税理士って、ちょっと堅そう。そんなイメージ、ありませんか?
スーツ姿で黙々と数字に向き合う──そんな先入観を持っていた学生2人が訪れたのは、北九州にある税理士法人SKC。実際に話を聞いてみると、税理士と聞いて多くの人がイメージするものとはまったく違う仕事のスタイルや、働き方への考え方がありました。
この対談では、2人の学生が、「税理士のリアル」にじっくり迫っていきます。

税理士って、お堅い職業だと思ってた
税理士って、ちょっとお堅い職業というか、スーツを着て、デスクで静かに仕事をしているイメージが強いです。
たしかに。なんとなく、自分には少し遠い世界の仕事なのかなって思ってました。
それ、よく言われますよ(笑)。「税理士っておじいちゃんの仕事ですよね?」って。業界全体を見ると、確かに70代、80代、90代の現役税理士も珍しくないです。
90代まで!? それはちょっと驚きました…。
そういう方もいらっしゃいますね。体力や判断力が続く限り、続ける先生も多いんです。でも、うちはもう少し違っていて。若い人が活躍できる組織をつくっているつもりです。
えっ、そうなんですね…!てっきりベテランの方ばかりなのかと思ってました。
税理士法人SKCでは、20代の新卒もどんどん入社していますし、最近は研修制度も整っているので、未経験の方でも安心して成長できる環境があります。
組織としても、グループ会社を含めるとスタッフは60人ほどいて、若手も多く活躍していますよ。
60名って、すごい規模ですね。しかも若い世代も多いって聞くと、グッと身近に感じます。
北九州が本拠地ではあるんですが、関東や北陸、沖縄までお客さまがいらっしゃって。全体で300社以上のサポートをしています。
そんなに!? 全国レベルでお付き合いがあるってすごいですね。
お客さまって、どんな業種の方が多いんですか?
本当にさまざまですよ。美容室や小売業、建設現場の親方さんなど、個人で事業をされている方も多いです。中には、「経理はまったくわかりません」っていう方もいるので、通帳や領収書を丸ごと預かって、こちらで帳簿をつくることもあります。
え、そこまでやるんですか!? ただ税金の計算をするだけの仕事じゃないんですね。
そうなんですよ。会計や申告はもちろんやりますけど、本質はその先です。資金繰りの相談や投資判断、あとは相続の話など。数字以上に、人と向き合う力が求められる仕事なんです。
数字ばかりの仕事かと思っていましたけど、人との関わりも大切なんですね。
そうなんですよ。税理士って、経営者にとっての一番身近な相談相手でもあるんです。だからこそ、ただ数字を見ているだけではダメで、「話す力」がすごく大事なんですよ。
コミュニケーション能力が必要って、イメージと逆でした…。ちなみに、社内の雰囲気ってどんな感じなんですか?
明るいですよ。有線が流れてるし、フロアも仕切りがないので、いろんな部署がワイワイしてます(笑)。堅くなると、若い人はやっぱり入りづらいですから。
最初のイメージと全然違って、ちょっとびっくりしてます。税理士法人って、もっと静かで厳かな雰囲気なのかと…。
そのギャップも楽しんでもらえると嬉しいですね(笑)。ちゃんと仕事は真面目にするけど、働き方まで堅くある必要はないかなって思っています。
元・住宅営業から税理士へ。異色キャリアが教えてくれること
最初から税理士を目指されていたんですか?
まったく目指してなかったですね(笑)。大学卒業後に最初に就職したのは、ハウスメーカーの営業職でした。家を売る仕事です。
え、営業職ですか!? 全然イメージが違います…。
そうですよね。僕自身も、当時は自分が税理士になるなんて1ミリも思っていませんでした。とにかく営業が忙しすぎて、朝から晩まで数字に追われる毎日。夜中に帰るのが普通で、心も身体も擦り減っていく感覚がありました。
それは…きついですね。仕事って、ちゃんと生活があってこそ続けられるものだと思いますし。
まさにそうだと思います。当時は生活が仕事に飲み込まれているような状態でした。「さすがにこれは続かないな」と思って、もっと落ち着いて働ける環境を探すようになったんです。で、「事務っぽいし早く帰れそうだな」と思って見つけたのが、税理士事務所だったんですよ。
なるほど。実際の仕事内容を理解して応募したというよりは、生活を立て直すための選択だったんですね。
そうですね。当時は税理士が何をしているかも、正直よくわかっていませんでした。とりあえず“座ってできる仕事”くらいの認識でしたね。
でも、応募には資格が必要だったんじゃないですか? 簿記とか。
そうなんです。求人票には「簿記3級必須」と書かれていました。でも僕は持っていなかった。それでも面接に行って、「これから勉強します!」って伝えたんです。
すごい覚悟というか、思い切りがありますね…。私だったらたぶん、資格がない時点で諦めてしまう気がします。
迷いはありましたよ。でも、当時はあの環境から抜け出したいという気持ちが強くて。何かを変えたかったんだと思います。
そこから実際に採用されて、どんなことから始めたんですか?
