Vamos
地域経済を支えるBtoB物流 | 福岡県で就活・転職に役立つ情報満載Vamos (バモス)
地域経済を支えるBtoB物流 

地域経済を支えるBtoB物流 

福岡県北九州市に本社を構える九州シティフレイト株式会社は、1978年の設立以来、地域の物流を支える重要な役割を果たしてきました。現在は日本トランスシティグループの一員として、その伝統と革新を融合させながら、地域経済の発展に貢献し続けています。同社の豊富な経験と先進的な取り組みについて、常務執行役員である柵木(ませき)さんにリクルートWebマガジンVamosの学生リポーターがインタビューを実施しました。 

このインタビューでは、九州シティフレイト株式会社の半世紀近くに及ぶ歴史を振り返るとともに、現在の多岐にわたる事業内容について詳しく伺いました。また、急速に変化する物流業界において、同社がどのようにして地域に根ざした企業としての姿勢を維持しつつ、革新的なサービスを提供し続けているかについても、柵木さんから興味深い洞察を得ることができました。 

九州シティフレイト株式会社

常務執行役員 柵木 亮

創業から現在までの歩み 

今日はお時間ありがとうございます。まず、九州シティフレイトの歴史について詳しく教えていただけますでしょうか?

当社の歴史は1978年にさかのぼります。『北九運送』という名前で創業し、九州地域の物流ニーズに応えるべく事業をスタートさせました。創業当初から、地域に根ざした企業として、お客様の多様なニーズに応えることを使命としてきました。 

そして、1982年に四日市倉庫、現在の日本トランスシティ株式会社からの資本参加を受け、より強固な経営基盤を築くことができました。この提携により、私たちは地域密着型のサービスを維持しつつ、より広範囲な物流ネットワークを構築することが可能となりました。以来、日本トランスシティグループの一員として、グループの総合力と私たちの地域に根ざしたサービスを融合させ、お客様により高品質な物流ソリューションを提供し続けています。 

大きな転換点だったのですね。現在の事業展開についても詳しくお聞かせいただけますか? 

現在、当社は東証プライム市場に上場している日本トランスシティグループの重要な一員として、福岡県を中心に九州地区全体で幅広い物流サービスを展開しています。私たちが特に注力しているのは、地域に密着した高品質な物流サービスの提供です。これは単なるスローガンではなく、私たちのビジネスモデルの核心部分です。 

具体的には、得意先企業の皆様のニーズを丁寧にヒアリングし、それぞれの要望に合わせたサービスを提供することで地域社会の発展に貢献したいと考えています。例えば、九州発関東、関西、中部圏への、貨物の特性に合わせた安全かつ安定的な輸送や、厳密な温度管理が必要な商品の保管など、顧客や地域特有の課題に対応したソリューションを開発しています。また、北九州市、福岡市の地理的特性を活かし、港湾や空港との連携を強化した効率的な輸送ルートの開発にも力を入れています。 

これらの取り組みを通じて、私たちは地域経済の発展に貢献できていると自負しています。単に物を運ぶだけでなく、地域の産業を支え、新たなビジネスチャンスを創出する、そんな役割を担っているのです。 

地域密着型のサービスが御社の大きな強みなんですね。 

私たちは決して単なる物流会社ではありません。地域の発展を支える重要なパートナーとしての自覚を持ち、日々の業務に取り組んでいます。物流は地域の血流のようなものです。その血流をスムーズにし、地域全体の健康を維持する、そんな役割だと思っています。 

技術革新やデジタル化の波に乗りつつ、地域の皆様との face-to-face のコミュニケーションを大切にしながら、地域の未来を明るく照らす存在であり続けたいですね。 

幅広い物流サービスの提供 

物流というと運ぶというイメージばかりが強かったのですが、お客様の課題を解決していくという重要な業務でもあるのですね。

当社の事業は多岐にわたり、地域のニーズに応える総合的な物流サービスを提供しています。創業の原点は運送業務ですが、現在では、倉庫内作業、デリバリーや貿易実務に関する事務業務と、幅広く展開しています。現在、北九州市に2か所、福岡県粕屋郡に2か所、合計4つの戦略的な拠点で事業を展開しています。これにより、九州全域をカバーする効率的な物流ネットワークを構築しています。

運送業務の具体的な内容や、独自の取り組みについても教えていただけますか?

