
ゼンリン地図「ただ見る」から「使い倒す」時代へ
サブスクで広がる「地図の可能性」
本記事では、著作権の関係上、具体的な内容の詳細な引用は避けつつ、リンク先の記事を参考にして執筆しています。記事の全文をご覧になりたい方は、以下のリンクから原文をご確認ください。
ゼンリン、売り切りからサブスク型へ 髙山社長「地図出版会社を脱却」:日経ビジネス電子版
※リンク先は日経ビジネス電子版の記事です。閲覧にはログインが必要な場合があります。
「地図」というと、やっぱり真っ先に頭に浮かぶのは紙の地図帳やカーナビの画面でしょう。それが今、静かに、そして大きく変化しようとしています。日経新聞の記事によると、地図の老舗・ゼンリンはこれまでの“売り切り型”ではなく、毎月や毎年の「サブスクリプション(定額課金)」で地図を提供するビジネスにシフト。地図帳の販売が伸び悩む中、安定収益を求めて新しいモデルへ踏み出しているわけです。
“時空間データベース”が生み出す価値
このサブスクの基盤となるのが「時空間データベース」。地道に街を歩いて集めた詳細情報から、航空写真、さらには自治体や工事現場の図面まで、膨大な情報がひとつに集約されています。これを組み合わせることで、たとえば「自動運転」に必要な高精度の地図を作ったり、物流企業が効率的なルートを引きやすくしたりと、あらゆるニーズに応えられるわけです。
ここで登場する専門用語が「API」。これは企業や自治体がゼンリンのデータをアプリやシステムに取り込みやすくするための“入り口”のような仕組みです。これを使うことで、最新の地図データをいつでも呼び出し、サービスに組み込むことができる。その結果、開発者側のアイデアしだいで、新しいサービスがどんどん生まれる余地が広がっていきます。
Googleマップは無料、じゃあゼンリンはどう勝負する?
いまや地図といえば、スマホで開くGoogleマップが当たり前。しかも無料で使えるという強みがあります。そんな巨大ライバルがいる中で、ゼンリンはどのように活路を見いだそうとしているのでしょう。
鍵となるのは「細部へのこだわり」と「現地調査に基づく信頼性」。Googleマップは世界規模で見ると圧倒的な利用者数を誇りますが、日本の道路状況や建物情報を“きめ細かく”捉える点では、ゼンリンの時空間データベースが大きな武器になります。たとえば「歩道の幅は?」「この道は大型車が通れる?」といった超具体的な情報を提供しないといけない場面は、物流や自動運転などBtoBの領域では日常茶飯事。そこを徹底的にサポートするのが、ゼンリンの“戦い方”でもあるのです。

佐世保市から見る時代の変化
記事にある長崎県佐世保市の「空き家問題」のケースは、まさにデータの活用の好例。人口減少が進めば自然と空き家が増える。でも、どれが空き家かを一軒一軒巡って確かめるのは大変ですよね。そこで、ゼンリンが持つ建物情報と、佐世保市が管理する水道利用状況などを組み合わせ、「空き家の可能性が高い建物」を推定できるツールを開発したんです。これにより、一万件以上の空き家を早期に把握し、景観や防災の問題を解決する道が見えてきたというわけ。地図情報が、単に「どこに何があるか」を示すだけでなく、社会課題の解決にまで踏み込んでいくところが興味深いですよね。
地図が「道具」になるとき
ゼンリンは自動車メーカーとの連携による自動運転マップの開発や、自治体との提案型ビジネスなど、これまでの「地図出版会社」の枠にとどまらない動きを加速させています。紙の地図が売れなくなった時代でも、「じゃあ、地図のデータをどう使い倒すか?」と問いを立て、そこから新しいビジネスモデルを生み出そうという発想にシフトしているのです。Googleが無料地図で世界を制しているからこそ、ゼンリンは“狭く深い”領域で唯一無二の価値を発揮できると考えているのかもしれません。
「地図」はただの紙からデジタルデータへと変わり、その先は大きな社会インフラへと進化しようとしています。空き家問題のように、人が減り、建物が増え、街のカタチが徐々に変容していく日本では、地図を通じて最適な解決策を見出すニーズはますます増えるはずです。
ゼンリンが描く「サブスクリプション型の地図サービス」は、単に儲けを得る仕組みというより、“地図を使って新しい価値を作り出す”ための道筋でもあります。Googleが無料で地図を提供する中でも、細やかな日本の実情を見据え、“唯一無二の地図”を武器に活路を切り拓こうとしている。その先には、ぼくらの日常や企業活動、さらには自治体の政策までも変えてしまう力がある。地図が「ただ見るもの」から「使い倒すもの」へ変わる瞬間は、もうすぐそこまで来ているのかもしれません。
Vamos学生メンバー募集
「もっと企業を深く知りたい」「ガクチカを充実させたい」と思ったら、Vamos学生メンバーとして取材活動がおすすめ。実際に先輩たちが楽しみながらスキルを伸ばしている様子を、リンクの体験談でチェックしてみてください。参加希望の方は、Vamos公式LINEへ「説明会参加希望」とメッセージを送るだけで簡単にスタートできます!

Vamos公式LINEはこちら