最初は資料整理や帳簿の入力など、完全にサポート側の仕事でした。でも、働く中で「このまま人の補助で終わっていいのか?」という気持ちが強くなっていったんです。
それって、自分の中に仕事のあり方に対する問いが生まれた瞬間ですよね。
そうかもしれないですね。目の前の業務をただこなすんじゃなくて、自分の手で責任ある仕事をやってみたい。そう思うようになって、税理士を本格的に目指し始めました。
でも、働きながら資格を取るのって、かなり大変ですよね?
大変でしたね。僕は大学院に通って税理士資格を取りました。結局4年かかりましたけど、仕事との両立は本当に厳しかった。でも、「今を変えたい」という思いがエネルギーになってましたね。
「今を変えたい」って、すごく響きます。就活中の私たちにも重なる感覚があって。
道が決まってなくても、働きながら「これは自分のやりたいことかも」って気づくこともあるんだなって思いました。
最初から明確な目標を持っていなくても、自分とちゃんと向き合い続ければ、ちゃんと方向は見えてきますよ。
ちなみに、前職が営業とのことでしたが、その経験は今のお仕事にも活きていますか?
すごく活きています。税理士の仕事って、ただ計算して終わりじゃなくて、「信頼されること」が大前提。営業で培った人との距離の縮め方や、空気を読む力、話を聞く姿勢は、今の自分にとって欠かせないものです。
数字だけを見るんじゃなくて、その裏にある“人”や“状況”を読み取る力も必要なんですね。
だから、SKCでも「話せる人」を重視しています。知識はあとからでも身につけられますけど、人の話をちゃんと聞いて、考えられる人じゃないと、お客さまに寄り添えないんですよね。
なんだか、職業の話というより、“仕事とは何か”を教えてもらってる感覚になります。
だとしたら嬉しいですね(笑)。仕事って、スキル以上に“人との関係性”でできてると思うので。

AIと共に進化する、これからの税理士像
これまでのお話で、“人と関わることがすごく大事な仕事”だというのがよく伝わってきたんですが、税理士ってAIに代替されやすい職業だとも言われてますよね。実際のところ、どうなんでしょうか?
それは確かに一理あります。税理士の仕事には、定型的でルールが決まっている作業がたくさんあるんです。
たとえば領収書の整理や帳簿の入力、申告書の作成などは、AIのほうが早くて正確なケースも多い。
なるほど…。そうした作業は、今後どんどんAIに置き換わっていくということですか?
その可能性は高いですね。実際、SKCでも通帳やレシートをスキャンすれば、AIが自動で仕訳を作成してくれるシステムを導入しています。
以前は手作業で数時間かかっていた業務が、いまではほんの数分で終わるようになりました。
すごいですね。ちなみに、そうしたAIの仕組みは他の事務所でも取り入れられているんですか?
まだ少ないと思います。税理士業界は保守的なところが多く、いまでも紙と電卓で作業している事務所も珍しくありません。
でも、だからこそ早い段階からデジタルに向き合ってきた僕たちのような事務所が、これからの時代に強くなるはずだと感じています。
AIを取り入れることで、仕事のあり方そのものも変わりそうですね。
そうですね。「作業をするだけの税理士」なら、正直これからは厳しいかもしれません。
でも、AIが入ることで“人にしかできない仕事”の価値が、むしろ高まっていくと僕は思っています。
“人にしかできない仕事”というと、どんなことですか?