運送業務においては、自社所有のトラックを使用する貨物運送業と、他社のトラックを効率的に活用する貨物利用運送業の両方を展開しています。この柔軟な体制により、お客様のニーズに応じて最適な輸送方法を選択できるのが強みです。また、倉庫内作業では、プラスチックの原料、自動車部品、食品添加物など、多種多様な製品を取り扱い、高度な保管・管理を行っています。製品の品質を最高の状態で保つために、温度・湿度の管理や、最新のテクノロジーを駆使し徹底した管理システムを導入しています。さらに、IoTやAIを活用した在庫管理や配送ルート最適化など、次世代の物流サービスの開発にも積極的に取り組んでいます。

物流業務って複雑なんですね。考えてみると配達日などをしっかりと守ってくれることはすごいことですよね。 

そうでしょう?物流業務は非常に複雑で、同時に重要性も極めて高いものです。単に物を運ぶだけではなく、適切な環境で保管し、正確に管理することが求められます。特に温度や湿度の管理が必要な製品では、わずかな変化が品質に大きな影響を与える可能性があります。そのため、私たちは常に細心の注意を払い、最新のテクノロジーと熟練スタッフの経験を融合させることで、お客様の信頼に応えられるよう努力しています。また、社員教育にも力を入れ、高度な専門知識と柔軟な対応力を持つ人材の育成に注力しています。これらの取り組みにより、複雑化する物流ニーズに対して、常に最適なソリューションを提供し続けることができるのです。

地域経済と共に成長する姿勢 

地域経済の発展に深く関わっていることがよくわかりました。そのような重要な役割を果たすために、何名体制で事業を展開されているのでしょうか?

現在、総勢110名のスタッフが在籍しています。地域に密着したきめ細かなサービスを提供すると同時に安定したサービスを提供できる体制を整えています。 

全てのスタッフが一丸となって物流業務に取り組んでおり、それぞれが自分の仕事が地域社会にどのように貢献しているかを理解してくれています。スタッフ一人ひとりの努力と献身があってこそ、私たちは地域社会に貢献できているのです。彼らの日々の働きに心から感謝しています。

素晴らしいチームワークと組織力を感じますね。

最新技術を取り入れたピッキング作業 

運送業務以外にも行っている他の業務はどんなものがありますか? 

当社では倉庫で保管している貨物をお客様の要望に応じて出荷する『ピッキング作業』において、常に効率化と精度向上を追求しています。この作業は日々進化を遂げており、私たちも最新のテクノロジーを積極的に導入しています。以前は、紙の伝票を手に持って目視で確認しながら作業を行っていましたが、現在ではデジタル端末を使用しています。これにより、デジタルデータと貨物の照合を迅速かつ正確に行えるようになり、作業効率が飛躍的に向上しました。バーコードやQRコードを活用することで、人為的ミスを大幅に削減し、ピッキングの精度を高めています。

技術の進歩によって、作業効率が大幅に向上しているのですね。

そうですね。物流業界全体の傾向として、さらなるデジタル化とAI技術の導入が進んでいくと思います。例えば、近い将来、紙の伝票が完全に不要となるだけでなく、AIによる需要予測や最適な在庫配置の提案など、より高度な物流マネジメントが可能になると考えています。当社としても、こうした新しい技術を積極的に導入し、業務の効率化と正確性を追求していく方針です。同時に、社員のスキルアップにも力を入れ、技術と人材の両面から物流サービスの質を高めていきたいと考えています。

