リクルートWebマガジン『Vamos(バモス)』では今回、社会医療法人共愛会にインタビューさせていただきました。共愛会グループは、北九州市戸畑区内に2病院、その他介護関連施設と健康関連施設等を有しています。その中でも戸畑共立病院では、地域医療支援病院としての役割をはじめ、管理型臨床研修施設、地域がん診療連携拠点病院、救急告示病院、災害拠点病院、へき地医療拠点病院など、多岐にわたる重要な指定を受けています。
100年を超える歴史の中で、かかりつけ医と連携し、地域社会の健康保持・増進に尽力してきました。
このような歴史ある機関で、33年にわたって様々な部署で活躍されてきた宮井さんに『時代を超えてビジネスマンに求められる仕事術』について伺ってきました。
宮井さんの経験から得た知見は、これから社会人になる就活生にとっても、非常に有益な情報となります。
今回のインタビューでは、変わりゆく時代の中でもキャリアを築く上で必要なものは何かがわかってくるはずです。
社会医療法人共愛会
宮井さん
宮井さん : そうですね、最も大きな変化と言えば、やはりデジタル化でしょう。私が入職した当時は、一部はパソコンで管理され始めていましたが、ほとんどの情報は紙ベースでした。提出書類もすべて紙。書類を整理・管理するだけでも一苦労だった記憶があります。当時は、一人ひとりの仕事の進め方によって、効率性が大きく左右されていましたね。そのため、個々の仕事のスピードにも大きな差があったと思います。私自身、入職したての頃は仕事に慣れていないこともあって、周囲に迷惑をかけていたと思います。
しかし、今ではほとんどの管理業務がデジタル化されているため、パソコンを使うことで大きな差を生むことは少なくなり、仕事の効率性が格段に向上しているように思います。
宮井さん : デジタル化の最大の利点は、情報へのアクセスが飛躍的に向上したことです。紙の文書は場所を取る上に、必要な情報を探すのに時間がかかりました。しかし、今では電子ファイルとして情報が整理されているため、キーワード検索一つで必要なデータに即座にアクセスできます。これは、日々の業務のスピードと精度を大きく改善しましたね。
宮井さん : 私たち共愛会は、これまでに多くの変化を経験してきましたが、その中でも大きな変化は、“開放的になった”ということでしょうか。みなさんイメージが湧きにくいかもしれませんが、昔は「他の病院と意見交換」など、そういった“交流”というものが全くと言っていいほどありませんでした。それが1997年の医療法改正によって『地域医療の連携を強化していく』という仕組みへと変わったことがきっかけで、どんどんオープンになっていったんです。
どういった仕組みかというと、私たちが地域医療支援病院として地域のかかりつけ医さんからの紹介を受け、適切な医療を提供することを役割とするもの。つまり地域の病院から患者さんを紹介していただくというシステムです。地域医療支援病院としては、初期の診断や治療、投薬といった一次医療を地域の診療所やクリニックなどのかかりつけ医さんに任せ、より専門的な治療を私たちが受け持つ。そして治療が一段落した後は、患者さんを再びかかりつけ医に逆紹介することで、継続的な治療体制を整える。診療所・クリニック、そして私たちの連携が非常に重要になってくるわけです。
これにより、他の病院の事務スタッフとの連携や情報交換が活発になり、他院の良い取り組みを取り入れることができるようになりましたね。その結果、非常に積極的に、そして何より『楽しく』仕事を進めることができるようになりました。
ただ、地域医療支援病院というのは認定要件があって…それはそれは多くのハードルがあって…本当に大変でしたね!(笑)当時その認定を受けるため走り回っていたんですが、乗り越えていく根性と努力が必要でしたね。その中でも認定基準の一つにある『紹介患者さんを増やしていく』という基準は、決して簡単なものではありませんでした。
しかし、地域の連携を通じて、互いに病院同士でコミュニケーションを取りながら、地域の医療レベルを上げていくことの重要性を強く感じることができたのも事実。互いに学び合い、協力しながら地域医療を支えていくことが、私たちの使命にも変わりましたね。
宮井さん : 一番力を入れたのは、コミュニケーションを強化することでした。新しい取り組みにチャレンジする上で、関係する方々と情報を共有し、意見を出し合えることが非常に重要だと考えています。また、他の医療機関との連携を深めるためには、信頼関係の構築が必須です。そのためにも、私たち自身が一丸となって取り組む姿勢を見せることが大切だと思っていました。
