学生と企業が並走し、ひとつの発表をつくるG-1グランプリ
G-1グランプリとは、学生が企業を取材して、自分の言葉でその会社の魅力を伝えるプレゼン大会です。2026年3月20日に第1回が開催され、学生50名・企業15社が参加し、見学に訪れてくださった企業さまも含めると、会場には100名を超える方が集まってくださいました。
学生は約2カ月の期間の中で、複数回企業を訪問しながら、社員の方々と一緒に発表原稿やプレゼン資料を作り上げ、本番では、学生・審査員・参加企業に向けてプレゼンを実施します。
ただ会社説明を聞くだけではなく、企業の方と並走しながら、一つのプレゼンを共に創り上げていく。
それが、本大会ならではの大きな特徴です。
本記事でご紹介する松鶴建設株式会社の学生チームは、企業との「並走」の濃さがとくに印象的なチームでした。

街のインフラを支える、松鶴建設の仕事
松鶴建設株式会社は、公共工事を中心に手がけている総合建設業の会社です。1995年の設立以来、橋梁の補修や上下水道施設、河川といった土木工事から、スタジアム、学校、駅舎、公共住宅、その他公共施設の改修・解体まで、街のインフラを幅広く支えています。
取得されている建設業許可の業種も多岐にわたり、土木工事業や建築工事業をはじめ、鉄筋・舗装・塗装・防水・内装仕上・解体工事業など、生活の多くの場面で必要とされる業務です。さらに福岡で培われた技術力をベースに、東京や北九州にも事業を広げられています。
学生にとって建設業は、少し距離のある業界に感じられがちですが、今回プレゼンに挑んだ九州大学の学生チームも、最初は同じような感覚を抱えながら松鶴建設さまを訪問することになりました。

訪問を重ねるなかで変わっていった建設業への印象
振り返りの席で、チームの3人がまず口にしたのは、建設業への印象の変化でした。
「正直、建設業には少し堅いイメージがありました。でも実際に訪問してみると、松鶴建設の皆さんがとても気さくで優しくて、業界への印象が大きく変わりました。」
会社の方々と話す時間が増えるにつれて、「こういう方たちと働けたら楽しそう」という感覚も自然と生まれていったようです。
求人広告や採用パンフレットだけでは伝わりにくい、働く方々の雰囲気を直接知ることができる。そこに、この企画の大きな価値がありました。
小さな約束を積み重ねることが、仕事の信頼に繋がる
プレゼン準備を進めるなかで、学生たちが得たのは、技術的な学びだけではありません。
学生の一人は、松鶴建設の皆さんと関わるなかで感じたことを、次のように振り返ります。
「時間を守ることや、約束を守ることが大切なのは理解していました。ただ、実際の仕事の現場では、その“当たり前”の基準が、自分たちの想像以上に高いことを実感しました。小さなことを丁寧に積み重ねていくことが、会社や人への信頼につながっていくのだと思いました。」
また、印象に残っていたのは、社員の皆さんが学生に対して一方的に教えるのではなく、同じ目線で一緒に考えながら向き合ってくださったことだったそうです。
「最初は、社会人の方と関わることに緊張もありました。ですが、打ち合わせを重ねる中で、こちらの意見にも真摯に耳を傾けてくださり、“一緒により良いものを作っていく”という感覚を持ちながら取り組むことができました。」
さらに、やり取りの中で感じた“仕事への向き合い方”も、学生たちにとって大きな学びになっていたといいます。
「返事の速さや確認の正確さ、約束したことをきちんと進める姿勢など、一つひとつの対応がとても丁寧で印象的でした。そうした関わり方に触れる中で、信頼は特別なことではなく、日々の小さな行動の積み重ねから生まれるのだと感じました。」
学生たちにとってこの時間は、会社について知るだけでなく、社会人として仕事に向き合う姿勢そのものを学ぶ機会にもなっていたようです。

直前まで磨き、台本なしで挑んだ本番
準備期間は限られており、プレゼン内容の修正は本番直前まで続いていたそうです。
また、3人それぞれの考えや方向性をすり合わせる場面でも、何度も調整を重ねる必要がありました。
「直前まで構成を調整していたので、通しで十分に練習できた回数は多くありませんでした。それでも本番では、何も見ずに最後まで話し切ることができました。ただ発表をこなしたというより、自分たちの言葉で企業の魅力を伝えられた感覚があり、大きな達成感につながりました。」
また、松鶴建設の担当者の方からは、学生たちに向けて次のようなフィードバックも送られました。
「3人の“相手に伝えたい”という熱量は、本当に素晴らしかったです。プレゼンの導入部分も、社会人の視点から見て非常に惹き込まれる構成になっていました。一方で、今後さらに良くしていくためには、計画性や3人の方向性のすり合わせを、もう少し早い段階で詰められると、内容にもより厚みが出ていたと思います。」
良かった点だけでなく、次につながる課題まで丁寧に言葉にして伝えてくださる姿勢が、とても印象的でした。
学生と向き合うことで、企業の伝え方も整理されていく
松鶴建設の担当者の方からもこのG-1グランプリへの感想をいただけました。「学生ならではの自由な発想や、プレゼンの組み立て方を、近い距離で見せていただけたのは大きな収穫でした。今の学生が、企業説明会のどこに反応するのか、何を聞きたいと感じているのか、肌で知ることができました。」
「学生たちに教えるなかで、自分たちが採用活動で伝えるべきポイントを、改めて学ばせていただきました。アウトプットすることで、自分たちのコミュニケーションも整理されていく感覚がありましたね。」
学生に向けて自社の魅力を言葉にしていく過程で、企業側の「伝え方」も少しずつ整理されていく。そんな相互の学びが生まれていた様子でした。
会社を知るだけでなく、仕事に向き合う姿勢を学んだ時間
学生たちにとって今回の取り組みは、企業を知るだけでなく、自分たちのコミュニケーションやビジネスマナーを見つめ直す機会にもなりました。
打ち合わせの進め方、確認の仕方、約束を守る姿勢。松鶴建設の皆さんと関わるなかで、仕事では一つひとつのやり取りが信頼につながっていくことを実感できたようです。
「大会に向けて取り組むなかで、たくさんのことに気づけました。本当に参加してよかったです。」
振り返りの最後には、3人からそんな言葉も聞かれました。
松鶴建設の皆さんには、貴重なお時間を何度も割いていただき、学生たちと真剣に向き合ってくださったことに、心より感謝申し上げます。
次回のG-1グランプリでは、今回の経験やフィードバックを糧にした学生たちが、また新しい視点で企業の魅力を伝えてくれることを楽しみにしています。