「プラントメンテナンス」という仕事を、聞いたことはあるでしょうか。
自動車や鉄、電力など──私たちの暮らしを支える工業製品やエネルギーは、「プラント」と呼ばれる巨大な工場で生み出されています。そのプラントが止まらないよう、点検し、整え、支え続ける。それが、プラントメンテナンスという仕事です。
新日本熱学株式会社は、北九州に本社を構え、この仕事を手がける会社。1935年に創立し、昨年で90周年を迎えました。断熱工事と鉄工工事を両輪に、全国14拠点・約140名で、日本製鉄㈱やENEOS㈱をはじめとする国内有数の企業のプラントを支えています。
「日本の産業は、私たちのような会社があって、はじめて動き続けられるんです」──そう語るのは、執行役員九州支店長の小関さん。さまざまな現場を経験してきた小関さんに仕事の奥深さから、就活へのヒントまで、学生リポーター3人が伺いました。

車で回ると2時間、巨大な「プラント」の世界
本日はよろしくお願いします。まず、新日本熱学さんはどんなお仕事をされているんですか?
当社は建設業の会社で、「プラントメンテナンス」という仕事をしています。プラントというのは、工業製品をつくる工場や設備のこと。建物が一棟あるというより、配管でつながり合った、巨大な工業地帯を思い浮かべてもらえたらと思います。
工業地帯まるごと、ということですか…!
そうなんです。本社の近くに日本製鉄さんのプラントがあって、その構内に当社の戸畑事業所があるんですけど、車で回ろうとしたら2時間くらいかかる広さなんですよ。それくらいの規模の設備が、プラントと呼ばれます。
そんなに大きいんですね。そこでは、どんなことをされるんですか?
製鉄所をはじめ、電力や石油・ガスなどのエネルギー、さらには化学製品の製造まで、日本の産業はこのような多様なプラントに支えられています。そのプラントが安全に動き続けるために欠かせないのが、メンテナンス。定期的に点検することで、トラブルや稼働停止を未然に防ぐんです。プラントは、止められないですからね。
止まったら、私たちの生活にも影響が出ますもんね。
だからうちの取引先は、日本製鉄さんやENEOSさん、三菱ケミカルさんといった、日本の産業を担うような大企業ばかり。その産業の土台を、足元から支えているわけです。
日本のものづくりを支える、断熱と鉄工
プラントのメンテナンスといっても、いろいろな種類がありそうですが、新日本熱学ではどんな仕事を手がけているのでしょうか。
当社が手がけているのは、「断熱工事」と「鉄工工事」の2つです。断熱は、簡単に言うと保温と保冷。あたたかいものは温かいまま、冷たいものは冷たいままに保つための技術で、-162℃から1800℃までの幅広い温度帯に対応しています。鉄工は、配管やタンク、架構といった鉄の構造物を製作、据え付ける工事です。
その2つを、両方ともされているんですか?
そう、ここがうちの強みでしてね。実は断熱と鉄工を1社で一貫して手がけられる会社って、業界でもほとんどないんですよ。例えば自動車づくりなら、組み立てる会社、塗装する会社、部品を取り付ける会社と役割が分かれていますよね。それを私たちは1社で担える。いわばプラントメンテナンス界の「二刀流」です。
1社でできると、お客さんも頼みやすそうですね。
窓口を一本化できるので、コスト面でも、品質面でも喜んでいただいています。売上の割合でいうと、約7割が断熱工事で、約3割が鉄工工事です。特に断熱工事は、全国2900社ほどの中で、業界では7位なんですよ。
全国7位…!すごいですね。
しかも福岡県内だけで見ても、断熱工事の会社は約140社ありますが、その中では当社がトップです。社名を初めて聞いたという方も多いと思いますが、業界の中では、かなり存在感のある会社なんですよ。

工事を動かす、現場の「司令塔」
実際の工事は、社員のみなさんがされるんですか?
現場で実際に作業するのは、協力会社の職人さんたちです。当社の社員が担うのは「施工管理」。工程・安全・品質・原価の4つを管理する、いわば現場の司令塔ですね。社員約140名のうち、90名ほどが施工管理として活躍しています。
施工管理というと、やっぱり理系の方が多いんですか?
実は最近は、文系出身の社員のほうが多いんですよ。私は機械系の理系出身ですが、文系の人の柔軟な発想やコミュニケーション力が現場で活きる場面も多いですね。
文系でも活躍できるんですね。それは心強いです!
入社1年目から1人で北海道や会津若松の現場を経験し、大きく成長していく若手もいます。必要な資格は入社後に取得できますし、合格すれば会社から報奨金が支給されるなど、資格取得もしっかりサポートしています。大切なのは学部よりも、現場で人をまとめ、動かしていく力ですね。
1年目から1人で現場に行くこともあるのですか…!
1つのプラントを動かすために、協力会社さんが10社、15社と集まることもあるんです。その中で、当社の社員が会社を代表して現場をまとめていきます。もちろん、上司や先輩社員がしっかりとサポートするので、決して一人で抱え込むことはありません。報連相をきちんと行えば、1人ひとりに大きな裁量が与えられます。自分の判断で大きな現場をやり切ったときの達成感は、格別ですよ。
全47都道府県、そして海外の現場へ
小関さんご自身は、これまでどんな現場を経験されてきたんですか?
入社以来、気がつけば全国47都道府県すべてで仕事をしてきました。地熱発電所や、ごみ処理施設で、ごみを燃やした熱を利用して発電する設備の断熱工事など、さまざまな現場を経験してきました。日本は縦に長いので、地域ごとに産業も違えば、そこにあるプラントの種類も違うんですよ。
47都道府県すべて…!すごいですね。
国内だけではありません。当社としては、インドネシアで天然ガスのタンクの断熱工事を手がけたり、海外の製鉄所へ行ったりと、海外の大きな現場にも携わってきました。
海外まで行かれるんですね。どんなところが面白かったですか?
地域が変われば、人も文化も景色も、本当に違うんですよ。同じ仕事をしていても、行く先々で新しい発見がある。それが、この仕事の面白さのひとつですね。
現場の数だけ、世界が広がっていきそうです。
もちろん、地元で腰を据えて働きたいという人もいますし、それも素晴らしいこと。ただ、少しでも興味があるなら、ぜひ外の世界を見てほしい。きっと視野が大きく広がりますよ。

