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インタビュー

「人のために」が、事業を育ててきた。──セイハネットワーク創業者が語る、41年続く教育ビジネスの原点

「英会話教室って、英語を覚えるための場所、ですよね?」

「そう思われるかもしれませんが、うちが”0歳から”の教室を作った本当の理由は、もう少し別のところにあるんですよ」

セイハネットワーク株式会社は、全国のショッピングモールを拠点に、子ども向けの教室を運営する教育サービス企業。創業41年、英会話を中心に、ダンス、そろばん、プログラミングまで、全国約1,300のスクールを展開しています。

41年前、たった一人で英会話教室を立ち上げ、いまの規模まで育ててきたのが、現在も代表取締役社長を務める創業者です。

「自分よりも、隣の人のために」――そう繰り返す社長に、創業の原点や、ショッピングモールで教室を構える本当の理由、そしてこれから社会に出ていく若者へのメッセージを、学生リポーター2人が伺いました。

教育に、地域の差をつくらない

まず、セイハネットワークがどんな会社なのか、教えていただけますか?

今年で創業41年です。メインは子ども向けの英会話教室で、0歳から中学生までが通えます。いまは英会話に加えて、ダンス、そろばんと、全国に約1,300のスクールを展開しています。

1,300、すごい数ですね。教室はどんなところにあるんですか?

ほとんどは大手ショッピングセンターの中ですね。教室に通っていただくついでにお買い物もしていただける形なので、「セイハ」の看板を見かけたことがある方もいるかもしれません。

最近は、学校でも授業をされていると聞きました。

行政を通じて、九州のみならず関西や東京の公立小・中学校に、オンラインで英会話レッスンを届けています。月謝はご家庭ではなく各自治体から出していただいているので、所得に関係なく、地域のすべての子どもが同じ授業を受けられる、というかたちです。4年前には北九州市のご支援もあり、THE OUTLETS KITAKYUSHU 内に「英語村/KITAKYUSHU GLOBAL GATEWAY 北九州グーローバルゲートウェイ KGG」を作りました。

そうなんですね!では、どうして英会話から始められたんですか?

昔から英語が必要だと感じていたんですよ。当時33歳で、私自身は英語が得意というわけではなくて。同級生からは「お前がなんで英語教室?」って言われるレベルです(笑)。それでも、教育のビジネスをやろうと思ったとき、根っこにあったのは「どこに住んでいる子も、同じような環境で学べるべきだ」ということだったんです。

地域による差をなくしたい、ということですか?

塾は高いとか、近くにないとか、お金がなくて諦める家庭もある。一人親世帯で限られた中から月謝を出してくださっている家庭もある。そういう家庭にこそ、ちゃんと効果のある学びを届けたい。それが、うちのビジネスの根っこです。

自分よりも、隣の人のために

創業当初は、やっぱり大変だったんじゃないですか?

お金がないから、教室を作るのも一苦労。銀行に「貸してください」って言っても、「実績は?」で終わりですよ(笑)。だから自分の給料は二の次。創業者には、利他の心がないとできないんです。

自分のお給料まで削っていたんですね…。

創業した年なんて、1月2日から9月30日まで休みなしで、毎晩11時まで働いていましたよ。

9ヶ月、休みなしですか…!

でも、不思議とそれが苦じゃなかった。自分だけのためだったら「もうやめよう」と投げ出していたと思います。雇った先生に給料を払うため、と思うと、頑張れるんですよ。親のために頑張る。子どもが生まれれば、子どものために頑張れる。仕事も一緒なんです。「人のために」っていう思いがあるとね、きついことが、きつく感じないんですよ。

それは、就活で会社を選ぶときにも、参考になる視点ですね。

ミッションがはっきりしていたら、大体うまくいきます。これは断言できますね。

「井戸端会議」のない街に、何を残せるか

セイハさんの教室は、ほとんどショッピングセンターの中にあるとおっしゃってましたよね。これは何か理由があるんですか?

昔の日本には「井戸端会議」というのがあってね。井戸に水を汲みに行くとか、お寺に集まるとか、地域で人が顔を合わせる場があったんです。マンション暮らしだと、隣の人の名前も知らないでしょう?地域がバラバラになってしまった。これは、コミュニティの崩壊なんですよ。

それが、ショッピングセンターにつながるんですか?

今、お母さんたちが集まる場所って、スーパーやショッピングセンターしかないんです。買い物に来る、子どもを連れてくる。そこで同世代のお母さん同士がつながれる場をつくれないかと思って、0歳から通えるコースを作りました。

0歳から…!?英語を教えるんですか?

子どもの時から英語を学ぶといいというのは事実だけど、本当の狙いは「親同士の交流の場をつくる」ことなんです(笑)。子どもの発達のことで悩んでいるお母さんも、家では一人で抱え込んでしまうけど、教室で同じ悩みのお母さんに出会えば、ふっと気持ちが軽くなる。ビジネスの根本の目的はそこなんです。地域社会を元気にする。地域が壊れたら、日本が壊れてしまいますからね。

難波のガード下で生まれた、ダンス事業

今はダンスや、そろばんなどもされていますよね。それはどう広がっていったんですか?