たとえば、数字の裏にある「人の気持ち」や「経営者の迷い」に気づくこと。
数字上は黒字でも、社長の表情がどこか曇っている。
「最近、設備投資が増えていて会社は順調そうに見えるけど、もしかしたら社員との関係に悩んでいるのかもしれない。」
そうした“感情の揺らぎ”に気づけるかどうか。それはAIにはまだ難しい領域です。
確かに、数字だけでは見えてこない部分ってたくさんありますね。
税理士の言葉ひとつで、お客さまの背中を押すこともあれば、不安にさせてしまうこともある。
だからこそ、ただ計算ができるだけでなく、相手に合わせた“伝え方”や“タイミング”がとても大事なんです。
まさに、信頼を積み重ねていく仕事なんですね。
そう思います。お金の相談には、感情が深く関わっています。
「借金が怖くて踏み出せない」「家族に反対されて決断できない」――そんな悩みも多い。
だからこそ、税理士が“数字だけを見ない存在”であることが大切なんです。
なんだか、税理士って“経営の相談相手”というより、“人生の相談相手”に近いですね。
よく言われます(笑)。
相続や事業承継の話になると、家族構成やこれからの暮らし方まで踏み込んで相談を受けることもあります。
そうなると、もはや“税金の専門家”というより、“人と人の間をつなぐ調整役”に近いですね。
AIの力を借りることで、人にしかできない部分にもっと時間を使えるようになる――そう考えると、仕事が奪われるどころか、“仕事の本質”に近づいていく感じがします。
まさにその通りです。AIの力を借りることで、僕たちは“人にしかできない部分の価値”をさらに磨いていける。
それが、これからの税理士のあり方だと思います。
そう聞くと、税理士ってすごく未来的な仕事にも感じます。もっとアナログな世界かと思っていました。
そう思われがちですよね。でも実際には、AIも使うし、人とも話すし、チームでも動く。
知識を提供するだけではなく、“人との関係を築く仕事”なんです。
たしかに、信頼だけはAIでは代わりに築けませんもんね。
その通りです。技術に振り回されるのではなく、味方につけながら自分たちの価値をどう高めていくか。
これからの税理士には、そうした“柔らかさ”が求められると思っています。

“話せること”が武器になる。採用と研修のリアル
ここまでお話を聞いていて、税理士って「話せること」がすごく重要な仕事なんだなと感じました。SKCでは、採用のときにもそういう部分を重視されているんですか?
重視してますね。というか、正直なところ、スキルや経験よりも、まず“人ときちんと会話ができるか”のほうを見ています。
会話って、やっぱり大事なんですか?
めちゃくちゃ大事です。知識よりも、それをどう伝えるかで信頼の度合いは変わりますからね。
たしかに…。ちゃんと答えられるかよりも、質問の意味をしっかり理解して、自然に話せるかどうかっていう方が難しい気がします。
それ、面接のときにもすごく感じますね。たとえば「最近あったおもしろいこと教えてください」って聞くんですけど、みんなピタッと止まっちゃう。
でも、そこで「何を話せば正解か」を探すんじゃなくて、普段感じたことを自分の言葉で伝えてくれたら、それだけでいいんです。
“うまく話す”じゃなくて、“自分の言葉で伝える”ってことですね。
その通りです。正直、面接って得意・不得意が出やすい場なので、型通りの受け答えをしているだけだと、その人の本質って見えてこない。だから、あえて変化球みたいな質問もよく投げます。
たとえば、どんな質問をされるんですか?
「最近笑ったことは?」とか、「一番好きな言葉は?」とか。人によって反応が全然違っておもしろいですよ。大事なのは、そこから会話が広がるかどうか。反射的に答えるんじゃなくて、自分なりに考えたり、ちょっと笑いながら返してくれたり。そういうやり取りができると、「一緒に働く姿」が想像できるんです。
なんだか、面接というより、対話に近いですね。
まさにそれです。こちらも「評価してやろう」なんて上から見るつもりはなくて、「この人と仕事したら楽しそうだな」って感じられるかどうかが大事だと思ってます。
採用のあとも、そういった対話の姿勢を大事にされているんですか?
もちろんです。特に新卒の子たちは、最初は不安も多いと思うので、入社後の研修はかなり丁寧にやっています。
具体的にはどんな研修があるんですか?
入社後の1年間は、ほぼ毎日1時間の研修があります。座学だけじゃなくて、実際の仕事を通じたOJTも取り入れていますし、2年目の先輩が1年目に教える“たすきリレー”みたいな制度もあります。
2年目が1年目を教えるんですか?