物流業界でもテクノロジーの活用と人材育成の両立が重要になってきているのですね。

物流加工とカスタマイズされた物流サービス 

その他にも業務はたくさんあり、当社では『物流加工』と呼ばれる業務も実施しています。これは付加価値の高いサービスです。具体的には、お客様からお預かりした貨物を小分けしたり、セットにしたりする作業などです。例えば、大量の貨物を効率よく梱包し直して配送するための工夫など、多岐にわたる作業を行っています。これらの作業は、一見単純に見えるかもしれませんが、実は高度な正確性と効率性が求められる重要な工程なのです。

そういった細かなニーズにも対応されているんですね。

物流加工業務を通じて、私たちはお客様一人ひとりの多様なニーズに合わせてカスタマイズされたサービスを提供することができます。これにより、お客様のビジネスの効率化やコスト削減を直接的に支援しています。例えば、商品の組み立てや包装を当社で行うことで、お客様は自社での作業スペースや人員を削減でき、本業に集中できるようになります。また、季節商品や限定商品の迅速な市場投入を可能にするなど、お客様の販売戦略にも大きく貢献しています。このように、流通加工は単なる輸送や保管にとどまらない、高付加価値のサービスとして、お客様のビジネス成功に不可欠な役割を果たしているのです。 

環境に配慮したフェリー輸送とバルクコンテナ輸送 

環境面に配慮した経営理念も重要な柱の一つです。特に注力しているのが、フェリーを活用した輸送システムです。フェリー輸送は、従来のトラックによる陸上輸送と比較して、CO2排出量を大幅に削減できる環境に優しい運送手段なんです。

さらに、フェリー輸送には環境面以外にもメリットがあります。例えば、長距離輸送におけるドライバーの負担軽減や、交通事故リスクの低減なども実現できています。このように、環境保護と安全性、効率性を同時に追求することで、持続可能な物流システムの構築に貢献しています。

素晴らしい取り組みですね。輸送方法によって環境面の負荷が大きく変わってくるんですね。 

もう一つのユニークな取り組みとして、コンテナを活用したバルク輸送に力を入れています。プラスチック原料など合成樹脂の物流を、合成樹脂製造工場での引取りから、その需要家であるお客様の工場のサイロ投入まで一貫して行おうという輸送サービスです。この輸送には、バルクコンテナという特殊なコンテナを使用しているんです。 

このバルクコンテナの特徴は、内部に大容量の袋が装填されていて、大量の合成樹脂を効率的に充填できる点です。この方法により、従来の輸送方法と比べて、積み込みや荷下ろしの時間を大幅に短縮でき、エネルギー消費も抑えられます。 バルクコンテナから納入先工場のサイロへ直接原料を投入する納品形態なので、お客様による原料投入工程を省略できるメリットもあります。 

さらに、このシステムは輸送効率を向上させるだけでなく、原料の品質保持や異物混入防止にも効果的です。結果として、輸送時のロスを最小限に抑え、資源の無駄遣いを防ぐことができるんです。 

このように、私たちは常に新しい技術や方法を模索し、環境保護と効率的な物流の両立を目指しています。

技術が環境面に役立っているんですね。

輸出入関連業務と社員のスキルアップ支援 

貿易に関する業務も手がけているんですか?


はい。当社は日本トランスシティグループの一員として、取引先様の輸出入に関連する業務も行っています。輸出入事務には通関と言って、輸出入される貨物に関する申告を税関に行い、必要に応じて関税等の納付を代行するなど国際貿易において欠かせない法的手続きも含まれます。例えば、海外から輸入される商品には、その種類によって異なる税率の関税が課される場合があります。そのため、輸入しようとする商品がどんなものなのか、関税はかかるのか、かかるのであれば税率はいくらになるのか、正確・迅速に見極めなければなりません。通関自体は日本トランスシティが行うのですが、関連する業務は当社スタッフが担当しており、専門的知識をフル活用してこれらの業務を適切に行うことで、お客様の国際ビジネスがスムーズに進行するサポートをしているのです。

非常に専門性の高い業務だと思うのですが、このような高度な業務を取り組むためには、社員の皆様の継続的なスキルアップが不可欠だと思います。どのような取り組みをされているのでしょうか?

