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教えて!SDGs 学生リポーター ギラヴァンツにインタビュー
2024/10/16

教えて!SDGs 学生リポーター ギラヴァンツにインタビュー

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今回インタビューに協力していただいたのは、北九州をホームタウンとして活動するプロサッカーチーム「ギラヴァンツ北九州」社会連携推進部の北出さんです。 

ギラヴァンツ北九州といえばやはりサッカーのイメージが強いですが、その活躍はピッチの上だけに留まらず、さまざまな社会貢献活動にも果敢に取り組んでいます。 

今回は「これからの未来をつくる社会貢献とは」をテーマに北九州市立大学地域創生学群の日髙さんと坪根さんがインタビューしました。 

株式会社ギラヴァンツ北九州
社会連携推進部 北出さん

学生:私たちは北九州市立大学 地域創生学群で、まちづくりの仕組みや実践などを学んでいるのですが、ギラヴァンツ北九州がさまざまな社会貢献活動を行っていると聞きすごく興味が湧きました。なぜそのような活動を始めたのでしょうか。 

北出さん:まず、Jリーグには「ホームタウンにおいて社会貢献活動やサッカーをはじめとするスポーツの普及に努めなければならない」という理念があるんです。この活動をJリーグでは「シャレン!(社会連携活動)」と呼んでいて、3者以上の協働を定義にしています。地域課題にスポットを当て、行政や企業と手を取り合ってみんなで価値を創り出そうというのが目標です。ギラヴァンツ北九州はホームタウンの北九州市を含め、フレンドリータウンとして18市町と協定しています。全部で60あるJチームの中で、フレンドリータウン協定を結ぶ数としてはかなり多い方だと思います。 

学生:ギラヴァンツはたくさんの市町で協定しているんですね!このシャレン活動は昔からあったんですか? 

北出さん:Jリーグはもともと地域に密着したものなので、各チーム“ホームタウン活動”という形で地域への活動を行ってきました。これまで各クラブ合わせて2万回以上の活動がありました。でも中身を紐解くと『地域のお祭りにチームマスコットを呼ぶ』『イベント時に試合の告知をする』など「もっと地域のためにできることはないのか?」という声も上がっていたんです。そこで2018年5月にJリーグ主導で「シャレン!」が始まりました。 

学生:地域への活動に本気で向き合っていくという思いが伝わりますね! 

北出さん:そうですね!シャレンのキックオフパーティーの後もJリーグが主導になって勉強会を今でも定期的に開いてくれてます。交流はもちろん他のチームの取り組みも勉強になるのでできる限り参加していますよ。 

 学生:では2018年のシャレン!の始まりから地域への活動は大きく変わったんですね。 

北出さん:3者以上での活動という意味でも大きく変わりましたね。さまざまな取り組みを行ってきたんですが、第一弾という形で一番最初に取り組んだのは、2021年のホームゲームで、サポーターから過去のユニフォームや使わなくなったサッカー用品を集めて、アフリカの子供に届けようと地元のNPO団体と協働で企画しました。ほかにも、苅田町では農事組合や子ども育成連合会と協働で農業プロジェクトとしてお米(白川米)を作ったり、ホームゲームの際に北九州市と地元の大学で防災イベントを行ったり、地元小学校のPTAとの野鳥を守る活動など、教育や環境、SDGsなどあらゆるテーマで活動しています。

北出さん:では、逆に質問です! 学生さんから見て、ギラヴァンツ北九州のホームタウンである北九州市の抱えている課題ってなんだと思いますか? 

学生:やっぱり少子高齢化ですかね。大学1年の時に北九州市の課題について取り組む機会があったのですが、高齢化率がすごく高くなっていることを改めて感じました。 

北出さん:そうですよね。北九州市では数年後には約3人に1人が高齢者になるといわれていて、かなり深刻な課題だと思います。高齢者の皆さんがいつまでも元気で楽しく過ごせるように、スポーツの普及に努めています。また、寝たきりの人や障がいのある方に仕事を通じて生きがいをもってもらおうと、ロボットの遠隔操作による就労支援も行いました。「OriHime」というロボットを遠隔で操作してもらい、会場でチケットを渡したりサポーターを案内したりして、クラブの一員として働いてもらったんです。スタジアムに来れない人でも雰囲気を感じてもらえるし、何よりも「仕事ができる」という喜びが生きがいにつながってもらえたら嬉しいですよね。 

学生:地域課題に特化した素晴らしい取り組みですね。これからの未来を作る社会貢献としてもう一つ、私は環境問題がすごく重要だと思っています。環境活動についての取り組みはどのようなものがありますか。 

