
ユニ・チャームの挑戦 インド市場
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ユニ・チャーム、インドで紙おむつ増産:日本経済新聞
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インド市場で加速する紙おむつ需要
「インドに新工場をつくりました」。ニュースを聞くと、ただ工場が増えただけの話に思えます。でも、ユニ・チャームがインドで3カ所目の工場を稼働させるというのは、もっと大きな話があるんじゃないか――そんな気がするんです。紙おむつ市場でインド最大シェアを誇るユニ・チャームが、新たに生産能力を3割ほど引き上げるというのだから、その背景には必ず「インドという市場の熱量」があるはずです。
ふと想像してみます。14億を超える人口、経済成長とともに増えてゆく可処分所得。「パンツ型」の便利さを武器に、ユニ・チャームはマーケットを自分たちなりの色で塗りつぶしてきたわけです。かつてアジアの市場で猛威を振るっていた欧米勢を追走する、そんなドラマを思い描くと、今回の新工場稼働のニュースが一段と面白く感じられます。
「パンツ型おむつ」って何がすごいの?
ニュースには「パンツ型おむつ」という言葉が頻繁に登場します。テープ型とどう違うの? と疑問に思う方もいるかもしれません。実は、この「パンツ型おむつ」とは、その名の通り、パンツのように足を通して履くタイプのおむつです。テープ留め不要で、赤ちゃんの動きに合わせて履かせやすいことが大きな特徴。おむつ交換がスピーディーにできるうえ、体にフィットしやすく、漏れにくいといった利点があるんですね。
インドの紙おむつ市場に参入した当初、すでに米P&Gの「パンパース」などのテープ型が主流でした。でも、ユニ・チャームはそこにあえて価格競争ではなく「履かせやすさ」と「品質」で勝負をしかけ、パンツ型のおむつ「マミーポコ」で市場を切り開いてきたわけです。いちど試してもらえれば、その快適さに驚いてもらえる――そんな確信があったからこそ、少し高価でも手にとってもらえるよう説得を続けたのでしょう。
衛生教育がもたらす市場浸透
もうひとつ、このニュースを読んでいて印象的だったのは「衛生教育」です。インドには零細な店舗が多く、販売網を広げるのが容易ではない。それでもユニ・チャームは、一軒ずつ足を運んでおむつの吸収力や使い方を丁寧に説明する営業を重ねてきました。さらに「排せつ物から赤ちゃんの肌を清潔に保つことが、どれほど大事か」ということを訴え続ける。たしかに、布おむつに慣れている人々には、紙おむつのメリットがすぐには伝わりにくいかもしれない。そこを根気強く説得することで、購買意欲だけでなく「おむつの意味」そのものを浸透させていったのです。

急成長するインドと新工場
今回稼働を始める新工場は、火災で焼失した建屋を建て直す形での再スタートだそうです。投資額は約200億円規模とも報じられています。生産能力が高まれば国内の需要増にも安定的に応えられるし、より多くの雇用も生まれる。そこにはインドという国が持つ「成長ポテンシャル」がはっきりと見え隠れしています。
インドの紙おむつ普及率は、経済成長とともに確実に伸び続けているそうです。目安としては、世帯所得が年間1万5000ドル以上になる層が消費者になるのだとか。そうした層は今後ますます増える見込みで、まさに市場拡大の可能性が広がっているのです。
時代が見せる布と紙の境界線
インドの人々が伝統的に使ってきた布おむつ。環境やコストの面でメリットもあるでしょう。でも一方で、紙おむつには衛生的でかぶれにくい、何より育児がぐっとラクになるという利点がある。どちらが一概に「正解」というわけでもありません。ただ、成長する人口と所得水準が見込まれるインドで、紙おむつがひとつの「あたりまえ」になっていくことは確か。これを後押しするのが新工場の稼働であり、ユニ・チャームが積み上げてきた営業力と衛生教育なのだと思います。
これからの挑戦を考える
世界に名だたる企業と肩を並べる――そのためには、確固たる“強み”と“現地のリアルな声に寄り添う姿勢”が必要になります。ユニ・チャームは、パンツ型おむつを武器に、インドという巨大市場で今後も地歩を固めていくでしょう。その一方、環境への配慮や価格設定など、新たな課題も浮上してくるかもしれません。
それでも「育児をもっと快適にする」という大きなテーマは、国境を超えて必要とされるはず。インドの街角で紙おむつを手にしたお母さんやお父さんたちの顔が、少し明るくなる瞬間を想像すると、なんだかこちらも心が温かくなる。インドの新工場稼働というニュースは、そんな小さな幸せの数がまた増えていく合図でもあります。未来へ向けて、紙おむつは決して派手ではないけれど、確実に世界を変えていく存在なのかもしれません。
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