「建設コンサルタント」という言葉は、就活生にもなじみのうすい仕事のひとつかもしれません。
けれど、実は道路や橋、トンネルといった社会インフラのほとんどが、この建設コンサルタントの設計から生まれています。
今回取材したのは、福岡市博多区に本社を構える株式会社共同テクノ。創立7年目、九州を中心に社会インフラの設計を手がける会社です。
お話を伺ったのは、技術部門で長年橋梁設計に携わってきた草野さんと、営業一筋35年の神川さんのお二人。
まちの未来を描く”超高度なお手伝いさん”の世界を、学生リポーターが探りました。

建設コンサルタントってなに?──”役所とゼネコンの間”に立つ仕事
今日はよろしくお願いします。まず、共同テクノさんがどんな会社なのか、私たちでも分かるように教えていただけますか?
弊社は建設コンサルタント業の会社で、福岡に本社を置いて創業7年目です。道路や橋梁などの設計をしています。
「建設コンサルタント」って聞いたことはあるんですけど、どんな存在なんですか?
土木系の学生さんが就職する先には、県や国交省、市町村などの役所がまずあります。それから、実際にものを作るゼネコンさんやメーカーさん。その間に入るのが、建設コンサルタントです。
もともとは、役所ができない仕事を手伝うところから始まった業界なんです。この場所とこの場所をつなぎたいという依頼を受けて、どこに道路を作るか、橋を架けるべきか、トンネルの方がいいのか、どこの河川を改修するか。そういった設計を間に入って行うんです。
家で例えると、大工さんと建築設計事務所の関係に近いです。作るのはゼネコン、設計するのは私たち。
自分たちがやっているのはインフラを作ること。だから「土木」と呼ばれます。家や建物の「建築」とは、また別の業界なんです。
家の「建築」とはまた違うんですね。

橋が架かるまでに、たくさんの人が関わっている
すごく素朴な質問なんですけど、橋の設計ってどうやって始まるんですか?
まず「この町とこの町をつなぎたい」という計画から始まります。じゃあ、どのルートがいいか。環境、コスト、工事のしやすさを踏まえて決めます。基本的には地面に沿って盛り土・切り土で道路を作るんですが、どうしてもトンネル、どうしても橋でないといけない場所が出てくる。そこで初めて橋梁の設計が始まります。
その地形にはどんな橋が適しているのかを決めるのが「予備設計」。形式が決まったら部材や鉄筋の量を細かく計算して、図面に落とすのが「詳細設計」。ここがこの業界のメインです。
その後、ゼネコンさんが実際に作るんですね。
私たちが設計したものを発注者の役所に戻して、役所が積算して工事発注。その後ゼネコンやメーカーが入って作ります。私たちが「施工管理」という形で工事に関わる場合もあります。最近は、古い橋の補修や大地震に備えた補強といった「維持管理」も、コンサルの大きな仕事です。
学校の古い建物で、壁に斜めの部材が入っているのを見たことはありますか?
あります!
あれは耐震補強です。三角形って、構造的に一番優れた形なんですよ。どこから力が入っても崩れにくい。四角形だと横から押されるとぺたんと倒れる。だから建物の端にブレースを入れて、結局は三角形の集まりにする。
すごい。あの三角形って、ちゃんと意味があるんですね。
橋もだいたい三角形で構成されているものが多いんです。もっと長く飛ばすと、吊り橋や斜張橋になります。
大きな橋を作る時って、その土地の地盤も熟知しないといけないですよね?
そうですね。その都度、調査をかけます。「地質屋さん」と呼ばれる、ボーリング調査を専門にする人たちがいて、うちの中にも調査部門があるんです。
例えば橋なら、大型車も通るとなるとかなりしっかり作らないといけない。地層を把握しておかないと、橋が落ちたり沈んだりしたら大変ですから。
確かに、考えるだけで恐ろしいですね…。
“地図に残る仕事”── 橋が架かると、まちの生活が変わる
道路や橋を作ると、地図に残るじゃないですか。橋の名前を皆さんが付けることもあるんですか?
名前を付けるのは無理なんですが、「地図に残る仕事をしませんか」というフレーズは、この業界でよく使われます。橋梁は目立つので、それをモチベーションにしている人は多いと思います。
最近は「橋歴板」というものがあって、施工業者だけでなく設計会社の名前が載ることもあります。場合によっては、設計した個人名まで。
橋の存在って生活に大きく影響しますから、誇り高い仕事ですよね。
その橋が架かることで、今まで1時間かかっていたところに40分で行けるようになる。そういうことで人々の生活が豊かになる。そこに貢献している、とも言えますね。