社員のスキルアップできる環境を用意することは重要ですよね。グループとしても、輸出入業務に不可欠な『通関士』の資格取得を全面的にバックアップしており、受験対策講座の費用補助や有資格者への資格手当支給など、社員の意欲を高める仕組みを整えています。国際物流の分野では、高度な専門知識と柔軟な対応力が求められます。そのため、社員一人ひとりの成長が、即座に会社全体の競争力向上にもつながってきます。

トラック運転手不足と九州シティフレイトの対応策 

物流業界全体で課題となっているトラック運転手不足について、御社ではどのような対策を講じていらっしゃいますか?

トラック運転手の確保は、確かに業界全体で直面している重要な課題です。特に長距離輸送を担当する運転手の確保が困難な状況にあり、これは当社にとっても例外ではありません。しかしながら、当社では独自のアプローチでこの課題に対応しています。 

具体的には、長距離輸送においてフェリーを積極的に活用するという戦略を採用しています。フェリーの利用率を高めることで、運転手が直接関与する輸送区間を短縮し、結果として運転手の負担を大幅に軽減することができます。この方法により、限られた人員でより効率的な輸送を実現し、運転手不足の影響を最小限に抑えることができているのです。 

さらに、この取り組みは単に運転手不足への対応策というだけでなく、運転手の労働環境改善にも大きく貢献しています。長時間の連続運転や不規則な勤務時間といった、トラック運転手特有の厳しい労働条件を緩和することで、既存の運転手の定着率向上や新規採用の促進にもつながっています。 

なるほど、フェリー輸送の活用が2024年問題などの課題解決にもつながっているのですね。多様な輸送システムが、このような柔軟な対応を可能にしているんですね。

そうですね。多様な輸送手段を持つことは当社の大きな強みの一つです。様々な輸送モードを組み合わせることで、お客様のニーズに合わせた最適な輸送システムを提案できます。これにより、運転手の労働環境改善と効率的な輸送の両立を実現しつつ、環境負荷の低減にも貢献しています。

物流業界におけるBtoBの重要性 

最後にBtoB物流の重要性について、柵木さんのお考えをお聞かせください。特に、産業界全体におけるその役割と影響について詳しくお聞きしたいです。

BtoB物流は、一般消費者の目には直接触れにくい部分ですが、実は産業全体のサプライチェーンを支える極めて重要な役割を果たしています。物流業界の中でもBtoBは基盤となる部分であり、その効率化や信頼性の向上は産業全体に大きな影響を与えます。例えば、製造業における部品の調達や完成品の配送、小売業における商品の仕入れなど、ビジネスの様々な場面でBtoB物流が欠かせません。効率的で信頼性の高いBtoB物流システムがあってこそ、企業は迅速な商品供給や在庫管理の最適化を実現できるのです。当社は、地域の企業を支える物流サービスを提供し続けており、特に自動車産業や電子機器産業などの大規模なサプライチェーンの重要な一部として機能しています。当社の取り扱う貨物は直接一般消費者に届くものではありませんが、間接的に社会全体を支える役割を果たしていると考えています。さらに、環境に配慮した輸送手段の選択や、梱包材の削減などにも積極的に取り組んでおり、サステナビリティを重視する企業のニーズにも応えています。BtoB物流は、ビジネスの舞台裏で黙々と働く縁の下の力持ちのような存在ですが、その重要性は今後ますます高まっていくと確信しています。私たちは、この重要な役割を担う者として、常に革新を追求し、お客様と社会に貢献し続けていきたいと考えています。

私たち学生にとってBtoB物流はイメージしづらいものでしたが、今回のインタビューを通じてその重要性ややりがいがよく理解できました。本日は貴重なお話をありがとうございました。

こちらこそ、ありがとうございました。皆さんの業界研究などにも役立ててもらえたら嬉しいです。就職活動、頑張ってくださいね!

取材協力:
常務執行役員 柵木 亮
九州シティフレイト株式会社
会社情報はこちら