この度、リクルートWebマガジンVamos(バモス)は、北九州市立大学の学生2名がリズム食品株式会社の岡本社長に特別インタビューを行いました。今回のインタビューでは、岡本社長のリーダーシップに対する考え方や、同社の事業展開について詳しく伺ってきました。
リズム食品は、「風風ラーメン」、「一麺亭」、「桜吹雪が風に舞う」という3つのラーメンブランドを展開しており、各ブランドごとに独自のこだわりを持ち、顧客からの高い満足度を誇っています。特に「風風ラーメン」は、全国に39店舗を構えるフランチャイズ事業としても成功を収めており、加盟店の60%以上が複数店舗を運営しているなど、その安定性が際立っています。フランチャイズサポート本部では、立地選定から店舗設計、営業計画、資金計画に至るまで、加盟店に対して徹底したサポートを提供。また、食材供給から人材教育までを一手に担い、未経験者でも短期間でラーメン作りをマスターできる体制を整えています。
そんなリズム食品の岡本社長のインタビューを通じて、就活生にとっては社会で求められるリーダーシップの新たな視点を感じることができるはずです。ぜひ最後までご一読ください。
リズム食品株式会社 岡本社長
北九州市立大学 國近さん 高木さん
今日はリズム食品の代表、岡本社長にお話を伺います。 まずは、リズム食品はどのようにしてフランチャイズ事業をスタートされたのですか?
もともとは祖父の代から洋服店として始まりました。地道に一店舗一店舗と確実に経営を行い、父の代には居酒屋事業で大きな成功を収めました。80年代には、多くの方からフランチャイズ展開を求められるようになり、そこから本格的にフランチャイズモデルを構築し始めましたね。
フランチャイズ事業におけるリズム食品の特色はどういったものになるのでしょうか?
リズム食品ではフランチャイズ本部として、加盟店に対して充実した支援を行ってきました。特に、立地選定や店舗運営のノウハウ、さらには独立後もフォローアップを重視しています。研修や教育面でも随時サポートを提供し、店舗が独立しても常にサポート受けられる環境を提供しているのが私たちのスタイルです。
洋服店から居酒屋事業、そして現在はラーメン店ということですが、事業の転換点などを教えてください。
90年代のバブル崩壊が大きな転換点ですね。それまでの高級店よりも大衆向けの店舗が求められるようになり、それに応える形でラーメン事業を開始しました。ラーメン事業は初めてでしたが、過去のフランチャイズ化してきた経験を活かし、直営店となる1号店からフランチャイズ化を意識して運営していました。
具体的にどのようなアプローチを取り入れたのですか?
かつてのラーメン店は無愛想で職人気質が強いイメージが一般的でしたが、私たちは明確に接客業としてのアプローチを取り入れました。特に、「いらっしゃいませ」という挨拶を始めたことは、ラーメン業界において画期的な試みだったんです。さらに、店舗の清潔さを保つことも、新たなコンセプトとして注目されました。様々な業界での経験を活かし、お客様に快適な環境を提供することに注力し、そこから差別化を図りました。
確かに今のラーメン屋さんは「元気よく接客してくれる」というイメージですが、画期的なアプローチだったんですね!
そうですね。「ラーメン屋=愛想がない」みたいなイメージだったんですよ。現在は、全国に1000店舗を目標に展開しており、全店を通じて一貫したマニュアル化された運営を行っています。また、各店舗で一貫した品質のサービスが提供できるように、数値管理やオペレーションの教育にも力を入れています。
店舗数が増えてくれると一貫した品質やサービスを維持するのは難しそうな気がします。
最初の店舗から、美味しいラーメンを提供するだけでなく、すべてをマニュアルに落とし込むことということを意識してスタートさせました。2号店を東京の高円寺に出店したのは、情報が集中する東京でなければ、フランチャイズとして成功しづらいという時代背景があったからです。とにかくフランチャイズ化ありきでスタートさせました。
私たちは初めからマネジメントにこだわり、損益計算書の理解やコスト管理など、経営に必要な知識を提供する環境を大切にしていましたね。
フランチャイズ本部では、加盟店から常に研修生を受け入れ、ただのオペレーションチェックや指導に留まらず、数値管理を含めた幅広い教育を行っています。これにより、加盟店にメリットがあるだけでなく、ブランド価値を高める質の高い店舗が増えることにもつながるのです。しかし、重要なのは、単に業務をこなすレベルを上げることではなく、人間関係や信頼構築に努めることも重要になります。組織全体で素晴らしいアイデアを共有し、常にマニュアルをアップデートすることで、進化し続ける組織となるわけです。
時代に合わせて変化していくことは簡単なことではないと思いますが、フランチャイズ事業の成功の秘訣を教えてください。
まさに、人間関係を大切にすることにあります。加盟店から寄せられる意見を丁寧に聞き、良いアイデアは組織全体で共有し、ビジネスモデルを継続的にアップデートしています。また、終わりのない探究心を持ち続けることも非常に重要ですね。
加盟店との関係もやはり重要なんですね。社長の考えを数ある加盟店にしっかり届けるにはどのようにしているのですか?