90年、成長を続ける会社の秘密
創立90年というのは、すごいことですよね。なぜ、そんなに長く続いているんでしょう?
ありがとうございます。企業の寿命は一般的に30年とも言われていますが、当社はその3倍の90年の歴史があります。そして今もなお成長を続けています。その理由のひとつが、お客様の7割~8割が、長年お付き合いのある企業だということ。だから、いつ頃どれくらいの仕事があるのか見通しを立てやすく、安定した経営につながっています。
長くお付き合いしているお客様が、多いんですね。
プラントは、数年に1度、設備をすべて止めて点検する「定期修繕」があります。1日に数千人、多いときには1万人もの人が一斉に現場に入ることもあり、その一部を当社が担っています。こうした仕事を継続して任せていただけるのも、お客様と長年にわたって信頼関係を築いてきたからこそ。おかげさまで、建設業で安定の目安とされる利益水準を大きく上回る業績を維持し、無借金経営も16年にわたって続けています。
景気にも左右されにくい仕事なんですね。
そうなんです。さらに最近は、海外にあった工場を国内に戻す動きもあって、既存の設備を長く使うためのメンテナンス需要が増えています。AIが進化しても、現場で人をまとめ、判断する施工管理の仕事は、簡単には置き換えられません。だから、これからも安定した需要が見込める仕事だと思っています。
長く続いてきた理由が、よくわかります。
それに、何十年も同じプラントを担当していると、その設備ごとの特徴や「クセ」が分かってくるんです。新しく入る会社ではわからないことも多いので、「これからもお願いしたい」と言っていただける。この積み重ねてきた信頼こそが、当社にとっての一番の財産かもしれませんね。
「従業員こそ資産」を本気で考える会社
社員のみなさんを、とても大切にされている印象を受けます。
当社は「従業員こそ会社の資産」だと、本気で考えています。だから福利厚生にもかなり力を入れていて、たとえば「持ち家制度」。住宅ローンを組んで家を購入した社員には、毎月3万円を定年まで会社が支給しています。
毎月3万円を、定年まで…!?
そう。例えば30歳で家を建てて60歳まで働けば、支給額は総額で1000万円を超えます。だから若いうちにマイホームを建てる社員も多いんですよ。
それはありがたいですね…。一人暮らしの場合は、どうですか?
借上社宅制度があって、自分で借りたマンションの家賃を会社が7割負担し、入社3年目までは9割を補助します。ほかにも、人間ドックの費用は全額会社負担で、再検査の費用まで会社が負担しています。
そこまでされるんですね。
社員への福利厚生には、一般的な企業と比べても多くの投資をしています。さらに、13年連続でベースアップを実施するなど、社員の頑張りには待遇でしっかり応えたいと考えています。そうやって一人ひとりのモチベーションが高まれば、会社も成長し続けられる。それが私たちの考えなんです。

1人ひとりが「輝ける」場所を、選んでほしい
最後に、私たち就活生へ、会社選びのアドバイスをいただけますか?
そうですね。大企業は知名度もあるし、安定感もある。ただ、当社のように140人ほどの会社には、また違ったよさがあるんですよ。それは、1人ひとりに、しっかりと目が届くこと。社員の頑張りを会社がきちんと見て、評価できる環境があります。
大企業だと、埋もれてしまうこともありそうですよね。
当社なら、若いうちから大きな現場を任されるし、自分のがんばりが、そのまま会社の成長につながっている実感を持つことができます。自由度も高くて、いろいろな経験を積める。1人ひとりが主役になれることが、私たちのような会社の魅力だと思っています。
会社の規模よりも、自分が輝けるかどうか、なんですね。
その通りです。だから、名前や規模だけで会社を選ばないでほしい。「ここなら自分らしく働けそう」「ここなら成長できそう」と思える会社を選んでほしいですね。どこで働くかだけではなく、そこで仕事を楽しめることが、いちばん大切だと思っています。
自動車も、電力も、私たちの暮らしは、どこかのプラントが動き続けることで支えられています。その設備を止めないために、断熱工事と鉄工工事の「二刀流」で社会インフラを支え続けてきた新日本熱学。その歩みは、90年という長い歴史の中で積み重ねられてきました。
そして、その90年を支えてきたのは、社員一人ひとりです。
「従業員こそ、会社の資産」という考えのもと、人材育成や働きやすい職場づくりに力を注ぎ、社員への投資を惜しまない。その積み重ねが、人を育て、会社の成長につながるー。
この循環こそが、新日本熱学が景気や時代の変化にも揺らぐことなく成長を続けてきた理由なのだと思います。
社会の土台を支えながら、一人ひとりが主役として輝ける会社がある。
会社を選ぶときに大切なのは、知名度や会社の規模だけではありません。自分らしく挑戦できる場所か、長く働き続けたいと思える場所か。
その視点を持てたとき、これまで気づかなかった新しい選択肢に、きっと出会えるはずです。