さらに、地域医療支援病院としての役割を果たす上で、地域のかかりつけ医さんとの連携をより密にするために、医師の先生方にも同行いただき、地域の診療所などに訪問して情報を交換させていただきました。これにより、互いに学び合い、協力し合える関係を築くことができました。紹介患者さんのケアにおいては、逆紹介の際には患者さんがスムーズに地域の医療機関へ戻れるように、日頃から連携することも心がけています。
宮井さん : 私たちの業界だけでなく、新しい環境に飛び込む就活生や新社会人にとっても当てはまることかもしれませんが、常にオープンマインドでいることは大切だと思います。新しいアイデアを受け入れ、異なるアプローチに柔軟に対応できる能力は、仕事の質を格段に向上させるだけでなく、個人の成長にもつながってくるはずです。
また、視野の広さも重要ではないでしょうか。
私の場合、地域医療の連携を深めることで見えてきたのは、自分の所属する組織やチームだけでなく、より大きな社会全体に目を向け、その中で自分がどのように貢献できるかを考えるようになりました。就活生や新社会人の皆さんにとっても、自分の仕事が社会にどのような影響を与えるかを理解し、広い視野で物事を捉えることが、やりがいや楽しさを感じる鍵になってくるはずです。
具体的には、異なる部署や他の企業との交流を通じて、新たな知識を吸収し、共通の課題解決に向けて協力していくことが、業務の充実感につながるはずです。
私が地域医療の質を高めるために他の医療機関と積極的に交流し、情報交換を行った経験は、その良い例だと思います。
新社会人でも就活生でも、最初は大変かもしれませんが、心に余裕を持ち、オープンマインドで挑戦し続けることは大切です。自分の視野が狭くなりがちな時こそ、一歩引いて全体を見る努力をしてください。そして、どんな状況でも新たなアイデアに対して柔軟でいることで、予想もしなかったチャンスや成長の機会を掴むことができるはずです。
宮井さん : 実際の業務で目標を達成するためには、「逆算思考」の強化が極めて重要です。これは、最終目標を設定し、そこから現在までの道のりを逆算して計画を立てる手法です。最初は、単純なタスクでも速やかにこなしてみることから始めます。これにより、個々の作業にどれほどの時間がかかるのか、自己のパフォーマンスを正確に把握できるようになってくるはずです。
また、一度手を付けた仕事については、それを完遂することが肝心です。
「やりっぱなし」では、仕事の質も満足度も低下します。経験したこと、学んだことを深く理解し、次への活動に生かすことが大切になってきます。そのためにはフィードバックを求めることは大切ですね。こうした姿勢は、業務の効率化だけでなく、自身のスキルアップにもつながってきます。1番もったいないのは一生懸命仕事をやったのに、その出来栄えを周りに聞かずに自分の中で完結してしまうことです。これでは成長速度が遅くなってしまいます。こういう点でオープンマインドは非常に重要になってきます。
さらに、会議などでもデータを準備することは基本中の基本ですが、それに留まらず、そのデータから何を読み取ることができるのか、自分なりの考察を加えることができるようになることは大切だと思います。データを単に提示するのではなく、そこから洞察を引き出し、提案や意思決定の根拠とすることが、業務遂行上、非常に重要になってきます。これは、オープンマインドで新しい情報を受け入れ、広い視野で物事を捉える能力があればこそ、より深い洞察を得ることが可能になってくるはずです。
このように、目標達成に向けては、自分自身の時間管理能力を高め、タスクを深く理解し、それを基にした独自の考察を持つことが重要です。そして、これらすべては、オープンマインドと広い視野を持ち続けることで、さらに有効性を増してくると思います。
宮井さん : この時期は不安や挫折感を感じることもあると思います。しかし、重要なのは、そのすべての経験が将来のあなたを形作る貴重な糧となるということです。オープンマインドでいること、そして広い視野を持つことの大切さを忘れないでください。新しい情報に対して柔軟に、異なる視点から物事を見ることができる人は、どのような状況でもチャンスを見つけ、成長することができるはずです。
挑戦することを恐れず、失敗を恐れないでください。失敗は成功への道のりにおいて避けられないステップです。それぞれの失敗から学び、それをバネにして前に進むことが大切です。自分が何を求め、何に情熱を感じるのかを理解することが、最終的には就活・転職活動において重要なことです。
また、人との繋がりを大切にすることも忘れないでください。情報交換は、就職活動や転職活動を成功させる上で非常に重要です。オープンマインドで広い視野を持つことは、他者との関係を築き、強化する上でも大きな役割を果たします。
皆さんが目標に向かって一歩一歩確実に進むことを心から願っています。