ダンスはね、14、5年前に、大阪・難波のガード下できっかけが生まれたんですよ(笑)。飲みに行った帰りにガード下を歩いていたら、若者がダンスを踊っていて、つい声をかけたんです。

それで、何を話したんですか?

「昼間は何してるの?」って聞いたら、「ダンスを教えに行ってる。でもコンビニのバイトもしてます」って言うんですよ。当時のダンス業界には、先生としてちゃんと正社員で雇ってくれる会社がほとんどなかったんですね。

それで、ダンス教室も始めたのですか?

真面目そうな青年だったから、「だったらね、正社員で雇える会社を作ろう」って、その場で言っちゃったんです(笑)。私はダンスのことなんて何も知らない。でも、その青年の顔を見て、なんでこんな人が苦労してるんだろう、と思った。それだけです。

偶然の出会いから、ここまで大きくなるんですね。

そう。今では新卒の社員も入ってきますし、2年前のパリオリンピックでブレイクダンスが正式競技になって、追い風も吹いている。「この青年を幸せにしたい」と思っただけなんですけどね。だから、人との出会いはバカにできないですよ。

「放牧経営」という、信じて任せるスタイル

ダンスのカリキュラムって、社長が作るんですか?

いやいや、私にできるわけがない(笑)。振り付けは作曲家や芸術家と同じ世界ですから。私は「放牧経営」なんですよ。

放牧…ですか?

牛の放牧と一緒。朝「いってこーい」って送り出して、夕方戻ってくる。何をどれくらい食べるかは牛が自由に決める。仕事も同じで、私が口を出してもいいものにはならない。社員のほうがずっとプロなんだから、任せたほうがいいんです。

任せるって、勇気がいりそうですね。

それと、忖度しない関係も大事です。空気を読んで本音を言わないというのが増えると、組織が活性化しない。仕事の優先順位の一番はお客さん、つまり生徒さん。そこを軸に置けば、自分の好き嫌いとか立場とか、ぜんぶ後回しでいいんですよ。

人のために動くことが、結果として事業を育てる

社長はずっと「自分のため」じゃなく、「人のため」っていう話をされている気がします。

それね、桶の水と一緒なんですよ。

桶の水?

お風呂の桶を思い浮かべてください。水面にホコリが浮いていますよね。それを手元に集めようとして、手前にすーっと引き寄せると、ホコリは逆に向こうへ逃げていってしまうんです。

引き寄せると、逃げる。

ところが、向こう側へ「ピュッ」と押し出すと、押された水が回り回って、ホコリと一緒に手元へ戻ってくる。逆をやっているのに、こっちに集まるんですよ。商売も人生も同じです。自分のところに利益を引き寄せようとすると、逃げていく。人のために、外向きに動くと、結果として利益のほうから戻ってくる。行列のできるラーメン屋さんと同じことです。

ラーメン屋さんですか?

そう。「儲けよう」と思って作ってるわけじゃない。味を極めて、お客さんに喜んでもらおうって、それだけを考えてやっている。だから自然と人が並ぶ。我々の仕事も同じで、いいレッスンをして子どもに喜んでもらおう、それだけをやっていれば、自然と教室は増えるはず。最近停滞気味なのは、そこに何かが足りないということ。常に現状不満足ですね。

就活で大切にしてほしい、「ここでワクワクできるか」という視点

最近、新入社員は入社後「3年以内に3割が辞める」って言われるじゃないですか。社長はどう見ていますか?

それね、辞める側だけの問題じゃなくて、会社の責任もあるんですよ。

例えば、どんなことですか?

その人の夢を、会社が大きくしてあげられなかった、ということなんです。社員が「ここにいる意味」を、自分の夢以上に大きく感じられなかったら、辞めて当然です。

会社が、個人の夢を超えるビジョンを示せるかどうか、ということですか?

仕事には、給料という「外側の要素」と、楽しい・好きという「内側の要素」がある。両方が合致したとき、ずっと続けられる仕事になる。だから就活でも、「ここで何ができるか」と同じくらい、「ここで自分はワクワクできるか」を大事にしてほしいですね。

ありがとうございます!最後に、就活生にメッセージをお願いします。

好きなことを、楽しんでやれる仕事を見つけてください。そして、ご縁を大事に。出会う人を幸せにしたいと思って動いていたら、回り回って自分も幸せになる。それだけは、41年やってきて、本当だなと思いますよ。

まとめ

教育の地域格差をなくしたいという、創業の出発点。

井戸端会議の代わりに、お母さんたちが集まれる場を、ショッピングセンターにつくる。

酔った夜に出会った青年のために、ダンス事業を立ち上げる。

そして、放牧のように、社員を信じて任せる。

41年のあいだ、社長が一貫して語り続けたのは、「自分のためじゃない」という一点でした。

セイハネットワークの41年は、「人のために」という、ただそれだけの原則を貫いた41年だったのかもしれません。

その姿勢は、就活にも、社会人としての毎日にも、きっと通じていくのだと思います。

「自分だけ」では、続かない。誰かのためにと動いたとき、はじめて自分のもとに、いちばん大切なものが返ってくる。

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