北出さん:「ゴミをゴミにしない」という循環型の取り組みに力を入れています。たとえば、スタジアムでサポーターたちから回収した古着を、若松にあるJEPLANさんという会社で細分化して新たな服を作ってもらうんです。でも最初のデザインはすごくシンプルで少し物足りないなと感じました。なので、地元の高校生を巻き込んでデザインコンペをして、選手たちに選んでもらおうと。出来上がったTシャツはスタジアムで販売したりイベントの賞品にしたりしてすごく好評だったんですよ。 

ほかにも、ホームゲームの時にゴミとして出る紙コップを集めて堆肥にし、行橋高校の農業技術科でこの堆肥を使って野菜を作ってもらいました。出来上がった野菜はスタジアムで販売したり、マルシェの食材に使ってもらったりして喜んでもらえましたよ。いずれも集益は全額、高校生たちの今後の活動資金として使ってもらっています。 

学生:参加した学生さんたちにとっても、すごく貴重な機会ですよね。北出さんがシャレン!を企画するにあたり、学生の学びについてもやはり意識されているのでしょうか。 

北出さん:そこはすごく大切にしていますね。先ほどお伝えした苅田町での農業プロジェクトでも、そこはすごく意識しました。イベントではギラヴァンツ北九州のジュニアユース(中学生)の選手たちが地域の小学生たちにサッカーを教えたのですが、そこには大人は一切介入せず「子どもたちだけの世界」を作りました。教える子供、教えられる子供の間に、子供同士ならではのつながりが生まれる。ただ楽しいだけのイベントで終わるのではなく、なにかそこに「学び」や「成長」が感じられる場にしていきたいですね。ちなみに、収穫した米は商品化して、スタジアムでの販売はジュニアユースの選手とトップチームの選手にも販売してもらいました。中学生の選手たちには社会とのつながりの場も持ってもらえたらと思っています。 

学生:北出さんのアイデアがとにかく素晴らしいですよね。そのアイデアはどのようにして生まれているのかを知りたいです。 

北出さん:そうですね…特に意識しているわけではないのですが、テレビは常にニュースを観ていますね。ドラマとかバラエティ番組よりも、昔からニュース番組がすごく好きなんですよ。そこで「あ、今こんなことが社会問題になっているんだな」と知るきっかけにはなっています。あとは、入浴やウォーキングを1時間くらい行うのですが、そんな時にアイデアがひらめくことが多いですね。 

学生:日頃からいろいろなことにアンテナを張り巡らせることが大切なのですね。他にはどんな取り組みをされてきたんですか? 

北出さん:害獣被害で困っていたみやこ町と豊前市、九州女子大学の栄養学部の学生たちと協働でジビエを使ったレトルトカレーを開発・販売したり、自然豊かな行橋市のPRとスポーツ普及を目的に、マラソンチームを持っている企業さんにお願いして「ランニング教室」を開催したりしました。ランニング教室では「ゆくはしシーサイドハーフマラソン」を目標に設定し、看護やアップ指導で学生たちにサポートに入ってもらいました。やっぱり、ここでも「学びの場」としての要素は大切にしましたね。 

学生:すごい、掛け合せが斬新ですね。もともとあるものをSDGsとしてプロモーションしているのが一般的だと思うのですが、北出さんはSDGsへのアプローチを一から生み出していて本当にすごいなと思いました。 

北出さん:僕が企画を考える時、「これがSDGsの何番にあたるか」とかではなく、健康福祉、教育、環境、まちづくり、パートナーシップの5つをテーマにしています。企画ではやっぱり学生さんたちを巻き込んで学びの場にしたいし、地域と社会のつながりも増やしたいなと思っていて、活動の着地点をしっかり設定するようにしています。もうこうなったらサッカークラブの域を超えていますが(笑) ギラヴァンツ北九州ってサッカーのイメージが強いですが、自分はこういった活動に興味があるので本当に楽しいですね。 

学生:『ギラヴァンツ=サッカー』というイメージが変わりました!それでは最後に、北出さんのこれからのビジョンを教えてください。 

北出さん:ギラヴァンツ農場を立ち上げて、ホームレス支援や障がい者支援などに役立てられないかな?など、まだまだやりたいことはたくさんあります。いずれにしても、スポンサーと行政、行政と学生、学生と企業など、ギラヴァンツ北九州が地域全体をつなぐ「ハブ」になれるよう、これからもたくさんの人たちを巻き込んで盛り上げていきたいですね。 

学生:貴重なお話をありがとうございました。これからの活動もすごく楽しみにしています! 

 あらゆる地域課題にアプローチしたギラヴァンツ北九州の取り組みは、明るい未来につながる希望に満ちたものばかりでした。今回のインタビューを通じて、社会貢献の可能性は無限大であることや、社会の一員として地域とつながる喜びをうかがい知ることができました。北出さん、貴重な機会をありがとうございました。 

取材協力:
社会連携推進部 北出さん
株式会社ギラヴァンツ北九州
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