティング戦略や新メニュー開発など、多岐にわたるチャレンジが可能であることが非常に魅力的ですね。
「資さん」は1976年に一号店が開店して、1980年に法人化されてからもう44年が経ちますが、私たちはまだまだ発展途上です。特に、九州という地域から全国へ、そして将来的には世界へと展開していくこの過程では、会社としても、社員一人ひとりとしても、多くの新しいチャレンジを経験できると思います。
入社してくれる新しいメンバーには、ただ既存の流れに乗るのではなく、これからの資さんを形作るために一緒に新しい「レール」を敷く役割を担ってほしい。その意味で、資さんは創業から48年経ってもなお、ベンチャースピリットを持ち続けていると言えます。これから新しく取り組むべきことが山ほどあり、チャレンジを恐れず、常に革新的であることが求められます。
これからの「資さん」のさらなる成長や、そのためのプロジェクトは、入社した皆さんにとっても、大きな成長の機会となるはずです。私たちと一緒に、「資さん」を新たな段階へと押し上げるため、創造的かつ情熱的に取り組んでいく人財を心から歓迎します。
革新を重んじ、積極的に新しい挑戦を続けていることに大いに魅力を感じました。
次回は豊富なキャリアを持つ佐藤社長に就職活動や新社会人として持つべき心構えについてインタビュー。
「おもしろい仕事を見つけるためには何が必要か?」そして「長期的なキャリアの成功にはどのような要素が必要か?」という点について佐藤社長に伺っていきます。
これから社会に出る皆さんにとって、目指すべき方向性や取り組むべき課題を明確にする手助けとなってくるはずです。ぜひご期待ください。
株式会社資さん社長×北九州市立大学学生 学生対談 #1 はこちら