“建てて終わり”じゃない──まちを”続けていく”仕事
お話を聞いていると、想像していた土木業界より何倍もスケールが大きいですね。
インフラにつながるところは、ほぼこの業界の誰かが関係しています。カーボンニュートラルに向けて、建設業界も色々工夫しています。建設業は二酸化炭素排出量が大きい業界なので、改革ができれば大きく寄与できる業界とも言われているんです。
道路の維持管理って、具体的にどういうことをしているんですか?
オーソドックスなのは、舗装の打ち替えです。福岡市は特に、夜になると至るところで舗装工事をしています。交通量が多いと舗装はどんどん劣化していくので、一度剥ぎ取って打ち直す。
どれくらいの期間がかかるんですか?
場所によります。皆さんが気づかないということは、夜中にやっているということ。福岡市は交通量が多いので夜中に少しずつ進めます。
僕たちが知らない間に進めているんですね!
これからは、新しいものを作るより、今あるものをいかに長く生かすかにシフトしてきています。全部の道路を維持するにはお金がかかるので、「こちらは諦めて、こちらに集中しよう」という選択の判断も出てくる。それを工学的な面から判断するのが、コンサルの仕事です。
地震や津波、人口減少、財政。複合的に考える必要がある。答えは一つではないし、その時は良くても後から見ないと分からない。それでも、その時その時で根拠を持って判断する。大変ですが、そこがやりがいです。
町の不備を見つけて、一つずつ直していくような感覚ですね。お医者さんみたいです。
文系でも大丈夫──”超高度なお手伝いさん”の世界
文系の人でも、この業界では働けるんですか?
もちろんですよ!入ってから学ぶことの方が圧倒的に多いんです。大学は4年、大学院まで行って6年。一方で社会人は30年やります。ずっと学び続けると考えれば、4年や6年遅れているだけ。だから土木系でなくても良いと思います。文系出身ですごい技術者になっている人もいます。
ちなみに私も営業一筋35年で、理系じゃないですよ。
そう聞くと、文系でも挑戦しやすい業界なんだと感じました。一方で、実際の仕事では専門的な知識だけでなく、いろいろな立場の人と調整する力も必要になりそうですね。役所と施工業者の間で、意見の違いが出ることもあるんですか?
いっぱいあります。発注者は「安くできる構造」を求めることもある。でも、安いものを選んでも、後の維持管理で「もう少しお金をかけておけばよかった」となることがある。そういう時は、計画段階で「後々のためにこちらが絶対良いです」と説明しておかなければいけません。
対人の部分も大事なんですね。
お手伝いから始まっている業界です。人と人をつなぐ仕事というところにも、やりがいがあります。
ここまで聞くと、本当に”超高度なお手伝いさん”ですね。
そうですね。いろいろな人が関わり合って、それを踏まえた上で考えないとどこかでつまずくんです。
共同テクノさんとしては、どんな人に来てほしいですか?
「こんなことをやってみたい」「こういうことに興味がある」という人がいた時に、一見違う方向性に見えても、実は建設コンサルタントの分野に収まる可能性は大いにあります。それぐらいスケールの大きな仕事ですからね。
AIでホワイトカラーがなくなるか、ロボットでブルーカラーがなくなるか、どちらに傾くかは正直分かりません。それなら、自分のやりたい業界の中で一人前になるのが一番確実かなと。やりたいことで一人前になってもらうのが一番だと思います。
今回の取材を通して、建設コンサルタントの仕事が「橋や道路をつくる」だけではなく、ルートの選定から地盤調査、住民への説明、そして数十年先の維持管理まで、まちの未来を構造から判断する仕事であることが分かりました。橋一つができるまでに、これだけの人の手と判断が積み重なっている。普段なにげなく渡っている橋も、誰かが何年もかけて考え抜いた末にそこにある。そう気づくと、街の見え方が少し変わります。
しかも、共同テクノには文系・理系を問わず挑戦できる土壌があり、「失敗は成功のもと」を本気で受け止めてくれる風通しの良さもあります。「やりたいことで一人前になってもらう」と語る神川さんの言葉には、若手への信頼がにじんでいました。
もし「形に残るものづくりで、まちの未来を支えたい」と思ったなら、建設コンサルタントという選択肢を、ぜひ考えてみてください。