グミがつくる新しいコミュニケーションのかたち
日経新聞
ウーバーの「買い物代行」が変える暮らしのかたち
ウーバーイーツの買い物代行とは？
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最近、ウーバーイーツが「買い物代行」という新サービスを全国に広げるという話が報じられました。これはいわゆるデリバリーサービスを、食事だけでなく、スーパーやコンビニの商品まで広げてしまおうという取り組みです。しかも、ただ運ぶだけではなく、配達員が直接店舗の棚から商品を選び（これをピッキングと呼びます）、袋詰めまで行うというのです。買い物したくても忙しい人、外出がむずかしい人にはとてもありがたい話ですよね。まるで「自分専属の買い物代行さん」をアプリひとつで呼べるようなものです。
「ピック・パック・ペイ（PPP）」の仕組み
ウーバーイーツでは、「ピック・パック・ペイ（PPP）」という独自のサービス名を掲げています。
名前の通り、
ピック（Pick）
店内の商品を選び取る
パック（Pack）
選んだ商品を袋詰めする
ペイ（Pay）
代金を精算する
という流れを、配達員がまとめて担当します。従来は、小売店のスタッフがやっていたピッキングと袋詰めを外部の配達員が担うことで、小型スーパーやコンビニなど人手不足で悩む事業者も導入しやすくなるのがポイントです。
買い物代行の背景にある「人手不足」問題
スーパーやコンビニといえば、いつもレジや品出しに追われているイメージがあります。日本全体で進む人手不足の波は、当然こういったお店にも重くのしかかっているわけです。さらに、ウーバーイーツが始めたような食料品の宅配ニーズは高まる一方。店舗側も配達サービスをうまく活用して売り上げを伸ばしたいけれど、ピッキングや袋詰めを店の従業員がやるのは大変……。そこで「配達員が商品選びから袋詰めまでやってくれる」のは、店舗にとって大きなメリットです。24時間営業のコンビニなどは特に、人材確保が切実なので、この取り組みが救世主になるかもしれません。
日用品・食品の宅配市場がさらに拡大
デリバリーと聞くとまず思い浮かぶのが「料理の配達」ですが、コロナ禍を経て「まとめ買い」「時短」の傾向がぐんと強くなりました。ちょっとした日用品や調味料、お弁当のおかずなど、外に出るより頼んだほうが早くてラク――という選択をする人も増えています。ウーバーイーツはこれを2019年頃から見越していて、食料品や日用品の取り扱いを少しずつ広げてきました。こうした動きが、さらに一歩進んだのが今回の買い物代行サービス拡充です。注文から最短30分ほどで届けてくれるのだから、急ぎの用事があるときにも助かります。
新時代を映す「買い物の仕方」の変化
このサービスから見えてくるのは、「そもそも買い物を自分で行かなくてもいい」という新しい常識が広まりつつある、という時代背景です。インターネット通販が普及したことで、オンラインでの注文自体は当たり前になりました。しかし、生鮮食品や日用品のような“すぐに欲しいもの”に関しては、「行きつけの店で、今すぐ買う」しか選択肢がなかった人も多いはず。そこに「誰かが代わりに買ってきてくれる」仕組みが全国的に普及すれば、買い物の選択肢はぐんと増えます。テクノロジーが人手不足を補い、さらに新しいビジネスチャンスを生んでいるわけです。
専門用語をかみくだいて解説
ピッキング（Picking）
店内の商品棚から注文された品物を探して取り出す作業のこと。ネットスーパーなどでは店員が行うことが多く、今後は配達員の役割となることで店舗側の負担が軽減される。
袋詰め（Packing）
その名の通り、商品を袋に入れる作業。レジ袋有料化や環境対応などもあり、エコバッグへの詰め方の配慮などが進む可能性がある。
イノベーションが生活の自由度を高める
配達員が店頭に入って商品を選び、袋詰めまでして家の玄関先まで届ける――このサービスは、とても画期的な試みです。人手不足に悩む小売店にはありがたい一方で、「人が減ってしまったら行きつけの店はどうなるんだろう？」という気持ちも湧きます。しかし、モノが消えてしまうわけではなく、「買い方」「届け方」が変わっていくのだと考えれば、新たなビジネスの広がりが見えてきます。お店に行くのが楽しいという文化は、なくならないと思います。むしろ、行く必要があるときと行かなくてもいいときの差がよりはっきりして、買い物が一層楽しめるようになるかもしれません。
このように、ウーバーイーツの買い物代行は、今の時代の働き方や消費行動の一端を映し出す大きな変化といえます。「自分で行くもよし、頼むもよし」という選択肢が広がるのは、生活の自由度を高めることにつながるはず。われわれの日常がこれからどんなかたちに変わっていくのか、見守っていきたいですね。
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