学生が感じた“雰囲気”を、自分の言葉で伝えるG-1グランプリ
G-1グランプリは、学生が企業を取材して、その会社の魅力を学生の言葉でプレゼンする大会です。2026年3月20日に開催された第1回には、学生50名・企業15社が参加し、見学に訪れた企業さまも含めると、会場には100名を超える方が集まりました。給与や休日、福利厚生といった条件は、資料を見ればある程度わかります。けれど、その会社で実際に楽しく働けるかどうかは、社員同士のコミュニケーションや、お客さまへの向き合い方など、現場の雰囲気を感じてみないとわからない部分があります。
G-1グランプリは、その「雰囲気」を学生の感覚で言葉にして伝えるプレゼンバトル。今回、紹介するのは、その雰囲気の伝え方がとくに印象的だった、極東ファディの学生チームです。

コーヒーと食品を通じて、食卓に温かさを届ける会社
極東ファディは、自社焙煎のコーヒーと業務用食品を扱う会社です。1953年7月の創業以来、食材の卸問屋からスタートし、現在は卸売事業・小売事業・コーヒー製造事業の3つを柱として展開しています。
小売事業の代表的なブランドが「CAFE FADIE’S(ファディ)」です。福岡県内を中心に、山口・大分・佐賀・長崎の各エリアで店舗を展開していて、店内ではコーヒーを楽しめるカフェを併設しつつ、本格的な業務用食品を一般のお客さまにも販売しています。
冷凍食品をはじめとする商品には、家庭の調理を再現するための「ひと手間」がていねいに残されています。便利さだけを追求するのではなく、家庭の味わいや温かさを残せるように設計されている点が、極東ファディの商品づくりの特徴のひとつです。
身近なお店の奥にあった、働く人の魅力
御礼訪問のときに、極東ファディチームの学生から最初に出てきたのは、シンプルだけどとても嬉しい言葉でした。
「今回参加する時は『賞金目指して頑張るぞ!』という気持ちだったんですけど、ファディの皆さんと打ち合わせを進めていくうちに、プレゼンでファディの魅力をみんなにしっかり伝えたい!に変わっていきました。ファディチームの担当ができて本当によかったです」
なんとなく感じていた「この会社、なんで居心地がいいんだろう」という感覚を、今回の取材で深く理解できたと話してくれました。
「実際に話をうかがって、社員の方々が楽しそうに働いている理由が、お仕事の内容だけではなく、会社の雰囲気や考え方そのものにあると感じました」
「接客の丁寧さや優しさが、お客さまに愛されている理由なんだなと思いました」と話してくれました。広告や採用パンフレットでは伝わりにくい部分を、店舗への取材を重ねながら自分の言葉に落とし込んでいけたようです。

“ひと手間”という言葉に、ファディらしさを込める
プレゼンの準備を進めるなかで、学生たちが軸に据えたのが「ひと手間」というキーワードでした。
「冷凍食品なのに、便利さだけを追いかけていないところに惹かれました。家庭の味や温かさを残すために、ひと手間を残す。食卓のことまで考えて商品を作っていると知り、驚きました」
効率を最優先にするのであれば、調理の手順は減らしたほうが合理的なのかもしれません。けれど、極東ファディの商品設計では、お客さまに少しだけ手を動かしていただくことで、家庭で料理をする時間を残しています。学生たちは、その想いを「ひと手間」と「温かさ」というシンプルな言葉に置き換えて、プレゼンの中心に据えました。
極東ファディからも、学生のプレゼンに対するフィードバックをいただきました。「ファディのことを本当によく理解してくれていました」「落ち着いて話せていました」「スライドの完成度が高かったです」「チームワークが良かったです」「上手くまとめられていました」「全員、プレゼンに熱が入っていてよかったです」など、たくさんのコメントをいただきました。「こんなにレベルの高い学生たちがいるんだと知れて、嬉しかったです」というひと言も印象的でした。
学生の伝え方が、企業の説明を見つめ直すきっかけに
興味深かったのが、極東ファディの担当者の方が御礼訪問で話していた「学生さんに教わったこと」でした。
一般的に会社説明会などでは、「背景」や「経緯」といった前提条件を軸に伝える傾向があります。しかし、学生たちが披露したのは、それとは対照的な「結論先行型」のプレゼンスタイルでした。
「私たちの普段の説明会がいかに『大人の論理』に縛られていたか、彼女たちの姿を見て思い知らされました。学生さんが求めているのは、綺麗な沿革ではなく『その会社が何者で、どこが面白いのか』という本質的な問いへの即答なんです。一番ワクワクする核心部分を真っ先に提示し、そこから理由を紐解いていく。その最短距離で相手の心に飛び込むプレゼンは本当に勉強になりましたね」
「説明の順番ひとつで、ここまで相手との心理的距離が変わるのかと。この視点は、社内の若手との対話や、スピード感が求められる採用活動においても、私たちが真っ先に取り入れるべきメソッドだと確信しました」

出会う会社が増えるほど、仕事の見え方も広がる
極東ファディチームの学生は、参加してよかったこととして、交流会の時間も挙げてくれました。
「最初は参加するか迷っていましたが、思い切って参加して本当によかったです。北九州に、こんなに魅力的な会社があるんだなと知ることができました。SNSをスクロールしているだけでは出会えない情報がたくさんありました」
「極東ファディさんとはまた違う業種の企業の方ともお話できて、自分の中で『仕事ってこんなに種類があるんだ』という地図が広がりました」
当日に他のチームのプレゼンを見ることで、「どう伝えれば伝わるのか」を学べたという声もありました。同世代の学生がそれぞれの会社のために作り込んできた発表を見ることが、自分のスキルを磨くきっかけにもなっていたようです。
条件だけではなく、“誰とどう働くか”を見るようになった
極東ファディチームのなかで、いちばん大きな変化として語られていたのが、就活の軸の話でした。
「企業の魅力を、働いている方の目線でまとめたことで、自分の就活の軸にいい変化がありました」と話してくれました。
条件や待遇だけで会社を比べるのではなく、現場の方の表情、サービスがお客さまにどう受け取られているか、自分はどんな人と働きたいのか。こうした要素を取材という形で深掘りすることで、自分が大事にしたいことの輪郭が見えてきたそうです。「G-1への参加がきっかけで、ほかのことにももっと積極的に取り組んでみようと思えました」という声もありました。
ひと手間をかけて知ること
極東ファディチームの取材から発表までのプロセスは、商品づくりにも通じるところがありました。便利さや効率だけを追わず、関わる方一人ひとりに「ひと手間」をかけていく。学生は社員の方とのあたたかいやり取りを、社員の方は学生のプレゼンに込められた誠実さを、それぞれ受け取った大会だったように感じます。
極東ファディのみなさまには、店舗運営でお忙しいなか何度も学生を受け入れてくださり、本当にありがとうございました。次回も、新しい学生たちと一緒に、極東ファディさんならではの言葉を交わせる時間をご一緒できれば嬉しく思います。