
回帰分析で読み解く“先の見えない”未来
データが語る経済のホントの姿
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今回紹介する日経ヴェリタスでは、「先の読めない未来をどう予測するか」というテーマで、経済の世界でよく使われる「回帰分析」という手法が紹介されています。ここでは、GDP(国内総生産)や鉱工業生産など、いくつかの経済指標を取り上げ、これらの変化率同士がどんなふうに影響し合っているかを、エクセルの回帰分析機能を用いて探っているのです。
たとえば、「鉱工業生産の伸び率」を横軸に取り、「GDP成長率」を縦軸にして散布図を描けば、一方がプラスのとき他方もプラスになる“順相関”が見えてくる。その相関をより客観的に示すのが回帰分析であり、「回帰式」と呼ばれる数式が導き出されます。この記事では、どれくらい“当てはまりが良い”相関になっているかを示す「相関係数」や「決定係数」、さらに「t値」などが説明されています。
要するに、「過去のデータをもとに、未来を推測する」ための一つの方法として、この回帰分析が紹介されているわけですね。
回帰分析ってどんなもの?──専門用語のやさしい解説
相関係数
相関係数(-1~+1) は、2つのデータのあいだに「どれくらい同じ方向に動くか」もしくは「逆に動くか」を数値化したもの。+1に近いほど“両方とも同じ方向に動く”、-1に近いほど“正反対の方向に動く”ことを示します。
決定係数
決定係数(0~1) は、回帰式が「どのくらい現実のデータをうまく説明できるか」を表す指標。1に近いほどピッタリ、0に近いほど説明力が弱い。
t値
t値 は、“その回帰式や係数の信頼度を測るもの”で、2を超えると「この数字は偶然でなく意味がある」と考えられることが多い、とされています。
たとえば、「鉱工業生産の伸び率が1%上がると、GDP成長率もどれだけ上がる」といった具合に、回帰分析は“平均的な関係”を見せてくれます。しかしもちろん、現実にはこれがいつでもすんなり当てはまるわけではありません。けれど、予測のための「手がかり」としては非常に有効だというわけです。
VUCA(ブーカ)
•Volatility(変動性)
•Uncertainty(不確実性)
•Complexity(複雑性)
•Ambiguity(曖昧性)
の4つの頭文字を組み合わせた言葉です。本来は軍事用語として使われ始めたもので、現代のように先行きが読みにくく、大きな変化が起こりやすい社会環境を指すときに使われます。「先の見えない時代」「複雑に絡み合った予測困難な状況」をまとめて表す便利なキーワードとして、経済やビジネスの世界でもよく使われています。

この記事から見えてくる時代背景
データ分析というと、どうしても数字ばかり追いかける冷たいイメージがあるかもしれません。けれど、VUCA(ブーカ)と言われるように、未来の見通しが立てにくい時代に突入している今だからこそ、こうした**「過去を丁寧に振り返る」**視点が重要になっています。
特に、2020年のコロナ禍では、サービス産業が大きく落ち込んだ一方で、製造業とは異なる動きを見せました。そこからは、「GDP全体を左右する構造は一枚岩ではない」ということがはっきりとわかったのです。そして経済がサービス中心になる傾向は、日本を含め多くの先進国に共通する大きな流れ。従来の製造業中心の分析だけでは捉えきれない世界観が広がっています。
“平均”の先にある可能性
回帰分析は、ざっくり言うと「過去の平均的なパターンを数式にしたもの」です。ある程度の規則性を示してくれる反面、コロナ禍のように予期せぬ出来事が起こると、“平均”から大きく外れる場合もあります。そこには「人間が想像もしなかった出来事」によって、一瞬にして世界が様変わりする恐さもあれば、“平均値に戻ろうとする力”が働く強さも感じられます。
実際の経済予測では、この「回帰分析」という土台に、為替や原油価格、政府や中央銀行の政策などの要素も加味します。とくに、為替相場などは“外生変数”と呼ばれ、「どう仮定するか」によって先のシナリオは大きく違ってくるわけです。こうして見ると、私たちが普段ニュースで耳にする“来年の成長率予測”には、けっこう人間の主観や判断が入り込んでいることがわかります。
それでも、過去の数字を見つめ、いまを知ることでしか、“これから”の風向きは読めません。大事なのは、「平均値はあくまで平均にすぎない」ということを踏まえたうえで、そこからはみ出す動きが生まれる余地を、私たち一人ひとりが想像しておくことかもしれません。そこには数字だけでは語りきれない、新しい時代への種が潜んでいるように思うのです。
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