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インタビュー

『仕事を楽しめる人は、きっと強い。アンサー倶楽部・前田常務が語る仕事論』

家庭の事情で進学を諦め、高校卒業後に就職。
その後、夜間の短大、転職、専業主婦を経て、現在はアンサー倶楽部の常務取締役として組織を支える前田常務。「安定よりも、荒波を選んだ方が楽しそうだった」その言葉には、迷いながらも自分の道をつくってきた前田常務ならではの、働くことへの向き合い方が表れています。
今回は2人の学生リポーターが、これまでの歩みと「仕事を楽しむ」姿勢について伺いました。

「キャリア迷子」から見えた自分らしさ

前田常務は、最初から今のお仕事に就かれていたんですか?

いえ、まったく違うんですよ。高校卒業後は、本当は進学するつもりでしたが、家庭の事情で地元のメーカーに就職しました。
ただ、進学したい気持ちはずっと残っていて、2年後に会社を辞め、20歳から夜間の短大に通うことにしたんです。

そこから、今につながる道が見えてきたんですか?

いえ、短大を卒業してからも迷いはありました。最初の会社に戻ったものの、3年後にやっぱり違うと感じて転職。
その後は旅行業に9年、不動産営業に2年携わりました。
いろいろ経験しながらも、「私は何をやりたいのだろうやっているんだろう」と考える時はありましたね。悩むことは多かったですね。

いろいろ挑戦していても、それが将来につながるのかわからないと不安になりますよね。

すごく不安でした。不安なときもありましたね。
でも今振り返ると、あの遠回りがあったからこそ、自分の価値観や得意なことが見えてきたのだと思います。やりたいことを最初から持っていなくても大丈夫です。
「何をやるか」にこだわりすぎず、「どう向き合うか」を意識すれば、自分らしい働き方は見つかっていきます。
バラバラに見える経験も、あとから振り返ると一本の線でつながっています。

専業主婦の経験で感じた、社会から切り離される孤独

前田常務は、その後もずっと働き続けてこられたんですか?

実は、一度専業主婦になった時期があります。
子どもが生まれて、1年半ほど家庭に専念していました。当時は夫の転勤で知らない土地に引っ越したばかり。
知り合いもいない中で、子どもと2人きりの毎日は想像以上に孤独でした。
「誰々の奥さん」や「○○ちゃんのお母さん」としては存在しているけれど、「前田さん」「私個人」として見てもらえる場面がない。
社会から切り離され、透明人間になったような感覚でした。

そこから、もう一度働くことを決めたんですね。

はい。子育てが嫌だったわけではありません。ただ、自分が個人として存在しなくなる気がしました。必要とされていないように感じてしまって。
働いていた頃の「ありがとう」と言われる瞬間や、誰かと目を合わせて話す 悩んだり笑ったりする日常が恋しくなっていきました。ブランクの不安はありましたが、家計を支えるためだけではなく、自分の力を活かして誰かの役に立てる場所で働きたかったんです。

「荒れた会社」で挑んだ、“面白がる”働き方

アンサー倶楽部に入社したきっかけは何だったんですか?

最初は、「家の近くで事務の仕事ができればいいかな」くらいの気持ちで応募しました。
子どもがまだ小さかったので、家庭との両立を考えていました。優先したかったんです。
でも、入ってみたら想像とは違いました。当時は社員が十数人ほどの小さな不動産会社で、職場の雰囲気はかなり荒れていました(笑)。

荒れていた、というと?

会議の時間になっても誰も集まらない、社員が全員で外に出てしまう。
最初は「大丈夫なのかな」と思いましたが、不思議とすぐに辞めようとは思わなかったんです。
むしろ、「なんだか面白そう」と感じて(笑)。

面白そう、ですか(笑)。

整っていないからこそ、やれることがある。荒れているということは、誰かが動けば変わる余地があるということ。そこに、自分が関わる面白さを感じました。

でも、実際に変えていくのは大変ですよね。

簡単ではありませんでした。
でも、社長の存在が大きかったですね。現場の混乱を誰よりも見てきたはずなのに、諦める気配がなかったんです。社員が育たなかったり、裏切られるようなことがあったりしても、「また採用して育てよう」と挑戦する人でした。私はその姿を見て、「この人となら、一緒に頑張ってみたい」と思えたんです。

その姿勢に、前田常務も共感されたんですね。

社長の口癖は「会社は社会に貢献する場所」「会社はただ労働する場ではなく人が育つ場所」でした。
人を雇って育て、お客様に満足していただき、利益を出して納税する。その循環をつくるために、人を諦めないんです。
私は一直線のキャリアを歩んできたわけではありません。でも、そんな自分でも誰かの役に立てるなら、会社を立て直してみたいと思いました。

ただ働くだけではなく、自分も一緒に会社をつくっていく感覚があったんですね。

そうですね。「与えられた役割の中だけで終わるのはつまらない」と感じていました。混沌とした場所に飛び込んだからこそ、チャレンジできることがたくさんあったんです。
会社も十数年かけて変わり、今では社員数も増え、上場を果たすまでに成長しました。
あの頃の混乱も、今では貴重な経験です。

新卒採用から見えた、“続けること”の大切さ

一番大きな転機は、新卒採用を始めたことだと思います。入社して3年目頃、社長から「会社の文化を変えるには、新卒採用だ!がいいらしい」と言われたんです。
小さな街の不動産会社が新卒を採るイメージはありませんでしたし、私自身も採用経験がなかったので、最初は戸惑いました。しかありませんでした。

そこから、どうやって始めたんですか?