まずは私の考えを社員にしっかり伝えていきます。時間をかけ、時には失敗しながらも、私が本当に広めたいことを理解してもらう必要があります。このプロセスを通じて、社員たちは私の考えを深く理解し、それを自らのものとして取り入れることができるようになります。
私たちの目標は単に利益を追求することではなく、関わるすべての人々が幸せを感じる環境を創造することです。全国の店舗を訪問して直接この思いを伝えたいところですが、時間的な制約があるため、信頼できる社員たちにその役割を任せています。
社長の考えを社員にしっかりと理解してもらうことが事業成功に不可欠だと感じました。社長の想いなどはどのように共有されていますか?
経営理念は重要になってきますが、ただ打ち出すだけでは意味がありません。 大切なのは私自身が誰よりもこの理念に従って行動することで、社員にもその大切さを示しています。また、理念が実際に社内で浸透しているかを確認するため、成果を測る指標として数値管理があると考えています。単に利益を追求するためではなく、理念に基づいた行動が実際に結果として現れているかを見るためです。理念を日常の行動に落とし込むことで、社員一人ひとりがその価値を理解でき、実践してくれるようになると思っています。
その先にはあるものは、自分の判断で行動できるより強固な組織です。 そして、その強さが、さらなる事業の拡大につながるはずです。
時には失敗することもありますが、その失敗は学びと成長の機会です。一人ひとりが成長することで、会社もまた強くなるのです。だからこそ、チャレンジを恐れず、積極的に新しい試みに取り組むことが大切なんです。このアプローチにより、全員が会社の使命に共感し、より優秀なチームを形成することが可能になる。この結果として、今のリズム食品があると考えています。
自分の判断で行動できる組織とは、リズム食品で社員の皆さんがどのような権限を持っているんでしょうか?
リズム食品では、特に店長にはかなり広い裁量を与えています。毎日異なるお客様が来店されますので、オペレーションに一貫性を持たせるのは難しいんです。マニュアルはしっかり基本がありますが、イレギュラーな対応は、私の想いや価値観が伝わっているので、店長たちはその場その場での状況判断を迅速に行い、臨機応変に対応できるんです。このように自由に判断することはお客様との対応以外でも、新しいアイデアを生み出す源泉となっています。
現場からアイデアなども上げやすい環境なんですか?
もちろんです。たとえば、新型コロナウイルスの影響で環境が大きく変わった際、電子決済の導入、SNSを利用した集客強化、デリバリーサービスの拡充など、店舗ごとに様々な施策を自発的に実行しました。これらの取り組みは全て現場のアイデアから生まれ、本部がトップダウンで指示するのではなく、店舗が主体的に行動することで実現しています。成功した施策は他の店舗にも展開され、全体のサービス向上に貢献してくれています。
店舗が主体的に新たな取り組みを実践しているのですね!
商品開発においても、店長やスタッフからのアイデアが積極的に取り入れられていますよ。限定メニューや新しい味の提案など、現場のスタッフが持ち寄ったアイデアをもとに開発が進められています。これは、単に本部が指示するのではなく、各店舗の創造力を生かした協働の結果です。
このような環境が、スタッフ一人ひとりがチームとして機能し、お互いに学び合いながら成長できるよう支援しています。現場での自由な発想と試行錯誤が、会社全体の革新を推進し、顧客満足度の向上にもつながっています。そして、これが最終的には店舗の売上向上にもつながっているわけです。
今回は、リズム食品のフランチャイズビジネス成功の秘訣に焦点を当てたインタビューでした。岡本社長の熱い想いを社員全員で共有し、それが事業の成功につながり、社員一人ひとりのやりがいにもつながっていることが印象的でした。次回は、リズム食品で成功するリーダー像について詳しくお伺いします。これから社会人として羽ばたいていく皆さんにとって、必ず役立つ情報になるはずですので、ぜひご期待ください。