そうなんです。そのほうが近い距離で相談できるし、教える側の成長にもなる。先輩たちは、後輩に教えるためにもう一度自分の理解を深めるんですよ。
もちろん、フォローにはベテランのスタッフも入っていて、安心してもらえる体制は整えています。
実際にそういう環境で育った方々が、今、現場で活躍していると想像すると、すごく安心感があります。
「育てる覚悟」がある職場って、今の時代、意外と少ないんじゃないかなと思ってて。だからこそ、ちゃんと時間をかけて育てていく文化は大事にしたいと思っています。
仕事を覚えること以上に、安心して聞ける雰囲気ってすごく大切な気がします。
うちは本当に「雑談から始まる会社」なので(笑)。「ちょっと聞いてもいいですか?」が自然に言える空気があることが、いちばん大事なんです。
話せることが強みになるって、すごく納得できました。難しいスキルや資格よりも、自分らしく会話できるかどうか。そこを見てもらえるのは嬉しいです。
自分の言葉で話せることが、信頼を生む一歩目なんです。僕たちの仕事は、そこからすべてが始まるので。
学生の心をつかむ、SKCの“人”と“空気感”
ここまでお話を聞いてきて、最初に思っていた“税理士のイメージ”がいい意味でどんどん裏切られました。
堅い雰囲気のなかで黙々と働いているのかと思ってたんですが、全然違うんですね。
そう言ってもらえるのはうれしいですね。実際、業界全体で見ればそういう事務所も多いと思います。でもSKCは、もっと自由で、前向きに働ける環境をつくろうと工夫を重ねてきました。
たとえば、どんなところが違うと思いますか?
「こうあるべき」という枠を、必要以上に決めすぎないようにしてるんです。たとえば服装や髪型も、常識の範囲内なら自由。見た目の部分を揃えるよりも、その人がどう考え、どう動けるかに目を向けています。
そういう考え方が、働く人の雰囲気にも自然と出てきそうですね。“自分らしさ”をそのまま持ち込める職場って、安心感があると思います。
ルールで固めるんじゃなくて、“空気で成り立つ文化”を大事にしたいなと思ってます。
仕事以外でも交流する機会ってあるんですか?
ありますよ。毎年、期末には全社員が集まって経営計画発表会を開くんですが、そのあとは懇親会もセットでやっていて。2年目の社員が余興を担当したり、みんなで企画を持ち寄って盛り上げる場になっています。
そういうのって、距離感がぐっと縮まりますよね。
そうですね。あとは、そこに来年入社予定の学生たちも招待するんです。早い段階で職場の雰囲気に触れてもらって、入社後のイメージがより具体的になるように。
えっ、内定者の時点でイベントに参加できるんですか? それ、かなり貴重な機会ですね。
企業って、働き始めてみないと分からない部分が多いじゃないですか。だからこそ、入社前から“見せる姿勢”を持っておきたいんです。ミスマッチが起きないように。
確かに…。どんな人たちと働くのか、どういう空気感のなかに身を置くのかって、仕事内容以上にすごく大事ですよね。
うちはホームページや資料よりも、“直接会ったときに伝わる雰囲気”のほうが大事だと思ってます。だから、こうして学生と直接話せる機会って、僕たちにとってもすごくありがたいんですよ。
正直、今日お話を聞く前は「税理士って遠い存在かも」って感じてたんです。でも、今は「こういう人たちと働いてみたいな」って思えるようになりました。
わたしもです。難しそうとか、堅そうっていう先入観があったんですけど、考え方や空気の柔らかさにすごく惹かれました。
そう思ってもらえたなら、今日の対話は大成功ですね(笑)。やっぱり仕事って、仕事内容だけじゃなくて、「誰と働くか」が一番大事な気がしています。
最後に改めて感じたのは、SKCの仕事って、全部“人との関係性”の上に成り立っているんだなということです。
そうですね。資格や知識はもちろん必要だけど、それ以上に「人とどう向き合うか」を磨き続けられる人が、ここで輝ける人だと思っています。
「税理士って、ちょっと堅そう」。もし、そんなイメージを持っていたとしたら、少し印象が変わったのではないでしょうか。
SKCで働く人たちは、“人とちゃんと話すこと”を何より大切にしていました。
資格やスキルだけじゃない。自分の言葉で伝え、相手の想いに耳を傾ける――そんな“仕事の本質”が、ここにはありました。
「働くってなんだろう。」「自分はどんな風に誰かの役に立ちたいんだろう。」そんな問いを、考えるきっかけになれば嬉しいです。