手探りでしたね。「うちみたいな会社に来てくれる学生がいるのか」という不安もありました。
でも、初めての新卒社員たちが育っていく姿を見て、感動しました。
入社してすぐ即戦力になったわけではありません。
でも、一つひとつの仕事に一生懸命で、失敗しても立ち上がってくる。その姿を見て、「人ってこうやって育っていくんだ」と思いました。

続けることで、人も会社も育っていくんですね。

そうです。最初はうまくいかないことの方が多い。
でも、1年、2年、5年、10年と続けていくうちに、当時の新卒たちが会社の中心に立つようになりました。今では、年上の部下を持ちながらマネジメントしている社員もいます。
育つ人と育たない人の違いは、最終的には「能力」よりも「続ける力」だと思っています。
うまくいかなくても腐らずに取り組める人は、自然と信頼され、任される役割も広がっていきます。
続けることは簡単そうに聞こえますが、一番難しい。
だからこそ、できる人は本当に強いと思います。入社してすぐ適職に出会える人ばかりではありません。
でも、自分なりに向き合い続けるうちに、「ここでよかった」と思える日が来る。私はそう信じています。

ポジティブでいるための、前田常務流“切り替え術”

お話を聞いていると、前田常務はすごく前向きな印象です。落ち込んだりネガティブになったりしないのでは?

いえいえ、普通に落ち込むし、イライラもします。特に私は、眠いときが一番ネガティブになります(笑)。
だから、まずは自分のコンディションを整えることを大事にしています。

意外です!気持ちが落ちた時はどうやって元に戻していくんですか?

そういうときは過去の一番しんどかった時期を思い出しますね。何もできなかった頃とかきつかった頃を思い出すと、「今あの時よりいいか」とか「あれを乗り越えたんだし大丈夫」と切り替えられる気がするんです。
あとは自分にとっての“回復スイッチ”を持つようにしています。誰かと話す、感謝されることをする、休みの日でも仕事に触れる。少しだけ会社の空気に触れる。
大きなことをしようとしなくても、5分、10分だけ動いてみると、心が前向きになるきっかけになります。

落ち込まないようにするというより、落ち込んだときの戻し方を知っている感じなんですね。

そうだと思います。ポジティブな人は、元から明るいというより、自分で気持ちを整える方法を知っている人だと思いますよ。

前田常務が「採用したい」のはこんな人

「この人と働いてみたい」と思うのは、どんな人ですか?

「過去の大変だったことを面白く話せる人」はいいですね。
辛かった経験を乗り越えて、それを前向きに語れる人は強いです。
挫折や思い通りにいかなかった経験をどう受け止めたかを話せるかどうか。そこに、その人らしさが出ると思います。

強みや成功体験ばかりではなく、しんどかった経験にも意味があるんですね。

強みは、意外としんどかった経験から見えてくることも多いんです。
成功体験の話も良いのですが、辛かった出来事を笑い話のように語る人もいます。
そこには強さや人間味がにじみ出ている。そういう姿勢は信頼につながります。

ただ明るいだけではなく、自分の過去をちゃんと見つめているからこそ、周りにも優しくなれるんですね。

その通りです。あとは、「自分の役割を限定しない人」も魅力的です。
仕事は、決められたことだけで終わらない場面が多いです。
そんなときに、「これは自分の担当ではありません」と線を引かず、「まずやってみます」と動ける人は信頼されます。

「すごい人にならなきゃ」より、「素直に関わる」「まず動く」ことの方が大事なのかもしれませんね。

そう思います。私は「完璧な人」よりも、「誰かのために一生懸命になれる人」と働きたいです。
知識やスキルはあとから身につけられます。
でも、誠実さや仲間を大切にする気持ちは、簡単に教えられません。
自分の弱さを知っている人は、周りにも優しくなれる。そういう人と一緒に仕事ができたら嬉しいですね。

おわりに

「完璧じゃない自分だからこそ、面白がって飛び込めた」前田常務の言葉には、何度も迷い、立ち止まりながらも、自分の道をつくってきた実感が込められていました。
一つひとつの経験は遠回りに見えたかもしれません。けれど前田常務は、その経験をなかったことにせず、自分の力に変えてきました。
どんな経歴も、どんな不安も、自分次第で力に変えられる。迷いの中にいる時間も、自分の価値観を見つけるための大切な時間なのかもしれません。
仕事を楽しめる人は、きっと強い。その強さは、生まれつきの明るさではなく、目の前の経験に向き合い、人との関わりを大切にしながら、少しずつ積み重ねていくものなのだと感じました。

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